軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

095

「ちっ!?」

再び距離を取るグロイス。

困ったのは模擬戦の決着をどうつけるかという点だ。

俺の攻撃手段は基本的にレイたちによる物理攻撃か、賢者の残したエクストラスキル【白炎】と【雷光】のみ。

どう考えても威力が高すぎる。模擬戦で使っていいスキルじゃない。

かといって【初級剣術】では足りない。

他の攻撃手段だと……【竜の息吹】? いや、絶対加減できない。

「くそっ! どうあってもてめえから仕掛けてはこねえってか!」

しびれを切らしたグロイスが再び突進してくる。

「喰らえ!」

「あれは! 団長の必殺の……!」

「模擬戦で出すのか!? あれ?!」

「死ぬだろあいつ」

え、死ぬのか俺!?

大剣を突きの要領で身体の前に据えながらまっすぐ突進してくるグロイス。

その周囲には炎の渦が巻き起こっていた。

「炎竜牙!」

「仕方ない……【夜の王】」

「なにっ!?」

これと【黒の霧】はヴァンパイアを隠さなきゃいけないという意味ではあまり使いたくなかったけど……他に思いつかなかったし仕方ない。

むしろセシルム卿には教えておいたほうがいいと割り切ろう。

突進してくるグロイスを顕現した無数のコウモリたちが包み、動きを封じた。

「【竜の咆哮】」

「ぐあっ!?」

周りへの影響もあるから控えようと思っていたが、これで勝負を決めさせてもらう。

「なんだこれ……!? 動けないぞ……」

「おいあっちは喋れなくなってんぞ」

「いやあいつ倒れたぞ!?」

あ、思ったより被害がひどい。

さっさと終わらせよう。

「これで勝負あり、でいいか?」

倒れ込んだグロイスの首筋へ剣を当てる。

「くっ……参り、ました」

「ふぅ……」

何とか勝てた……。

いや倒すだけなら良いにしても、模擬戦の場合は力量に差がないと決着の付け方が難しいな。

その点、ミルムは凄かった。

「あら。終わったみたいね。私たちも終わらせましょうか」

「はぁ……はぁ……くそっ!」

ミルムは【夜の王】と【黒の霧】でフリュードの攻撃を躱し続ける。ミルムの場合洗練されすぎていてはたから見るとただの闇魔法使いにしか見えていなかった。

時折フリュードの影から黒い人形のようなものが飛び出てフリュードを襲い、すぐに【夜の王】の作る影に飲み込まれて消えていく。

ミルムはほとんど動いていないのに、フリュードだけが戦わされ続けている状態だ。

そして、こちらの戦闘が終わったことを横目に確認した次の瞬間……。

「はい。これで終わりね」

「なっ?! ぁ……」

パタン、とフリュードの身体が糸を切ったように倒れた。

「殺してはいないわ。意識は刈り取ったけれどね」

涼しげな顔でそう告げるミルムに、セシルム卿は苦笑いしかできなくなっていた。