軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第323話「人類の逆襲」

#第323話「人類の逆襲」

一階層から三階層。比較的浅いダンジョン氾濫に対し、人類側からの秘密兵器による逆襲が始まった。

それは……大量のドローン運用である。

世界会議でもその成果が大々的に発表された。

A国とC国が大量生産した軍用ドローンが、ダンジョンから出現したモンスターを即座に攻撃し撃破していく。

その映像を見たものは感動を覚えた。これならばダンジョンの氾濫もそこまで怖くない。

「これはAI映像ではないのか?」

「まさか、本当の映像です。レベル3までのモンスターならば即座に対応可能です」

映像を見る限り、ダンジョンの氾濫が早期に収拾され被害は圧倒的に少ない。レベル3の個体ですらドローンの数で押せば撃退可能だったのだ。

ドローンは安価な自爆型が主流だった。

1台10万円程度。

もちろんレベル3相手では1機では足りない。だが複数機を同時に突撃させれば十分にダメージを与えられる。

特に各モンスターの弱点が研究され、まずはそこを集中的に攻撃した。動きを止めさえすれば後は何とでもなるという方式だ。

ドローンでの対策が有効であることが分かりA国とC国ではダンジョン近くの軍事基地に数百から千規模で配備が進んだ。その基地で近くのダンジョンを管理する形だ。

特定の氾濫が起きれば、そのダンジョンに一斉投入する運用方式となる。

遠隔操縦で弱点を狙い爆撃することで人的被害が減った。それに加えて比較的安価、数百台でも数億円規模で収まるのは大きかった。

その金額は全てのダンジョンに常時人員を張り付かせるよりは遥かに安い。さらに一部ダンジョンでは自動運用型ドローンも導入された。

AIカメラを搭載し、ほぼ自律的に攻撃を行う。もちろん誤射のリスクはあるので慎重な運用が求められる。

だが背に腹は代えられない。ダンジョンが氾濫して都市部にまで到達すればとんでもない被害が起きるからだ。

A国、C国でドローンによるダンジョンモンスター迎撃の効果が確認されると、その後は早かった。世界各国へ一気に広がっていったのだ。

もちろん軍事大国である彼らにとっては、利益も生むことになる。大量生産されたダンジョン対策ドローン設備が世界各国に配備されていった。

A国、C国だけが儲かる構図だ。

だがそれでもほとんど文句は出なかった。やはり結果が出ていたことが大きい。

ダンジョン氾濫の被害を受け困窮していた国々にとっては救世主のような武器だ。文句を言えるはずもない。そしてそれを咎める国もいない。

さすがにここでA国、C国を批判すれば非人道的と逆に批判されることになる。孤立することは必至だった。

日本もその流れに乗った。ドローンを輸入することはもちろんのこと、独自改良型のドローン開発も加速させていった。

武器の製造を日本が担うのはおかしいという一部の反対はあった。しかし高泉首相、そして大泉防衛大臣が高支持率を武器に押し切った。

「日本国民を守るためには武器の製造も必要だ」という声は日本でも主流となったのだ。

日本では都市部ダンジョンにおいてはドローンでの完全対応は難しい。そのため、都市部はこれまで通り常時監視体制を継続し、一方でこれまで監視が手薄だった地方のダンジョン近くの自衛隊基地に優先的にドローンの大量配備が進んだ。

1軍事拠点につき数億円程度。

それなりに痛い出費だが、常時監視よりはるかに安上がりである。もちろん、人命とは比べるべくもない。

日本と同様に世界の多くの国でドローンの撃退システムの配備が進み、被害は抑えられつつあった。

人類の比較的安価な新兵器が、モンスターの氾濫を押し返したのだ。

その結果――

日本ではレンたちの負担も減った。出動要請が入り、現地へ向かおうとした頃には、すでに鎮圧済みということもあった。

駒ヶ岳ダンジョンでの反乱時は自衛隊がバリケードを貼り、レンたちがモンスターを撃破したが、そのレンたちの役割をドローンが行った形である。

現地の自衛隊基地はダンジョンの比較的近くにあるので、早ければ1~2時間程度で展開可能。

スピード面でもレンたちの運用を凌駕した。

今後のダンジョンからの氾濫はドローン対応が主流になるだろうということで世界各国の考えが一致した。

特に常時監視が困難な国にとっては本当にありがたい技術だ。

世界は協調し予算に余裕のある国が余裕のない国への資金支援を開始。全世界にダンジョンに対抗するドローン防衛設備が広がっていった。

そうして、世界のドローン網は急速に広がっていったのだ。

世界会議はその話題でもちきりだった。かつての悲壮感は薄まりつつある。日本やI国で比較的被害が少なく対応できたのもドローン対策が早期にできていたのでは?と推測する声も出てきた。

そうして、レンやジュリアに対する各国の警戒する声も次第に減っていった。当初はスパイ活動なども活発だったがそれが急激に減った形だ。

「人類の勝利だ。ドローン対策を充実させればもう怖くない」

そう喧伝する者もいた。

だがダンジョンの氾濫が――

本当にそのレベルで終わる保証などどこにもない。

かつてはダンジョンのエネルギー値を管理すれば大丈夫だったのに今は管理をしても一階層~三階層のモンスターが氾濫するようになった。

当然のことながら更に、深層のモンスターか反乱し問題が大きくなる可能性はある。

とは言え、しばしの安息の時期が続きそうでもあった。

ここで、本来ならば人類は更なる大規模な氾濫に備えるべきだった。