作品タイトル不明
第380話「チーム分け訓練」
#第380話「チーム分け訓練」
レベル4ダンジョンの二か所同時氾濫が大きな問題となった。
今回は高倉さんが咄嗟に機転を利かせてクアンを起用。そしてそのクアンが実力以上に頑張ってくれたお陰で大きなトラブルなく収束させることができた。
しかしちょっと間違えれば大変なことになっていたケースだ。
今後の対策として、俺たちは氾濫対応時に二つのグループに分かれることになった。
だが、決めただけでは意味がないのは明白。
実際にいざという時に、大変な状況になった時に動けるのかどうか?を確認する必要がある。決めたとしてもダンジョン反乱に対応できなければ意味がないのだ。
それを確認するため、軽い機動訓練を行うことになった。これからも特に氾濫が起きない場合は、定期的に月一回ぐらいは訓練をするという。
二か所同時氾濫の第一回目の訓練の想定はこうだ。
まず沖縄のダンジョンで氾濫が発生。その一時間後、北海道でも同時発生。すなわち、距離的に最も極端なケースを選んだわけだ。
これで問題なく稼働できそうならば日本の他の地域での反乱でも対応ができるだろう。
■Aチーム(沖縄へ先行)
俺、ひより、ラム、ロア
■Bチーム(北海道に一時間後に移動)
ルナ、リン、ルフ、クー
俺たちAチームの自衛隊側指揮は藤原さん。情報部隊の白石さんが副隊長の役割を務める。
藤原さんがヘリを操縦。
そしてヘリに乗り込むと、白石さんがすぐに作戦概要を説明した。
「沖縄のダンジョンでレベル4以上のモンスターの氾濫が起き、都市部から5km程度の距離に自衛隊がバリケードを張っているとの想定だ。レンたちはモンスターがバリケードに到着する前に討伐するという形になる」
「分かりました」
さすが自衛隊の人だ。
訓練であっても、その声は真剣。実際にダンジョンからモンスターが氾濫しての想定で俺たちは動いていった。
沖縄までは距離が長い。ヘリに乗っている時間も2時間以上。その間は沖縄に行ってからの行動内容を話した。藤原さん達も到着して訓練完了からしばらく時間があるので、その時間で軽く模擬戦して欲しいとのことだ。
その後も更に時間があれば俺たちはダンジョンに潜ることも可能らしい。
俺たちはハンター歴は長いが多くのダンジョンを回っているわけではない。他のダンジョンも行きたいところなので時間があれば行こうと思う。
ともかく、俺としては初の沖縄なんだけど観光する余裕はなさそうだ。日帰りらしい……もちろん遊びじゃないから仕方ないけどね。
そして軽く話し込みながら2時間以上、ようやく到着した。いつものようにヘリが降りて行く。振動が凄いが、さすがに何度も乗り込んだので慣れたものだ。また、今回は訓練ということでダンジョンから最寄りの場所ではない。沖縄の自衛隊基地に降り立った。
沖縄に初上陸、やはり暑い。いつでも夏のようなものらしく、それを聞くだけでもワクワクする。
また、気になることが出てきた。ヘリの外に出ると妙に騒がしいのだ。どうやら基地の外で活動家らしき人たちが何かを訴えている。
「あれは何をしているのですか?」
俺が聞くと、藤原さんが淡々と答えた。
「ああ、あれね。平和活動家だよ。自衛隊反対の人たちだ。どの自衛隊基地にも、それなりにいるけど沖縄はやはり多いね」
ああ、聞いたことがある。沖縄には米軍基地が多い。そのために一部活動家の人達は米軍基地に強硬に反対している。基地の近くでデモをする。その流れで、自衛隊にも反対しデモをする人が多いらしい。
俺としては難しい話だ。俺は軍があるから守ることができると思っている。すなわち最低限の武力は必要。敵が強いならば準備は必須だと思う。
だけど平和活動家の人達の理屈では軍があるから狙われる。だから米軍や自衛隊は必要ないという理屈になるらしい。後は沖縄に米軍が集中しすぎているのも問題とする意見もある。
俺としては立地上、仕方がないと思うのだけどね。現時点では戦争があるとすれば沖縄からになるだろう。もちろん戦争が起きないに越したことはない。
その他には騒音問題もあるという。確かに軍が集中していたら騒音もひどいだろう。そこは大変だと思う。
平和を続けるためにどうしたらいいのか?沖縄に来るとそういったことをどうしても考えてしまう。でも何が正解なのか?俺には難しすぎる話だ。全てを完璧にして誰もが納得できる解決なんてあり得ない。
この辺りは上の人に解決してもらいたいと思う。
そして個人的には、これらのデモ活動とかも平和だからこそできる活動にも思える。
本当に戦争になれば、そんな余裕はないだろう。それは、これまでの地震や大雨などによる災害でも同じだ。
結局、日本で何か起きたら最終的に頼るのは自衛隊となっている。そして多くの人が救われているのが現実。
なので自衛隊、軍はいろいろな面で必要ではないかな。平和活動をし、敵対する人たちもその辺りは考えて欲しいと思う。
ともかく人はそれぞれの正義で生きている。分かり合えない人もいるのは仕方がないだろう。
それで何となく思い出した。
俺にも分かり合えない人間がいた。名前は確か……。