作品タイトル不明
第369話「最後の砦」
#第369話「最後の砦」
自衛隊のトップ高倉から日本の現状戦力ではレベル4モンスターの氾濫を止めることは困難という現実が会議に出席しているメンバーに告げられた。
すなわちレンたちに頼るしかない状況ということだ。
そして、自衛隊トップの高倉はレンたちに、今後のレベル4モンスターの氾濫時に出動して欲しいと直接要請した。
それに対して特殊部隊隊長の佐伯が即答した。
「もちろん全力を尽くします」
続いてレンも口を開いた。
「私たちも、全力を尽くします」
その言葉を聞き、高倉の表情にわずかな安堵が浮かんだ。もちろん、信頼はしている。だが、その覚悟を直接聞くことは別の意味を持つ。
しかし本当に大丈夫なのか、その確認が必要だ。
「まずはレンたちに確認したい。レベル4モンスターは映像の通り段違いの実力だ。目にもとまらぬスピード。相手を一瞬で破壊するパワー、そして幾度の攻撃をも跳ね返す耐久力。そして高い知能。レベル3までのモンスターとは段違い。君たちならば止められるのか?」
悲壮感のある高倉の問いだった。秘密の戦力であるレンたち。その力は誰もが認めるものだ。
しかしレベル4のモンスターは段違いに強い。数字的にはレベル6のレンたちの方が圧倒的に強いはずだが本当に大丈夫なのか?
まずはそれが最大の心配事だった。
しかしレンはことなげに答えた。
「止める? いえ、あの程度ならば楽勝ですよ。もちろんレベル3までのモンスターより強いのは分かります。でも俺たちの敵ではありません」
続いてルナも答えた。
「レンはお調子者なので心配かもしれませんが、この話については間違いありません。映像で見る限りは普通のレベル4モンスターで想定の範囲内です。私たちの敵ではありません」
そしてひよりも答えた。
「私もそう思います。おおげさに聞こえるかもしれませんが、私たちのうち1人でもいれば敵を全滅させることもできるでしょう。ただし1人だと時間がかかるので人数がいた方がいいでしょうけど」
高倉は3人の言葉を聞いて愕然とした。強いのは分かっている。しかしそこまで強いのかと。おそらく日本の自衛隊では太刀打ちできない。そんな敵でさえ楽勝と言いきる3人を頼もしく思えた。
しかし安堵ばかりしてもいられない。確認することは他にもある。
その後は具体的な戦略が示された。レベル4出現時は原則レンたちが主戦力となる。
まずは地方でのモンスター氾濫。これは基本的に北海道駒ヶ岳ダンジョン氾濫時の対応と同じものを想定している。
高倉は話を続けた。
「地方でレベル4モンスターが発生した場合は、状況にもよるが現地の人達を避難させた後に都市部の前方にバリケードを敷き徹底防衛する予定だ。そして君達には最前線でモンスターを討伐してもらいたい。すなわち前回の駒ヶ岳ダンジョン氾濫の時の対応と同じ形だ。」
「分かりました」
レンたちとしても特に異論がない。前回と同じような形での出現であれば楽勝だ。可能であればそういった状況が望ましい。
そこで高倉から質問が出た。
「敵がレベル4モンスター10体を含む300体ぐらいであれば、討伐までどのぐらいの時間がかかるだろうか?」
それについてレンが少し考えて答えた。
「敵モンスターの分散度合いにもよりますが氾濫が前回と同じ程度の数ならば、1時間はかからないかと。都市部に近いモンスターから討伐するなどの優先順位があればもう少し時間はかかるかもしれません」
「私もそう思います」とルナ。
朝倉はその答えを聞いて再び安堵した。早い時間で倒すことができるならば計算がしやすい。楽勝とは聞いてはいたがまさか1時間程度で討伐するのかと、本当に頼もしいと思えた。
ただし、これまでにはないもう1つのパターンを想定する必要がある。それは都市部ダンジョンでレベル4モンスターが氾濫した場合だ。
秘匿は最優先だが、都市部のモンスター氾濫の場合は秘密の戦力の露見もやむを得ない。
「都市型ダンジョンでレベル4モンスターが氾濫する可能性もある。その場合はどうしても先行したドローンや自衛隊との共闘もあり得る」
「都市防衛が最優先ですから仕方がないでしょうね」
朝倉が静かに補足した。都市部ではレベル4以上のハンターでの常時監視対応を理想とする。すなわちダンジョンから一切のモンスターを出さないという形だ。
しかしながらレベル4以上のハンターは人員不足が深刻だ。都市部ダンジョンに絞ったとしても人員が集まるかは不明。徴兵制のように義務付けることも考えられているが現状では結論が出ていない。
仮に義務付けたとしてもハンターに断られたら、今の日本ではどうしようもないのだ。軍でもない民間人に強制することは難しい。
また仮にレベル4の人員がいたとしてもレベル4の氾濫を防げるとは限らない。余裕を見ればレベル5以上が望ましいが更に人員不足となる。
そのため現状では氾濫することを前提とした戦略を考える必要があるのだ。
秘密の戦力が露呈する可能性があっても出動することを優先。それについてもレンたちは軽く了承した。
都市部でレベル4のモンスターが出現すれば数十万、下手すれば数百万人の被害が出ることだろう。
それほどの多くの被害が出るよりは、一定の情報公開もやむなしだ。
そのための偽装策も検討された。レンたちの装備を変える。
それは自衛隊の防護衣の着用だ。自衛隊装備に近い外観へ統一することで身バレする可能性が下がる。おそらく無理ではあろうが、うまくいけば強い兵隊がいるという認識で済むかもしれない。
難点としては視界がやや悪くなることだがそれは仕方がない。
本来の目的である防御性能よりも、視界の確保や動きやすさを優先した改造型を作ることを早急に進めることになった。
そうして結論はほぼ固まった。
レベル4が出現した場合には基本的に必ずレンたちが出動する。地方でかつ、都市部から距離がある場合はレンたち主導での防衛。自衛隊はバリケードを張っての都市防衛。
そして都市部であれば先行するドローンや自衛隊との共闘やむなしという形だ。そこは臨機応変に動くしかないだろう。
レンたちの戦いが大衆にさらされる日が確実に近づいていると言えよう。レンたちは既にその覚悟を固めていた。