軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第326話「日本の防衛と現実」

#第326話「日本の防衛と現実」

A国とC国が大量のドローン兵器でダンジョン氾濫に対応している。その報告を受け、日本も動いた。

まずは実際の映像確認と分析から進めた。

レベル3相当のモンスターに対してドローン複数機で攻撃を仕掛ける様子をチェック。弱点を的確に狙って攻撃していく様子が確認された。完全に倒しきることまでは無理でも動けなくするだけでもOKだ。

レベル3を先に倒せば、あとは軍隊でも何とかなる。確実な連携が動画から見て取ることができた。

かなり効率的なドローンの運用である。

自衛隊のトップ高倉が大泉防衛大臣に語りかけた。

「どうでしょう。大臣、ダンジョンから氾濫したモンスターに対するドローン戦略はかなり有効と思われます」

「そうだな。これは凄い……日本でも運用したいところだな」

モンスターへの攻撃は見事なもので被害は確実に減っている。特にドローンは遠隔操作ができるのがいい。人的被害が減るのが、とにかくありがたいのだ。

戦争においては高額な武器の弾薬が減るのも厳しいが、人員が減るのは更に厳しい。軍人が減ると補充だけでなく育成が必要だ。素人がたくさんいても何のプラスにもならない。それなりの一人前にするには時間と費用がかかる。

そしてドローンがモンスターを倒していく映像はAIなどの偽ではない、そして日本でも運用は可能。そう判断された。

日本にとって幸いな点もある。日本は国土面積が比較的狭く、自衛隊基地も各地に点在している。

理論上は、複数のダンジョンを一つの基地で管理できる。例えば三つのダンジョンを一基地が担当する。

一つの基地あたり千機規模のドローンを配備すれば、初動対応は十分可能と試算された。

「一つの基地に千機あれば恐らくは対応可能かと。もちろん複数のダンジョンが一気に氾濫すれば対応は厳しくなりますが」

「ドローンが足りなくなった基地への対応は?」

「周辺の基地から数割ずつ融通します。それで一基地あたりのドローン数を最低七百程度を常時維持、あとは一元管理している倉庫から随時、融通すればいいでしょう」

「なるほどな。その運用が良さそうだ」

日本独自の対モンスター用ドローン開発も進めた。しかし既にA国製のドローンは大量生産体制に入っており単価は安い。

まずは輸入を優先する方針が決まった。

あとの問題は常時監視システムとの併用だ。

ドローンがあれば監視は不要か?

答えはどう考えても否だ。

理想は、そもそもモンスターを外へ出さないこと。いくらドローンで対応ができるとは言ってもモンスターが外に出た時点である程度は被害が出る。

特に都市部では被害が大きくなるのは目に見えている。

そのための常時監視体制は維持したい。だがすでにダンジョンの常時監視で人件費は莫大なのだ。そこにドローン部隊を加えるとなれば、予算は二重構造になる。

もちろん二重にすることで安全度は上がる。だが、そこまで費用をかけるべきか?

すでにダンジョン監視体制だけで数百億規模の人件費。さらにドローン整備で初年度は百億近い追加費用が必要になる。

防衛費は更に膨れ上がる。一千億に近くなるだろう。大泉防衛大臣も頭を抱えた。とは言えやらない手はない。

追加予算が必要ということで、所得税を1%増税とした。その説明を議会に上げたが予想通り議論は激化した。

現在、日本における氾濫は年に一~二度程度だ。その程度の氾濫数で年間で一千億もの費用をかけるべきなのか?

「そこまでの予算と対策が必要なのか」と野党は批判した。

平時ほど、防衛費は叩かれる。結局、調整案が出された。低階層の常時監査を見直すと言うものだ。

一階層、二階層は比較的余裕のある地域から段階的に削減する。今までは一人当たり平均で二万五千円程度を出しそれを管理側が調整する形だったが、管理費を下げることでまずは三割程度を減らした。

平均して半減を目標とする。

それでもドローンを加えたことで予算は増加傾向。摩擦が消えない状況が続いた。

防衛とは、常に“もしも”への備え。

だが“もしも”が起きていない限り、理解は得にくいのが実情だ。

比較的ダンジョン対策が成功し、平穏な日本ではなおさらだった。それでも日本は、少しずつ体制を整えていった。

更なるダンジョンの氾濫まで、今の自衛隊とドローンという表の防衛でなんとか時間を稼ぐ。現状では、なるべくレンたちに負担をかけない。そして出動する機会を限界まで減らす。

それにより彼らはダンジョンでの活動により専念できレベルアップが早くなる。出動回数が減れば負担も減るしバレにくくもなる。

そしていざという時の本当の切り札になり得る。

そのためにできることはあらゆることをするということで、大泉防衛大臣と自衛隊のトップ高倉は考えは完全に一致していた。

当然のことながらレンたちがするべきことは決まっている。今の比較的余裕がある時間にダンジョン攻略とレベルアップに集中することだ。

いつダンジョンの氾濫が更に活性化するのか……誰にも分からないからだ。