軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1220話 鷲獅子騎士団専用飼育場

冒険者ギルド総本部でパレンと話をした翌日の火曜日午後。

レオニスは鷲獅子騎士団の専用飼育場に向かっていた。

前日の月曜日午前中、パレンとの会談を終えた直後に鷲獅子騎士団に遣いを出し、翌火曜日の午後四時以降なら会談OKという承諾を得てからの訪問である。

ちなみにこの鷲獅子騎士団の専用飼育場は、竜騎士団と同じくラグナロッツァの外壁の向こう側にあるが、方角的に竜騎士団の専用飼育場と真反対側にある。

これは鷲獅子騎士団と竜騎士団、あるいは鷲獅子と飛竜が仲が悪いとかではなく、防衛範囲をより広くカバーするためだ。

そして午後四時少し前に、鷲獅子騎士団の専用飼育場正門前に辿り着いたレオニス。

正門には当然門番兼衛兵がいて、レオニスにその身元を尋ねてきた。

レオニスはそれに応じ、冒険者ギルド発行のギルドカードを提示する。

すると門番達は交差させた長槍を解いて、すんなりと中に通してくれた。昨日の時点で冒険者ギルド側から打ち合わせの打診をしたので、今日のうちに門番達にもレオニスの来訪が通知されていたのだろう。

恭しく頭を下げる門番達に、レオニスは「お仕事ご苦労さん」と労いつつ大きな門戸の内側に入っていった。

中は竜騎士団の専用飼育場と同じくらいに広々とした剥き出しの地面、そしてはるか向こう側に鷲獅子用の厩舎と思しき建物群が見える。

建物群の中で一番高い建物を目指して駆け出したレオニス。その一棟が鷲獅子騎士団用の宿舎のはずだからだ。

目的の建物に向かって、ズドドドド……と猛スピードで駆けていくレオニス。

レオニス本人としては、普段のカタポレンの森の警邏と大差ない走り方なのだが。砂塵を棚引かせて怒涛の勢いで走る姿は、間違っても通常の人間のそれではない。

それまで運動場で、キャッキャウフフ?しながら遊んでいた鷲獅子達の顔がギョッ!?となってレオニスを見ている。

猛烈な勢いで近づいてくるレオニスに、鷲獅子達は石のように固まる。

そして、鷲獅子達はまるで化物でも見てしまったかのような驚愕の表情でレオニスを避けている。

レオニスの進路上にいた鷲獅子達はもちろんのこと、少し離れた場所にいる鷲獅子達まで慌てて逃げ出す始末。

レオニスは、そんな鷲獅子達の謎の行動を訝しがる。

はて、何で鷲獅子達は俺を避けるんだ? 俺、こいつらに避けられるようなことをした覚えなんてねぇぞ? つーか、そもそもここの鷲獅子達と会ったことすら一度もねぇってのに……何でだ?

レオニスは脳内で思考を巡らせつつも、鷲獅子を怯えさせるような心当たりなど全くないのでどうしようもない。

とはいえ、道を譲ってくれたことへの感謝はきちんと示す。

通り過ぎがてら、レオニスが「よッ!」と右手を上げて左右に控える鷲獅子達に挨拶する。

レオニスが左右にいる鷲獅子達に顔を向ける度に、鷲獅子達がビビクンッ!と小さく飛び跳ねているような気がするが。多分気のせいだろう。キニシナイ!

そうして宿舎と思われる建物の前に到着したレオニス。

その建物は三階建てで、全体的にこぢんまりとしていて華美さは一切ない。鷲騎士達用の、簡易的な宿舎といったところか。

というか、レオニスにはこの建物にどことなく見覚えがある。

それもそのはず、竜騎士団の専用飼育場宿舎と作りが全く同じなのだ。

竜騎士団と鷲獅子騎士団、どちらもアクシーディア公国が管理する公的組織なので、それらの宿舎は皆どれも同じ作りで建てられているのである。

それに気づいたレオニス、ならば会議室なんかも同じような位置だろ、と思いながら宿舎の中に入っていった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

宿舎の中に入ると、すぐに鷲獅子騎士団員と思しき騎士が数人いた。

彼らは 来客(レオニス) にすぐに気づき、声をかけるべく近づいてきた。

「失礼ですが、レオニス卿でいらっしゃいますか?」

「ああ。鷲獅子騎士団から冒険者ギルドを通して、正式な指名依頼を受けたレオニスという者だ。今日は依頼内容に対して具体的な話し合いをするために出向いた次第だ。四時以降ならOKという返答をもらっているが、責任者と話せるか?」

「会議室にお通ししますので、そちらでお待ちください」

その場にいた鷲獅子騎士団員四人のうち、一人はレオニスを会議室に案内し、残りの三人は騎士団上層部を呼びに散らばっていった。

ほーん、やっぱ思った通り、竜騎士団の宿舎と作りが同じなんだな。

ま、冒険者ギルドだって似たようなもんか。街の規模によって支部の建物の大小は多少変わるが、それでも基本的な作りはほぼ同じだもんな。

レオニスは会議室に通される道すがら、そんなことをのんびりと考えている。

そして会議室に到着し、中に入るレオニス。

会議室の中には、竜騎士団の宿舎会議室と同じく八角形のテーブルが設えてある。

誰もいない中一人先に席に座るのも何なので、レオニスは会議室入口横で立ったまま待機している。

するとそこに、続々と鷲獅子騎士団の騎士達が入室してきた。

皆一様に鷲獅子騎士団員専用の濃茶色の制服を着ていて、背筋もピシッ!と伸びていて姿勢が良い。

そうして総勢十人の騎士が集まり、その中の一人の男性がレオニスの前に立ち話しかけてきた。

歳は三十路前後、滅紫色の短髪と青褐色の瞳で精悍な顔立ちの偉丈夫である。

「お待たせして申し訳ない。私は鷲獅子騎士団団長のアルフォンソ・ペンネッタ。以後お見知りおきいただきたい」

「俺の名はレオニス・フィア、冒険者をしている。今日はあまり時間もないことだし、早速話し合いをしたいんだが」

「承知した。どこでもいいから席に座っていただきたい」

アルフォンソと名乗る鷲獅子騎士団団長が、レオニスに向けて手を差し出した。

レオニスもそれに応じ、握手をしながら早々の話し合いを求める。

騎士団団長と四人の幹部が椅子に座り、残りの五人の騎士が椅子に座った幹部の後ろに一人づつ立って控える。

レオニスもまたアルフォンソの真向かいに座り、鷲獅子騎士団とレオニスの話し合いが始まっていった。