作品タイトル不明
第278話「御影司が行方不明?」
#第278話「御影司が行方不明?」
今日は月に一度の定期報告の日ということで、俺たちはいつものようにハンター協会ビルの朝倉さんのオフィスに行き、報告を行った。
とはいえ今回は特に大きな報告もない、五階層での攻略が順調で、あと2〜3か月もすればラムとリンのレベルアップが見込めることだけを伝えた。そして更に数か月経てば全員がレベル6になる。
朝倉さんはいつもの穏やかな声でねぎらってくれた。
「順調そうで何よりだ。しかし無理はしないように」
まあ当面は問題は特にないと思う。あるとすればルナにやや負担をかけていることだけが心配だけどね。
とは言え最初はオーク3体がきつそうに見えることもあったけど、最近は余裕があるように見えるから大丈夫だろう。
ルナはもともと強いが対応力が半端ではない。あれだけの強さがあるのに研究も欠かさないからね。相手もたまったものではないだろう。ルナがどこまで強くなるのか予想もできない。
そんな感じで報告も一段落したところで、ひよりが少し言いづらそうに手を挙げた。
「朝倉さん。実はエントランスで気になる話を聞きまして。前回お話しした、レンを勧誘してきた御影さんのことなんですけど……どうやら行方不明らしいんです」
「行方不明? どういうことかな?」
朝倉さんの表情がわずかに鋭くなった。やはり朝倉さんも少し気になる話なのだろうか?
そこで俺も続けた。
「はい。先月、俺たちのことを勧誘してきた御影と一緒にいた高嶺紗月って子が今日もエントランスにいて話かけてきたのです。もし御影を見かけたら連絡してほしいって。居場所が分からず連絡も取れないらしいんですよ」
朝倉さんは俺たちの話を聞いた後に腕を組んでしばらく考え込んだ。そして低い声でつぶやく。
「……御影君については、私から君たちへの強引な勧誘があったと政府に報告を上げている。だから政府が御影グループへ何らかの圧力をかけた可能性はある。他にも何かした可能性はある。ただ、本人が行方不明というのはさすがに妙だ。さすがに政府でも監禁などはするはずがないからな。こちらで状況を確認しておくよ」
「ありがとうございます」
「もちろん、君たちの方でも何かあれば報告してほしい。再び問題を起こすようであればもう一段上の対応を考えるつもりだ」
「分かりました」
しかし、御影が行方不明か……何があったのだろうか。俺は全く関係ない話だが、さすがにちょっと気になるところだ。
そして政府から会社に圧力をかけていた?しかも更に圧力を加える???
凄いな、御影グループと言えばかなり大きな会社なんだけどね。それでも政府から圧力があればどうにもならないのかもしれない。
ただ、それが何で行方不明に繋がるのかがさっぱり分からない。御影が追及されて会社や自宅に居場所が無くなったという感じなのだろうか?
それぐらいであればすぐに見つかるから、おそらくは特に問題はないはずだ。
怖いのは追い詰められての自殺とかだけど……あいつに限ってそんなことはしないよね。いくら追い詰めてもしぶとく生き残りそうなタイプだよね。
まあ、ともかく俺に関係してこなければ、もうどうでもいい話だ。仮に再び御影が関わってきてもクラン勧誘なら断れば終わりだし。
今度はわざわざ喫茶店などで話する必要もない。その場で無視して終わりだ。そして報告を上げればさすがにもう何もできないだろう。
そうなれば更なる制裁もあり得る。そんなことになったら俺も目覚めが悪いので変なことはしないでほしいところだ。
そんなことを考えていたら、エリナさんがぽつりとつぶやいた。
「やっぱり私がとっちめておいた方が良かったんじゃない?」
いやいやいやいや。
それが一番ヤバいでしょう!確かエリナさん、前には「邪魔するようならば潰す」みたいなことを言っていたような気がする。
エリナさんの場合の圧力は物理的にやばそうだから、さすがにちょっと待ってほしい。任せていたらとんでもないことになりそうだよ。
と思ったら、朝倉さんまで真顔で言い出した。
「……確かにな。会社に圧力をかけるような回りくどい方法より直接叩いた方が早かったかもしれん。行方不明となるとまた面倒なことを起こすかもしれないな」
いやいやいやいやいや!?
朝倉さんまでどうした? いつもの冷静さどこ行った?直接叩くって何さ。エリナさんに任せたら本当に再起不能にまで叩きそうで怖いんですけど。いつもなら止めるのに今日はどうしたのよ?
という感じで俺は心の中でツッコミを入れていた。
まあ……御影がどうなろうと俺には関係ないのだけどね。
とにかく変なトラブルにさえ巻き込まれなければいい。
俺たちのレベルアップの邪魔だけしなければそれでいい。面倒ごとだけは本当に勘弁してほしい。
できるだけ早い全員のレベル6へのレベルアップを目指したいからね。