軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第370話「間に合った砦」

#第370話「間に合った砦」

俺たちは世界でレベル4モンスターの氾濫情報を聞き、危機感を持った。

今後は状況によっては秘密の戦力の情報が一般に漏れる可能性がある。更には身バレする可能性もあるかもしれない。

その後にI国からのネット通話が入った。

相手は例によってジュリア、そしてレア金箱から出現した使役モンスター、ステラだ。数週間に一度はこうしてカメラ付き・自動翻訳付きの通話をしている。

画面がつながると、ジュリアは満面の笑みだった。

「(ようやくレベル5になることができました!)」

俺たちは思わず身を乗り出した。ジュリアもとうとうレベル5になったのか!

「(おめでとう。ステラもかい?)」

ジュリアが頷く。その横でステラが静かに口を開いた。

「(実は、私の方が先にレベル5になっていますよ。ジュリアは後でした。いつも通り私がフォローしています)」

「(それは言わないでよ!)」

ジュリアが軽くむくれる。その様子に俺たちは思わず笑ってしまった。確かにそれは少し残念かもしれない。二人は同士であり、ライバルみたいなものだろうからね。

その後はルナ、ひより、ラム、リン、ロア、ルフ、クーも次々と祝福の言葉を送った。

「(本当にありがとう。みんな愛しているよ)」

ジュリアは素直に感謝を伝えた。それにしてもさすがI国だ。愛しているって言葉がスムーズに出てくる。俺だったら友達とかに愛しているとか言えない。その辺りはやはり日本とは違うなと感じる。

その後、ジュリアは少し真面目な顔になった。

「(今日は特別ゲストに来てもらっています)」

はて、特別ゲスト?って誰だろう。俺たちは顔を見合わせた。共通の知り合いとかほとんどいないはずなのだけど。

そして画面に現れたのは――

なんと、I国のマローニ首相だった。これはやばい。ネット通話とは言え失礼なことを言わないように注意しないと!

そう思っていたらマローニ首相が感謝の気持ちを伝えてくれた。

「(皆さん、ありがとうございます。皆さんのおかげでジュリアとステラがレベル5に到達しました)」

マローニ首相から感謝してもらえるとかありがたい。そして他国の人間にもこうやって直接声をかけてくれる。凄い人だな。

そこで俺も返事をした。

「(いえ、彼女たちが頑張った結果です。俺たちは何もしていませんよ)」

実際に頑張ったのは彼女たちだ。しっかりと労って欲しいところだ。

しかし、マローニ首相はゆっくりと首を振った。

「(皆さんに会って以降、二人の姿勢は明らかに変わりました。前は義務感でしぶしぶ頑張っているようにも見えましたが、明らかに努力の質が変わりました。そして強くなることを楽しみ、誇りに思うようになったように見えます。確実に皆さんのおかげと言えるでしょう。会ってもらって本当に良かったです)」

照れくさいけど、そこまで言われると嬉しいものだ。俺たちに会ったことがきっかけになってジュリアとステラが強くなれたなら嬉しいことだ。

「(それは良かったです。やはり楽しむことは大事ですからね)」

そこで首相は一瞬、意味深な笑みを浮かべた。何か嫌な予感がするのだけどなんだろう?

「(特に、レンさん。あなたのおかげだと思っています。本当にありがとうございます。)」

「(私ですか? それは違いますよ。みんなで励まし合った結果ですから)」

ジュリアとステラを励ましたのは俺だけではない。みんなで励ました結果が今に繋がっている。特に技術指導したのはルナだ。俺の功績というならばそれは違うだろう。

そう思っていたらマローニ首相が更に続けた。

「(あれっ? もしかしてレンさんはジュリアの気持ちを――)」

「(首相、余計なことは言わないでください!)」

ジュリアが慌てて遮る。画面越しでも分かるほど赤い顔。どうしたのだろう?何か秘密でもあるのだろうか?

不思議だと思って首をひねりながら、ひよりやルナの方を見ると何となくジト目で視線が冷たい。なんだろう、俺悪いこととかしてないよね?

その後、首相は軽く咳払いをして話を続けた。

「(……ともかく、本当にありがとうございました。これでI国も何とか間に合いました。最近、世界を騒がせているレベル4モンスターにも対応できそうです)」

「(それは良かったです。確かにジュリアとステラがレベル4のままでは厳しかったでしょう。でもレベル5になった今なら大丈夫だと思います)」

俺がジュリアとステラがレベル5になった今なら大丈夫と伝えると、ジュリアは力強く拳を握った。

「(まだ強くなりますよ。次はレベル6を目指します!)」

本当にいい感じだな。上を目指すのが当然だと思っているようだ。本当に良い意味で変わったと思う。

「(ああ、俺たちもレベル7を目指して頑張るよ。ジュリアとステラには負けていられないからね)」

そうして、通話は和やかな空気のまま終了した。I国もぎりぎり間に合ったようだ。ジュリアとステラには次はレベル6を目指して欲しい。そうすれば更に余裕ができるからね。

同盟国のI国がジュリアとステラのレベルアップで防衛力を上げている、それは間違いなく良い知らせだ。

しかしレベル5、レベル6のモンスターの氾濫がいつ起こるかも分からない。希望と不安は、常に隣り合わせだ。

「……俺たちも、もっと強くならないといけないな」

遠く離れた同盟国の知らせに喜んでばかりもいられない。自分たちも、もっと強くならないといけないだろう。