作品タイトル不明
第325話「歩みを止めない」
#第325話「歩みを止めない」
世界が慢心し、少しずつ荒んでいくその少し前。慢心せず、ただ前だけを見て進む者たちもいた。
***
俺たちは五階層の攻略を進めていた。まずは全員レベル6へのレベルアップを急いでいるわけだ。
まずはルフ、その次に数か月の間を置いてクー、ひよりがレベルアップする。
そうすれば全員がレベル6、そこまで到達できれば万全の体制で六階層へ挑めるだろう。もちろん六階層は五階層よりも厳しいのは間違いない。
もちろん、そのために事前研究も必要だ。五階層の時もそうだった。ルナが事前に調べ対策を講じてくれたおかげで攻略はスムーズに進んだ。
今回はどのような研究、そして対策になるかは検討中だけど、しっかりと考えて前に進んでいきたい。
そして――ルフのレベルアップの日がやってきた。当然のように、透子さんもやってきた。
「今日は大事な日だからね」
いつもは2チームに分かれているが、レベルアップの日は例によって8人体制になる。
2チーム分が1つに揃えばかなり余裕はある。
もちろん油断はしないが、安定感は違う。
そして、数十体目のモンスターを倒した時、ルフが動きを止めた。
「ルフもレベルアップしたのか?」
「はい、おかげさまで……レンさん、ありがとうございます」
そう言ってルフが走ってくる。その表情は喜びつつも、自信に満ちていた。ルフに話を聞くと、やはりレベル6と同時に<FS7>へ到達。
俺たちは<FS7>の使役モンスター一体につきダンジョンン外でダンジョン内の20%の力を発揮できる。
そのため、これで俺、ひより、ルナの三人はダンジョン外でもダンジョン内での80%の力を発揮できることになる。
ダンジョン氾濫対応も、さらに安定するはずだ。
みんなが集まり祝福する。
「「「「おめでとう」」」」とみんながルフに声をかける。
これもいつもの流れだね。だがレベルアップは何度あっても嬉しいものだ。はっきり強くなっているのが分かる。
ここ最近はレベルアップの後も討伐を続けていたが今日はそのまま外へ出て朝倉さんへ報告する予定。ルフがレベルアップするということで、月一の定期連絡を少しずらしてもらっていたのだ。
ルフがレベルアップしたということでみんなの表情は明るい。そして俺、ひより、ルナ、ルフは軽く力調整をした。ルフのレベルアップで俺たちも地上で強くなっている。いつものつもりで、何かものを触れば壊しかねないからね。
そうして準備をしてからハンター協会ビルに向かった。
そして、到着。ハンター協会ビルは今日も騒がしい。政府がハンター増員方針を打ち出してから、常に人の出入りが激しいのだ。
エントランスに特に用事もないので、そのまま俺たちはエレベーターで上層階へ。
朝倉さんのオフィスへ入った。例によってエリナさんと黒澤さんもいる。そして朝倉さんが報告を促してきたので俺は報告を始めた。
「ルフがレベルアップしたそうだな。では報告をお願いする」と朝倉さん。
「はい。ルフがレベルアップしました。そして<FS7>への遷移も確認しています。俺、ひより、ルナはダンジョン内での80%の力を地上でも開放できます」
「それは素晴らしい。よくやってくれた」
まずはレベルアップが順調ということで朝倉さんも喜んでくれている。
「次はクー、ひよりの順でレベルアップを目指します」
「順調だな。だがいつものように安全第一でお願いするよ」
いつもの朝倉さんの言葉だった。その後は最近のダンジョン氾濫の話へ移った。朝倉さんが説明してくれた。
「ここ最近はダンジョン氾濫にドローンによる撃退が有効だという結論が出始めている」
「すでに、大国のA国やC国では成果が出つつあり、運用の標準化も進んでいる。日本への導入も進むことになるだろう」
なるほど。ドローンならば人的リスクも少ない。俺は詳しくはないが費用も比較的安いと聞く。ならば良いこと尽くめだ。
日本も近いうちに整備を進めるならば安全度が更に増して良いことだ。
でもそこでルナが質問した。
「ならば、私たちの出動はなくなるのですか?」
「それはない。現状ではまだ整備前だからね。整備された後の状況次第だ」
「今後は都市部は引き続き厳重警戒ということで、常時監視は継続、地方はドローン整備を進めつつ人員を最適化する予定だ」
なるほど、ドローンによる最適化で少しは余裕が生まれるかもしれない。でも、今は一階層~三階層のモンスターの氾濫だからいいけど、更に深層のモンスターが出てくる可能性もあるよな。
そこで俺は言及した。
「それでも万全とは言えないですよね」
「もちろんだ。いつ深層のモンスターの氾濫が起きるかもしれない。だからこそ君たちは更なる攻略とレベルアップを目指して欲しい」
朝倉さんの言葉は重かった。そして全く油断はしていない。
そして、それは当然とも思う。一階層~三階層のモンスターが出てくること自体も想定外だった。更なる想定外が起きる可能性はある。備えが必要だろう。
今は大丈夫でもいつまでドローンで対策ができるかも分からない。
やはり、俺たちは歩みを止めてはいけない。更に強くなる必要があるだろう。今までと同じように俺たちは積み上げるだけだ。
絶対に止まらない。その先に何が待っているのかは分からないが――
リスクがある以上、今はとにかく前へ進むしかないだろう。