作品タイトル不明
第375話「恩方ダンジョン氾濫鎮圧」
#第375話「恩方ダンジョン氾濫鎮圧」
レンたちがいない隙に恩方ダンジョンの氾濫が起きた。そこで自衛隊トップの高倉が動いた。
絶対に八王子市中心方面にモンスターを向かわせてはいけない。ドローン部隊、そして自衛隊部隊の二段構えを早急に構築。
しかしそれだけではレベル4モンスターの対応は厳しい。クアンにも出動を要請して三段構えを構築した。
クアンは最前線で、たった一人でレベル4モンスターを含む群れに対峙した。
そして、なんとかレベル1~レベル3の雑魚を削りながら間合いを保った。
だが、やはり厳しい。レベル4を含む群れは1つだけではないのだ。
次々と新しい群れが出てくる。
その全ての群れを対応しなければいけない。どうしても、少しずつ下がりながらの対応となった。
雑魚と言えるレベル1~レベル3のモンスターも侮れない。集団でクアンに襲いかかる。それだけでも対応は難しい。
しかもレベル4モンスターがその様子を常に伺っている。油断をすれば襲ってくるだろう。
雑魚モンスターの一斉攻撃の対応、チェックをおろそかにできないレベル4モンスターの動き、更には後方から次々とやってくるレベル4を含むモンスターの群れたち。
クアンは体力だけでなく精神もガリガリと削られていった。
そんなクアンの状況を見て、そろそろ頃合いかとレベル4モンスターが前線に出てきた。
クアンは対峙するのは厳しいと見て後退したがレベル4モンスターはすぐに距離を詰めた。更にはレベル1~レベル3までのモンスターが襲いかかり、集中力を阻害させた。
一瞬の隙だった。クアンが雑魚モンスターを倒した時にレベル4モンスターの一撃が襲いかかった。
これまでは何とか受け流していたが雑魚モンスターを倒した直後で体勢が悪く、もろに受け止めるしかなかった。
ぎりぎり防御はできたが押し返せない。その隙に周りから雑魚モンスターも襲ってくる。
攻撃を受けながらも何とかバックステップで躱すことに成功したがすでに傷だらけだった。やはりレベル4モンスターの攻撃はその一撃が重い。防御だけでも大きな負担になった。
その隙に雑魚モンスターの攻撃をもろに受けていた。もちろん雑魚の攻撃は普段ならばたいしたことはない。しかし疲労困憊状態ではその限りではない。
やはりレベル4の人間が1人では四階層相当のモンスターの群れを相手するのは無理だった。あのルナでさえも慎重に対応していたぐらいなのだ。クアンでは厳しいのは明白。
そうして攻撃を受けながらもクアンは耐えた。傷だらけになりながらも必死に耐えたのだ。
だが、更なる危機が彼女を襲った。
レベル1~レベル3モンスターを囮にしたレベル4ウルフの突進を受けてしまったのだ。何とかガードをして致命傷は避けた。だが衝撃を殺しきれない。
クアンはふっとんで、地面を転がっていった。
もう体力は限界。クアンは膝をつき、剣を支えにして立つのがやっとの状況だ。
呼吸が荒い。心臓の音がバクバクして止まらない。もう、体はほとんど動かない。その状況を見て、チャンスとばかりにレベル4モンスターのウルフが群れの中から一歩前に出た。
今なら確実に仕留められる。そう判断したのだろう。クアンは、もう一歩も動けない状況。防御もままならない。逃げることも不可能であった。
その状況でレベル4モンスターのウルフが突進してきた。もう無理だ。そうしてクアンは目を閉じた。
「レイラさん、レンさんごめんなさい。私には止めることはできませんでした……これが私の限界です」
……と、その瞬間。クアンとレベル4モンスターの間に影が割り込んだ。次の瞬間、レベル4ウルフの身体が弾け飛んだ。
それはレンだった。
「クアン、大丈夫か?」
クアンは恐る恐る目を開けた。そこにいたのは――
「レンさん……あれっ、私は死んだはず。ここは天国ですか? 死んだ後でレンさんに会えるならば、それも悪くないですね。私、実はレンさんのことが……」
「違う。ちゃんと生きてる。すまんが対応してくる。ここで待っていてくれ」
いつものレンの声だった。もしかして自分は死んでない?クアンはやや混乱したが何とか返事をした。
「……分かりました」
そうして、レンは振り返り、残りのモンスターへ向かった。その背中は、圧倒的だった。
すでに戦いを始めているルナ、ひより、ラム、リン、ロア、ルフ、クーに合流して次々とレベル4モンスターを倒していった。
それは戦いと言えるものではなかった。蹂躙だ。
自分が足止めさえできなかった相手をあっという間に殲滅していく。その姿はクアンには輝いて見えた。
「やっぱりレンさんたちは強いな。一緒に戦っているメンバーたちも強い、羨ましいな……」
そう呟いたところで、クアンの意識が途切れた。戦闘の疲れで気絶したのだ。
その後、レンたちは恩方ダンジョンのモンスターを軽く掃討した。
青木ヶ原樹海ダンジョンからの氾濫より数はやや少ない。だが緊張は違った。何しろクアンしかいなかったのだ。
クアンが簡単に抜かれていたら八王子市は危なかっただろう。彼女の働きで50万人もの命を救ったとも言える。
遅れてダンジョン特殊部隊の情報部隊が到着した。
付近の監視カメラなどのジャック。ドローンによる周辺映像確認。ネットへの情報流出チェック。
少し遅れはしたがレンたち秘密の戦力の情報が漏れないように動いていった。
こうして恩方ダンジョンの氾濫もなんとか鎮圧した。だが、問題は残った。
すでにネット上に戦闘映像が出回っていた。自衛隊の防護服を着た何者かが、レベル4モンスターと戦っている映像。
それはクアンの戦闘だった。
すぐに削除対応が始まった。偽のAI動画をいくつか作製し大量拡散。本物を埋もれさせた。
一度ネットで広がったものは完全に消すのは難しい。だが疑わしくすればいい。やがて「フェイクだろう」という声が増え始める。もちろんそれもサクラだ。
目撃証言も、徐々に沈んでいった。
とはいえ、さすがに今回は疑いの目を向ける人間は多かった。