軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1143話 久しぶりの来訪者

ライト達三人はケセドからラグナロッツァに帰還し、冒険者ギルド総本部から屋敷に向かった。

時刻は午後四時少し手前。まだ空は青いが、もう少し経てばだんだんと赤く染まってくることだろう。

そして貴族街エリアに入り、屋敷に向かう道中で三人はのんびりと雑談をしていた。

「はぁー、今日のケセドのお出かけは全部楽しかったね!」

「そうだな、風の女王や青龍も元気そうだったし、辻風神殿への移動も前より楽になったもんな」

「俺はケセドで現地のエヴィパ肉が食えたのが良かったわ。あれは他の肉とはまた違う味わいや食感で、いろいろと研究のし甲斐があるってもんだ」

「うん、どれも美味しかったよね!」

今日のケセドでの出来事を振り返るライト達。

レオニスは青龍の鱗の摂取によるパワーアップが、ラウルはケセドの人気定食屋『迷える小カエル亭』での食事が特に良かったようだ。

三人の話題は、自然とエヴィルヴァイパー肉の話になっていく。

「ラウル、今度エヴィパ肉のカレーを作ってよ!」

「よし、今日食ったやつに負けんくらいの美味しいカレーを作ってみせよう」

「楽しみにしてるね!」

「ラウル、俺用の極厚ステーキの研究もよろしくな」

「そしたら今日から早速ステーキ用の熟成肉作りに取りかかるとするか」

「頼んだぞ」

ライトのカレー、レオニスのステーキの要望に、事も無げにサラッと引き受けるラウルの何と頼もしきことよ。

料理が生き甲斐のラウルにとって、これ程やり甲斐のある仕事はない。

そして三人でそんな話で盛り上がっているうちに、三軒お隣のウォーベック邸前を通り過ぎた。憩いの我が家に到着するのももうすぐである。

するとここで、ライトが空を見上げながら呟く。

「そういやマキシ君は、もう家に帰ってきてるかな?」

「午後から休みを取るって言ってたし、もう帰ってきてるんじゃね?」

「マキシのやつ、いつになく張り切ってたもんな」

三人の話題が、何故かマキシのことに移る。

今日のマキシは午後から半休を取っているらしい。マキシにも休みを取ってまで出かける用事があった、ということか。

そしてラグナロッツァの屋敷に着いたライト達。

三人が玄関に入ると、数瞬後にマキシが現れた。

「皆、おかえりなさい!」

「ただいま、マキシ君!」

「おう、ただいまー」

「マキシももう帰ってきてたのか」

「うん!」

嬉しそうにライト達を出迎えるマキシに、ライト達も元気に帰宅の挨拶をする。

そしてマキシの後ろには、二羽の大きな黒い鳥がついてきている。

それは、マキシの父ウルスと次兄ケリオンだった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「ウルスさん、ケリオンさん、こんにちは!」

「こんにちは、ライト殿!」

「よう、ウルスにケリオン、久しぶりだな」

「ともにトロールの里に出かけて以来ですな!」

「他の皆も元気にしてるか?」

「はい、おかげさまで皆息災に過ごしております!」

ウルス達に会ったのは、去年の十月半ば。ラキとともに大神樹ユグドラシアのもとを訪ねて以来だ。

久しぶりに会うウルスとケリオンの登場に、ライト達も破顔しつつ迎え入れる。

そう、今日マキシが半休を取っていたのは、ウィカとともにウルスとケリオンを迎えに行っていたのだ。

何故ウルスとケリオンがここに来たかと言えば、もちろん人化の術を会得するための人里見学をするためである。

これまでウルスとケリオンの人里見学は、何度か中断されてきた。ずっと延長されてばかりだったが、ここへ来てようやく八咫烏族長一族最後の一組が人里訪問を叶えたのである。

「ウルスとケリオンの人里見学がなかなかできなかったが、ようやく実現できて良かったな」

「はい!これもレオニスさんがお誘いしてくださったおかげです!本当にありがとうございます!」

「いやいや、時期的にも今がちょうどいいと思っただけだから」

「そうですね、もうすぐアクシーディア公国生誕祭ですもんね!」

父と兄を快く迎え入れてくれたレオニスに、心から礼を言うマキシ。

ウルス達家族の人化の術修行は、人里を 具(つぶさ) に見学しないことには始まらない。

そして何日もの間、見学のために人里に留まり続けることができるのも、屋敷の持ち主であるレオニスが快諾してくれるからこそなのだ。

それに対し、照れ臭そうに答えるレオニス。

マキシが言った通り、レオニスが今日マキシにウルス達を呼び寄せるように言ったのは『アクシーディア公国生誕祭が近いから』であった。

アクシーディア公国生誕祭と言えば、いつも以上にたくさんの人々が行き交い賑わう、アクシーディア公国屈指のビッグイベント。

これまで人里見学が延期され続けて、他の八咫烏達に比べてだいぶ習得が遅れてしまっているウルスとケリオン。

そんな二羽にとって、アクシーディア公国生誕祭は一気にたくさんの人々を見れる絶好の機会だ、とレオニスは思ったのだ。

「そしたら今日は、ウルスとケリオンの歓迎会をしなくちゃな」

「そうだね!ラウル、ご馳走の準備よろしくね!」

「おう、任せとけ。早速今から支度してくるわ」

ウルスとケリオンの歓迎会をしよう、というレオニスに、ライトはもちろんラウルも賛成する。

一方でマキシ達八咫烏勢は恐縮している。

「そんな……レオニス殿もライト殿も、ラウル殿だって今帰宅したばかりなのに」

「そうですよ、我らのことは気にせず皆さんゆっくり休んでください」

「ラウルだって疲れてるだろうに、今からすぐに歓迎会の準備だなんて……」

口々に申し訳なさそうにしているマキシ達に、レオニスがカラカラと笑う。

「なーに遠慮してんだ!ようやくウルス達も人里に出てこれたんだ、人里にいる間は思いっきり楽しんでいけよ!」

「そうですよ!せっかくここまで来てくれたんですし、マキシ君といっしょに皆で楽しく過ごしましょ!」

「ご主人様達の言う通りだ。つーか、そもそも半日出かけた程度で疲れる俺達じゃねぇぞ?」

レオニスに続きライトも笑顔で賛同し、ラウルに至ってはニヤリ……と不敵な笑みを浮かべる。

そう、人外ブラザーズはもとより昨今パワーアップが目覚ましい妖精が半日出かけた程度で草臥れるはずもないのだ。

「さ、そしたら俺は厨房に行くから、ご主人様達も普段着に着替えて客をもてなしててくれ」

「了解ー」

「うん、分かった!そしたらマキシ君、ウルスさんとケリオンさんといっしょに客間で待っててくれる? ぼく達も着替えたら、すぐに客間に行くから!」

「……分かりました!ラウル、もう一働きよろしくね!」

「おう、食事の準備ができたら呼びに行くから、それまで皆で客間でゆっくり寛いでな」

「うん!」

ウルスとケリオンの歓迎会をすることになり、それぞれが行動を始める。

ライトとレオニスは着替えるために二階の自室に行き、ラウルは厨房にまっしぐらに向かい、マキシはウルスとケリオンを連れて客間に向かっていった。