作品タイトル不明
第378話「今後の戦略」
#第378話「今後の戦略」
(レン視点です)
レベル4モンスターの氾濫が起きた。しかも、二か所ほぼ同時だった。
これはとんでもなく大変なことだ。そもそもの話だけど、世界的に見ても同時刻に別のダンジョンで氾濫が起きる事例は珍しい。狭い国土の日本だけで二つの氾濫が起きるなんて普通に考えてあり得ない。
ましてやレベル4の氾濫というだけでも非常に珍しい。世界でレベル4の氾濫が確認されていたのはまだA国とC国の二例のみだ。
それが日本で三例目、四例目として連続発生した。単純に計算すれば、世界のレベル4氾濫の半分は日本で起きたことになる。
日本の国土面積から考えてもダンジョン数から考えても日本にだけ集中するのは異常なこと。これだけおかしなことがあると、さすがに偶然とは思えない。
まるでダンジョンが、世界各国の戦力を試しているかのようだ。日本に俺たちのような特殊な戦力がいることを把握しているのか。
もしかして、ダンジョンには意思でもあるのだろうか?もしくは知的生命体がダンジョンを操っているのかもしれない。
そうして、世界をじわじわと絶望へ追い込もうとしているのか。それとも、ただ観察しているだけなのか。あるいは、まったく別の目的があるのか。
現時点では何も分からない。
だが確率だけを見れば、明らかにおかしい。偶然で片付けるには無理があるだろう。
ゲーム脳の俺としては妄想がはかどる案件だけど、現時点ではいくら考えても答えは出ない。全てが推測に過ぎないからだ。
そして、現時点ではそういったことを考えるよりも現実の対応を検討する必要がある。
まず日本で立て続けに氾濫が起きた以上、俺たちの運用を見直す必要がある。
今回のように山梨と東京ならまだ近いからいい。だが、これが北海道と沖縄だったらどうなる?移動に四時間以上は軽くかかるだろう。
それでは間に合わない可能性が高い。都市にモンスターが到達すれば被害はとんでもないことになる。
だからこそ今後の運用をすぐにでも考える必要がある。
その辺りの打ち合わせをするとういことで戦略会議が行われた。
参加者は自衛隊トップの高倉さん、ハンター協会の朝倉さん、自衛隊特殊部隊の10人、そして俺たち8人(俺、ルナ、ひより、ラム、リン、ロア、ルフ、クー)だ。
高倉さんからは最初にねぎらいの言葉があった。
「君たちのおかげで今回も日本は救われた。迅速な対応に感謝する」
自衛隊のトップからこのように言われると恐縮するしかない。やるべきことをやっただけだけど、やはり偉い人から褒められると嬉しいものだ。
自衛隊特殊部隊の人達は誇らしげだ。自分の組織のトップから直接褒められるなんてめったにないから格別だろう。
高倉さんはその後、今後の課題についでの話を続けた。
「ただ、今回の二か所同時氾濫で大きな問題も露呈した。今後は運用の見直しを考えたい」
当然のことだろう。二か所同時氾濫が起きたからには今後も起きる可能性がある。そのための対策は最低限必要だ。
もちろん他の問題もできるだけ先読みして潰していく必要がある。今回のように後手に回っていては大変なことになるかもしれない。
しかし、対策はどうするのか?単純に考えたらチーム分けしかないと思ったが……やはりその通りだった。
「レンたちのチーム、自衛隊特殊部隊ともに二チームに分けようと思う。まずレンたちの部隊だが。レンがリーダーのチームA、ルナがリーダーのチームBに分かれて欲しい。ダンジョンの氾濫があればどちらか一方のチームのみ派遣。もう一方は待機とする」
俺たちは基本的に二チーム体制になるらしい。
■Aチーム
俺、ひより、ラム、ロア
■Bチーム
ルナ、リン、ルフ、クー
俺とルナがリーダーのチーム分けとのことだったがメンバーを見る限りは無難なチーム分けだと思う。
Aチームに人間が俺だけだと心もとない。冷静さに欠けるからね。この人員ならば俺が暴走してもひよりがストッパーとして働いてくれると思う。
使役モンスターは、みんな優秀だが俺を尊重しすぎるきらいがある。だからこそ、ひよりの存在は大きい。
一方でルナはいつも冷静だから1人でもなんとかなるだろう。
このチーム分けについて特に意見は出なかった。おそらくみんな、俺と同じように考えているのだろうと思う。
懸念点があるとしたら二チーム分けすることでダンジョン対応が厳しくなる可能性だけど、俺たちの実力ならばレベル4のモンスター氾濫は四人でも特に問題はないだろう。
高倉さんはこのチーム分けについて俺たちに意見を求めた。
「レンたちからチーム分けについて何か意見がないだろうか?」
「俺は特にありません。当然の決定だと思います」
俺は即座に答えた。俺もそうするしかないと既に考えていたからだ。チーム分けの人員についても合理的だと思った。
そしてルナとひよりも高倉さんの提案に合意した。
「私も特に依存はありません」とルナ。
「私もそれでいいと思います」とひよりも続いた。
そして次は自衛隊特殊部隊のチーム分けに話が及んだ。こちらは俺たち以上にややこしいだろう。今でも人員が十分とは言いずらいからだ。
どのような判断をするのだろうか?俺は高倉さんの言葉を待った。