作品タイトル不明
第268話「定期報告と御影についての説明」
#第268話「定期報告と御影についての説明」
俺たちは月一の定期報告会のためにハンター協会ビルにやってきた。
今回は俺がレベル6になったことで足取りも軽い。早く報告したいとワクワクする気分だった……ただし、あいつに会うまでは。
そう、あいつだ。御影のことだ。あいつを見てテンションがいきなり下がったよ。良い気分が台無しだ。
そして御影は1対1で話がしたいと言い出した。面倒だが、これが最後という条件付きで話に付き合った。
しかし、その話があまりにも斜め上だった。なんと御影は俺に対して「クランに戻してやってもいい」などと言い出したのだ。
もう、完全にあり得ない提案だ。俺は最初は何のことかと意味が分からず固まってしまったがようやく言っていることを理解して即座に「俺たちが何でお前たちに合わせなければいけなんんだ。レベルアップが遅くなるだけだ。無駄すぎる。本当に意味不明なんだが」と断った。本当にあり得ない。
しかし御影は自分の実力ではなく御影グループの名前を出して勧誘を続けてきた。本当に姑息な話、呆れるしかない。当然のように更に断っただけだった。
そうしたら勝手に怒り出して、最後には自分から話を切り出したくせに会計もせずに去っていきやがった。最初から最後までひどい、呆れるしかない状況だ。
俺は腹が立ったがここで怒っても仕方がないと思ってため息をついて会計を済ませた。本当に時間の無駄だったな。みんなに申し訳ない。
御影との話を終えてみんなのもとへ戻ると、ひよりが心配そうに顔を覗き込んできた。
「どうだったの? 何か問題でもあった?」
「いや……もう呆れるしかなかったよ。まさかのクラン勧誘だった。『クランに戻ってきてもいい』とか言い出したんだ。びっくりしたよ」
「え?」
ひよりもルナも同時に固まった。
「まあ、そうだよな。やっぱり、びっくりするよな。俺も最初は何を言われているのか分からなかったぐらいだ。どうしたらそんな提案ができるのか、本当に不思議だったよ」と俺はあきれるように説明した。
「さすがに意味不明だな。レンにメリットが何もない。何の意味があっての提案だ? 単なる自分都合の自分勝手な動きか?」とルナが眉をひそめた。
「ああ、俺があいつらのクランに入る理由などないと言ったら『うちは御影グループがバックにいるから凄いぞ。助けてやるぞ』だとさ」
「あー……実力が無い人の典型的な言い分だな。自分に誇ることが何もないから周りを利用する。呆れるほどに最低な奴だな」とルナがため息をつく。
ほんとそれだよね、控えめに言っても最低だとは思う。
「まあ、でも、もう大丈夫なはずだ。これで最後って条件で話を聞いてやったからな。もうおかしな話はしてこないはずだ」と俺は肩をすくめた。
「でもさ……その手の人って、最後といいながらまた来るんじゃない?そして今度こそこれが最後だとか言いそうだよ。借金のお願いとかマルチ商法の勧誘してくる人みたいな感じでしつこいかもしれないよ」
ひよりが心配そうに言い出した。
「うっ、そう言われてみれば確かにそうかもしれない。平気で人を裏切るし、嘘もつく。あの手の人間は次に何をするか分からないよな」
本当にあういう人間には困ったものだ。考えかたが違うから次の動きが全く読めない。
そして俺が迷惑するだけならまだしも、こうやってみんなに迷惑までかけるのが本当に申し訳ない。
けど――気持ちを切り替えないといけない。
今日は大事な用事がある。定期報告のために来たのだ。
「腹が立つ話だけど、とにかく今は忘れよう。朝倉さんのところ行こうか」
「ああ、そうだな。いくらここで話をしていても意味がないな」とルナ。
気持ちを切り替えてエレベーターで朝倉さんのオフィスへ。するとそこには、いつものようにエリナさんと透子さんもいた。いつも時間を作ってくれてありがたいことだ。
「さて、それでは今日は定期報告をお願いするよ」と朝倉さん。
「分かりました。今日はほぼ現状報告のみですが」
まあ報告と言っても特段何もない。俺がレベルアップしたことぐらいだ。そして更に全員のレベルアップを急ぐということで説明を加えた。
「まず……俺がレベル6になりました。ちょっと早くなりましたが、それはほぼほぼ予定通りです。そして今後は二つのグループに分けてレベルアップ速度を上げようと思っています。俺の方はまだ慣れないので5人グループで、ルナの方は3人グループでそれぞれ別に動いて効率を高めます」
「素晴らしいね。順調そのものだな。その調子で頼むよ。全員のレベルアップが近いということで本当に楽しみだ」
「ほんと順調ね。でも二手に分かれて大丈夫なの? 無理してない? それにしても全員がレベル6になったら私のクランと同等かそれ以上ね。負けられないわ」とエリナさん。
「はい。もちろん、安全第一で動きます。無理そうだったら元に戻すので大丈夫です」と俺は説明を加えた。
朝倉さんもエリナさんも本当に嬉しそうだった。俺たちの成長を喜んでくれるのは本当に嬉しい。
今日は特にそれ以上の話もない。報告はこれで終わりかな?
そう思っていたのだけど――ここでルナが新たに話を切り出した。それはさっき会ったばかりの御影についての話だった。