軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第372話「樹海に鳴り響く警報」

#第372話「樹海に鳴り響く警報」

世界で三度目のレベル4モンスターの氾濫。

それは……よりにもよって日本だった。日本はA国やC国のような軍事力はない。もちろんレンたちという秘密の戦力はあるが……まるでそれを見透かされたような動きであった。

場所は山梨県、富士山麓に広がる青木ヶ原樹海ダンジョン。集中監視室のアラームがけたたましく鳴り響いた。

モニターを切り替えると、青木ヶ原樹海ダンジョンの四階層からモンスターが次々と外に出ていた。レベル4モンスターを含む、多数のモンスター群。

明らかにダンジョンの氾濫。しかも恐れていたレベル4モンスターの氾濫だ。

「大問題です! 青木ヶ原樹海ダンジョンの四階層からレベル4モンスターの氾濫を確認! 至急、地上部隊の対応をお願いします!」

「青木ヶ原樹海ダンジョンからレベル4モンスター情報について了解した。そちらは状況を注視して欲しい」

緊急要請は即座に自衛隊、そして自衛隊特殊部隊へ伝達された。

当然、自衛隊特殊部隊からレンたちにも連絡が入った。自衛隊のダンジョン特殊部隊隊長の佐倉の声が通信越しに響いた。

***

(レン視点です)

俺たちはいつもの通り恩方ダンジョンの六階層で討伐を行っていた。そこで自衛隊特殊部隊、佐倉さんからの連絡が専用端末に入った。

おそらくはどこかのダンジョンでのモンスター氾濫だろう。もしかしたら最近問題になっているレベル4モンスターかもしれない。

「富士山麓、青木ヶ原樹海ダンジョンにてレベル4モンスターの氾濫を確認! レンたちも至急、こちら立川駐屯地へ向かってくれ!」

「了解!」

嫌な予感通り。レベル4モンスターの氾濫。俺たちは即座にダンジョンから離脱。緊急車両に乗り込みすぐに立川駐屯地へ向かった。

すでに対応手順はパターン化されている。過去の氾濫対応で何度も動いてきた。動作に迷いはない。その時間も繰り返すごとに短縮されている。

前回の北海道と違い、今回は甲信越。距離は比較的近い。それ以外の以外はないだろう。

駐屯地到着後、即座にヘリへ乗り込んだ。こちらも何度か繰り返した手順であり言葉は不要。

俺たちが乗り込むとヘリがすぐに飛び立った。そのヘリ内で副隊長・藤原が概要説明を始めた。

「今回は前回の北海道と違い、山梨県。距離は比較的近い。30分程度で到着予定です」

なるほど。前回とは全く違う。前回はおよそ2時間ぐらいヘリに乗っていた。いろいろと考えている時間もなさそうだ。

そう思っていたら藤原さんが話を進めた。

「発生地点は山梨県、富士山麓・青木ヶ原樹海ダンジョン。現地自衛隊部隊は富士吉田市方面、南アルプス市方面の二カ所にバリケードを展開中です」

そしてタブレットに地図が表示された。藤原さんの説明によるとダンジョンの東には富士吉田市がある。人口は約4万5千人ほど。人口がそれなりに多く距離も近いのでまずは最短で守る必要がある。

一方でダンジョンの西側には南アルプス市などがある。中央市を含めれば人口はおよそ10万人規模。さらにその先には人口20万人の甲府市がある。

富士吉田市よりはやや距離があるのだけど、モンスターが到達してしまうと災害規模はとんでもないことになる。

どちらへ流れるかで災害規模は変わるが両方の対応が必要な状況なのは間違いなさそうだ。

そして藤原さんが現地の対応状況も説明してくれた。

「北富士駐屯地からすでに二手に分かれて自衛隊が向かっています。そこで、それぞれの都市前にバリケードを貼ります。その後は御殿場の滝ヶ原駐屯地からの応援部隊が我々よりも少し先に到着。戦車、装甲車隊も含めた二か所の防衛拠点が完成します」

藤原さんは現地の防衛情報を話し終えた。そして俺たちの方を見た。

「そして私たちの部隊が、そのベル4モンスターたちがバリケードに到達する前に……掃討します」

藤原さんの声は冷静だった。

その後は軽く青木ヶ原樹海ダンジョンの解説もあった。青木ヶ原樹海ダンジョンは“過疎ダンジョン”に近い。四階層を周回する探索者はほとんどいない。そのため、内部での異常に気づく者がいなかったらしい。

一階層~三階層のダンジョン内の常時監視員はいたが四階層には常時監視員が配置されておらず、監視室のアラームで発覚したケースとなる。

常時監査が機能していないわけだが、これは仕方がないとも言える。四階層を守ろうと思えば最低でもレベル4、できればレベル5の人員が必要。ダンジョンの数に対してそのレベルのハンターの絶対数があまりにも少ないのだ。

だが今はその問題を考えている時間はない。

藤原さんが最後に簡潔にまとめた。

「質問は?」

ルナが即座に答える。

「特にありません。前回同様、八人全員で対応ですね」

「その通り。詳細は現地に到着しモンスターの動向を確認後、再指示します」

「「「了解」」」

俺、ひより、ルナが揃って藤原さんの言葉に応じた。やがてヘリは青木ヶ原樹海ダンジョン近くの観光駐車場へ降り立った。すでに付近の観光客は避難済なのだろう。人の姿は見られない。

ローターの風が土煙を巻き上げた。ヘリから降りた瞬間、俺たちは感じ取った。

空気が明らかに違う。重い。そして遠方から微かな振動。そしてモンスターの鼓動のようなものも聞こえる。

モンスターの群れが動いているのは間違いない。俺たちには方向もほぼ分かった。

だが勝手に動くわけにはいかない。俺たちは佐倉さんと藤原さんの指示を待った。

初めてのレベル4モンスターとの戦いが始まろうとしていた。