軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1093話 二度目の地底世界訪問

ライトとレオニスがケセドの街で様々な出来事を体験した翌日。

この日は十二月三十日。大晦日の前日、いわゆる 小晦日(こつごもり) である。

ラウルは前日の晩に宣言していた通り、エンデアンとネツァクとツェリザークを回り、殻処理依頼をガンガンこなしていた。

エンデアンではジャイアントホタテの殻を250枚=25000G、ネツァクでは砂漠蟹の殻を50杯50000G、ツェリザークでは氷蟹の殻を200杯180000G、締めて255000Gの稼ぎである。

一日で25万Gもの収入を得られるとは、何とも羨ましい限りだ。

中でもツェリザークの氷蟹フィーバーは未だに凄まじく、ラウルが二百個もの氷蟹の殻を引き受けてもなおまだたくさんの殻処理依頼が貼られていた。

もはや『ぬるシャリドリンクバブル』と言っても差し支えない程の、ある種の社会現象かもしれない。

そしてライトとレオニスはと言うと。

ウィカとともに、朝早くからシュマルリ山脈の白銀の君のもとを訪ねていた。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「白銀さん、おはようございます!」

「よう、白銀、おはようさん。待たせたか?」

『ライト、レオニス、おはよう。私も先程ここに来たばかりなので、然程待ってはいませんよ』

「そっか、そりゃ良かった」

ラグスの泉の畔で、朝の挨拶を交わすライト達。

そこから白銀の君は間を置かずに、ライトの頭の上にちょこなんと乗っかっているウィカにも声をかける。

『ウィカも朝早くからご苦労さま。今日もよろしくお願いしますね』

『白銀ちゃん、おはおはー♪ 今日も皆でいっしょにお出かけしようねー☆』

白銀の君の丁寧な挨拶に、ウィカも糸目笑顔で愛らしく応える。

竜の女王である白銀の君に、物怖じしないどころか『白銀ちゃん』と呼ぶとは実に大胆だ。

普通なら白銀の君に成敗されそうなものだが、ウィカに関してはそんなことは起こり得ない。何故なら白銀の君もまた、ライト達同様にウィカの水中移動に何度も世話になっているからである。

『では、早速我が君の兄君のもとに参りましょう』

「おう、そしたら白銀の背中に乗せてもらうぞー。水中移動の途中ではぐれちゃいけんからな」

「白銀さん、よろしくお願いしますね!」

『フフフ、ライトは相変わらず礼儀正しい子ですね。レオニス、其方も是非ともライトを見習いなさい』

「うっせーよ」

白銀の君の背中にさっさと乗り込むレオニスと、乗り込む前に一言挨拶するライト。

白銀の君は小さく微笑みながらライトの礼儀正しさを褒め称えてから、レオニスを軽くディスる。

後ろを振り向きながらレオニスを見下し、フフン☆と笑う白銀の君に、レオニスはムスーッとした顔でそっぽを向く。

互いに軽口を叩けるくらいに親睦を深められているようで何よりである。

『じゃ、皆、行ッくよー☆』

ライトとレオニスをその背に乗せ、ラグスの泉の畔から首を伸ばす白銀の君。

ウィカは泉の水面をトトト……と軽やかに歩き、白銀の君の後頭部にピョコン☆と飛び乗った。

白銀の君はそのまま水面に顔をつけ、水に入っていく。

白銀の君の身体はラグスの泉に吸い込まれるように、そのまま尻尾までスルスルと入っていった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

ラグスの泉から水中移動したライト達。

次に水から出た時には、景色が一変していた。

大きく開けた山間から、一転して周囲が暗くなる。

しかし、泉から上がり畔でしばらく佇んでいるとだんだん目が慣れてきて、周囲がほんのりとした明るさに満ちているのが分かる。

ライト達が移動したのは地底世界だった。

『これが……地底世界……』

「白銀、上を見てみ?」

『???…………ッ!!!』

薄暗い中を、キョロキョロと見回す白銀の君。

その間にライトとレオニスは地底の池の畔に降り立ち、ウィカもライトの頭の上にちょこん、と飛び乗る。

先程までは朝の眩い日差しに包まれていたのに、まるで瞬時に夜になったかのような錯覚に陥る。

そんな中、レオニスから促されて白銀の君が首をクイッ、と上げて真上を見ると―――そこには本物の夜空かと見紛うような、幻想的な絶景が待ち構えていた。

『これは一体、どうしたことでしょう……私達は本当に夜空のもとに移動したのですか?』

「この星空のように光っているのは、冥界樹ユグドランガの魔力の結晶なんだと。ランガが長い間ここで暮らしているうちに、自然とできたものらしい」

『何と……そこに御座すだけで、このような美しい景色を生み出されたとは……さすが我が君の兄君ですね』

地底の夜空を生み出したのが冥界樹ユグドランガと知り、白銀の君が感嘆しながら絶賛する。

冥界樹ユグドランガは、白銀の君が敬愛して止まない竜王樹ユグドラグスの長兄。ただでさえ崇敬の対象なのに、白銀の君の中でますます好感度がうなぎのぼりしているようだ。

「よし、じゃあまずは皆でランガのところに挨拶に行くか」

「うん!」

『ええ、参りましょう』

レオニスの呼びかけに従い、ライトと白銀の君もレオニスとともに歩いていった。