軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1128話 好奇心溢れる女王達

一旦ラウルと分かれ、天空島内転移門で神殿の島に移動したライト。

天空神殿の前では、光の女王と雷の女王がライトのことを待っていた。

「あッ、光の女王様に雷の女王様!こんにちは!」

『ようこそいらっしゃい、ライト』

『久しぶりね!皆元気にしてる?』

「はい!おかげ様で皆元気に過ごしてます!」

『今日は一人で来たの? ラウルの気配もあった気がしたのだけれど……』

「あ、ラウルは畑の島の方に行きました。パラスさん達に野菜の種を渡すのと、向こうに建てたログハウスのお手入れをするって言ってました」

『まあ、そうなのね』

ライトが一人で現れたことに、不思議そうにキョロキョロと見回す雷の女王。ライトとラウル、二人が天空島に現れたことを女王達も敏感に察知していたようだ。

わざわざ外まで出迎えてくれた二人の女王に、ライトも元気よく挨拶をしている。

『ライトもこれから畑の島に行くの?』

「はい、ぼくもラウルが整えたログハウスの中を見たいので。でもそれより先に、神殿の島の草むしりをしてもいいですか?」

『もちろん大歓迎よ!見ての通り、かなーり雑草が生えてきてるから。好きなだけ毟っていってちょうだい♪』

「ありがとうございます!」

草むしりをしたい!と申し出るライトに、二人の女王の顔はパァッ!と明るくなる。

さあ、周りを見てご覧なさーい!とばかりに両腕を大きく広げる雷の女王。確かに彼女達の言う通り、神殿周辺には閃光草がわっさわっさと生い茂っている。

この閃光草、女王達には単なる雑草でしかないが、ライトにとってはとても貴重な素材だ。

キラキラと輝く閃光草の草むらは、ライトの目にはまさしく黄金色の宝の山に映る。

早速草むしりに取りかかる前に、ライトは女王達に相談をもちかけた。

「光の女王様、雷の女王様、今日は一つお願いというか相談があるんですが」

『ン? 何?』

「この閃光草を、ぼくが住むカタポレンの家の庭に植えたいんですが……根っこも含めた十株ほどをいただいて、地上に持ち帰ってもいいですか?」

『もちろんいいわよ。ただ、この閃光草が地上の土に合うかどうかは分からないけど……』

「ありがとうございます!ダメ元でやってみるつもりなので、どういう結果になっても大丈夫です!」

女王達の許諾を得られたことに、ライトは破顔しつつペコリと頭を下げる。

ライトの相談とは『閃光草を地上に持ち帰りたい』ということだった。

実はライトは以前に、一度だけこっそりと閃光草を根っこごと地上に持ち帰ったことがある。

その閃光草はライトの植物魔法で育ち、花が咲くにまで至った。

しかし、その繁殖力は原産地である天空島のものには到底及ばない。

天空島の閃光草の異常なまでの繁殖力の強さは、きっと光の女王と雷の女王のお膝元だからなんだろうな、とライトは推察している。

とはいえ、成長速度が遅いだけで地上でも栽培できることに変わりはない。

ならば今度はちゃんと女王様達の許可を得て、閃光草の株を分けてもらおう!という訳である。

するとここで、光の女王がふと何かを思い立ちライトに話しかける。

『でも、そうね……閃光草を持ち帰るのには、一つだけ条件があるわ』

「どんな条件でしょう?」

『もし地上で閃光草がたくさん咲くようになっても……この天空島の草むしりにも、時々来てね?』

『ああ、そうね!ライトがここに来てくれなくなったら、私達も寂しくなっちゃうものね!』

「!!…………もちろんです!」

光の女王が付け足した条件、それはライトの天空島訪問の頻度を落とさないこと。

一見それは『草むしりしてくれる人が来てくれなくなると、とても困るから』というような言い方をしているが、あくまでも表向きの話。

本音は雷の女王が頷きながら言ったように、地上からの客人の足が遠のくと寂しいから、というものだった。

そんな彼女達の愛らしい願いを聞いたライト。

一瞬だけハッ!とした顔になり、そしてすぐに喜色満面の笑みとともに大きな声で返事をした。

ライトとしては、閃光草の持ち帰りはあくまでも実験的なものであり、もし地上での閃光草栽培が大成功したとしても、天空島の草むしりは続けていくつもりだった。

何故ならライトは、属性の女王達の生粋の大ファンだからである。

そう、天空島の草むしりとは、ライトにとってただの素材採取作業ではない。

大好きな属性の女王達に堂々と会いに行ける口実であり、しかも草むしりをすれば彼女達にも喜んでもらえる。

まさしく一石三鳥の良いこと尽くめなのである。

「そしたらぼく、早速草むしりを始めますね!」

『ええ、是非ともお願いするわ』

『いつものように、好きなだけ持っていってね!』

「ありがとうございます!」

ニコニコとした笑顔で応援する女王達に、ライトも張り切りつつ草むしりを始めるのだった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

それからライトは、二十分くらい草むしりをこなしただろうか。

まず閃光草を十株、根っこごと丁寧に採取しアイテムリュックに収納する。

天空島に生えている閃光草は根っこが強いのか、あるいは土が硬すぎるのか、普通に引っ張っただけでは草や茎が千切れるだけで根まで採取できない。

故に根っこを掘り起こすために、水魔法を用いて地面にたっぷりと水を染み込ませて、土を柔らかくしておかなければならない。

土が柔らかくなったら、根元に向けて土魔法をかける。

この時の土魔法も、極々弱めの出力にしなければならない。勢いよく土を掘り起こして、閃光草の根まで千切れてしまっては元も子もないからだ。

そうして慎重に閃光草を無事採取したライト。

以降は閃光草の根元に風魔法を繰り出して、スパスパと閃光草を刈っていった。

その後刈り取った閃光草の葉や茎などを、アイテムリュックにどんどん収納していくライト。

ライトの草むしり作業を興味深そうに眺めていた女王達は『水魔法に風魔法も自在に操れるなんて……』『今時の人族って、こんな小さなうちから才能豊かなのねぇ……』と、ずっと感心している。

手際よく草むしりしていくライトのおかげで、三十分後にはすっかり広々とした地面が見えるようになっていた。

「女王様、草むしり終わりました!」

『お疲れさま!きれいサッパリしたわねー!』

『いつも草むしりしてくれて、本当にありがとう』

「いえいえ、こちらこそ貴重な素材をいつもたくさんくれて、本当に感謝してます!」

天空神殿と雷光神殿の前にあれ程生い茂っていた閃光草は、ライトの豪腕によって一本もなくなっていた。

すっきりとした地面を見て、光の女王も雷の女王もご満悦である。

ひとまず神殿の島での仕事を終えたライト。早速次の行動に移る。

「そしたらぼく、畑の島の方に行きますね」

『ねぇ、私達もライトについていっていいかしら?』

「え? それはもちろん構いませんが……女王様達にはつまらないかもしれませんよ?」

女王達からの思わぬ申し出に、ライトはきょとんとしている。

草むしりの次は畑の島に行くことを前もって言ってあったが、まさか女王達までついて来たがるとは思っていなかった。

今頃ラウルはまだログハウス内で何か作業しているだろうし、そもそもライト達が使うログハウスを見て女王達が楽しめる要素があるとは到底思えない。

だが、そんなライトに対し雷の女王が反論する。

『そんなことはないわ!ラウルと天使達が畑の島に作った、あのログハウスというおうち? 何だかとっても楽しそうなんだもの!』

『そうね。私達が住む神殿とは作りが違ってて、いくつも部屋があって二階建て?というのもすごく興味があるわ』

『そうそう!そもそも人族が住む家って、精霊達の目を通して見たことはあるんだけど。私達が自分の目で直接見たことはないのよね!』

「ぁー、確かに女王様達には珍しいかもしれませんねー……」

女王達の話に、ライトも上目遣いになりながら納得している。

彼女達属性の女王が住まう神殿は、基本的に全部同じ作りだ。

一階のみの平屋建てで、細かい部屋割りなども一切ない。

そこに住まう彼女達にしてみたら、全く作りの違う人族の家というのはさぞかし物珍しいことだろう。

意外と好奇心溢れる二人の女王に、ライトが否やを唱えようはずもない。

彼女達の願いを叶えるべく、ライトも大きく頷きながら承諾する。

「じゃあこの機会に、皆でラウル特製のログハウス探検といきますか!」

『ヤッター♪』

「……って、探検という程広くはないので、すぐ終了しちゃいますけどね?」

『もちろんそれでも構わないわ。地上に降りなければ見られないものが、この天空島で見られるんですもの』

「では、早速行きましょー!」

『『おー!』』

ライトが右手の拳を高く上げて、勢いよく冒険の掛け声を発する。

その元気な掛け声に、二人の女王もライトに倣い右手を握り高々と掲げる。その顔は実に生き生きとしていて、とても嬉しそうだ。

こうして三人は、神殿前の転移門から畑の島に移動していった。