作品タイトル不明
第262話「特殊部隊との実力確認」
#第262話「特殊部隊との実力確認」
俺たち8人(俺・ルナ・ひより+使役モンスター5体)は、自衛隊特殊部隊との顔合わせのため立川駐屯地へ向かった。
そして到着してみれば、なんとそこには高泉首相と大泉防衛大臣の姿まであった。
まずはその二人と挨拶を交わし、続いて自衛隊トップの高倉幕僚長とも挨拶。
緊張が止まらないが、これが“これから共に戦う相手”なのだと思うと、どうしても背筋が伸びる。
そしていよいよ、特殊部隊十名の紹介が始まった。最初に前に出てきた男性が、落ち着いた声であいさつを始めた。
「私は特殊部隊の隊長、佐伯悠真だ。緊急時には君たちへの連絡、ヘリ操縦、部隊指揮、そして三人の護衛を担当する。よろしく頼む」
「はい、よろしくお願いします」
穏やかそうな雰囲気の人で少し安心した。その佐伯さんが隣にいる女性を紹介してくれた。
「次に、私の隣にいるのが副隊長の藤原澪だ。私と共に指揮を執る。ヘリ操縦も可能だ。私に連絡を取れない場合などは藤原を頼って欲しい」
「藤原よ。よろしくね」
「よろしくお願いします」
続いて三名が前へ出た。
「次は情報分析官だ。白石智花、葉月凛、松田翔、この3人は情報収集・監視を専門とする。現場のカメラ映像の確認、ドローンでの監視などを行い、一般人やメディアなどが現場にいないか常時チェックする……君たちの秘密を守るための情報部隊だと思ってくれ」
代表して白石さんが微笑できた。
「よろしくお願いね。頼りにしているわ」
「こちらこそお願いします」
そして、最後の5名が堂々と前に並んだ。目つきが鋭い、この5人は特に強そうに見える。
「こちらは実行部隊だ。岩崎剛、神谷葵、黒崎陽葵、森拓海、高槻蘭、この5人は現場での実務、メディアや一般人が潜り込んでいた場合の対応、飛び出したモンスターの討伐など、多岐にわたる実務任務を担う」
代表して岩崎さんが短く言った。
「よろしく」
「よろしくお願いします」
佐伯隊長が締める。
「以上で十名だ。一気に覚える必要はない。少しずつで構わない」
確かに十名は多い。俺も少しずつ覚えていこうと思った、その時だった。
「なあ、レン君。使役モンスターの実力、見せてもらっていいかな? できれば、お手合わせ願いたいんだが?」
岩崎さんだ。
やっぱり実行部隊は血気盛んな人が多いらしい。そして佐伯隊長を始めとして周りの人間も止めようとしない。
どうやらみんな、使役モンスターの強さを直接見たいと思っているようだな。ならば期待に応えるべきだろう。
「……誰かやってみたい人いる?」
俺が使役モンスターに声をかけると、ロアが元気に手を上げた。
「はい、はい! 僕がやってみたい! 外での戦闘、まだ経験していないし試してみたい」
「一番小さいけど、本当に大丈夫か?」
ロアがやると聞いた岩崎さんが眉をひそめてきた。
——いや、心配なのはむしろあなたの方なんですけど。
心の中だけでそう呟いた。本当に言ったら激怒しそうで怖い。
ということで岩崎さんとロアの二人は模擬戦用の木刀を手にし対峙した。そして戦闘開始。ロアは軽く木刀の感触を確かめている。
(ちゃんと手加減してよ。怪我でもさせたら大変だ)
俺はさすがに手加減しろよと声には出せない。そんなことを言ったら相手を馬鹿にしているようなものだからね。そのためロアに対して心の中で祈った。
開始直後、岩崎さんが一気に距離を詰め、鋭い踏み込みで斬りかかる——が、ロアは身体を軽く傾けて避ける。
岩崎さんは感心したかのように声を出した。
「ほぅ、紙一重でよけるか。完全に見えているな。しかも最小限の動き、よけ方にも全く無駄がないな。じゃあ本気で行かせてもらう」
そこから岩崎さんは速度を上げ、手数も増やしていった。
しかし、どれも一切当たらない。ロアは最小限の動きだけで全部を躱していく。表情にはまだまだ余裕がある。
「……まじかよ……」
隊員たちがざわつく。
そしてロアの姿がふっと消え——次の瞬間、岩崎さんの背後に回り、軽く背中へ手を当てた。
「っ……!」
「確かに凄えな、リーダーでも全く歯が立たないのかよ……最後の動きを見たかよ、まるで消えたような感じだったぜ」
誰かが漏らした声が印象的だった。
その時だった。
実行部隊の女性隊員の一人が、ライフルをロアに向けて撃ってしまった。
「ちょっ、何やってんの?」
そう叫ぶ間もなく——ロアは横に手を出し、“何か”をつかみ取った。
それは銀色の弾丸だった。
「ちょ、待って。ちゃんと命中しないように撃ったのに……なんで銃弾を手で掴めるのよ。とんでもない、そこまでの実力があるの?」
撃った女性が青ざめていた。
ロアはきょとんとしている。マジですか。ロアたちが弾丸を掴めるなんて俺も知らなかったよ。いや、実力的にはそうかもしれないけど……。
岩崎さんが手を上げた。
「完全に参った。強さは本物だ。度胸を確認するために撃った銃弾まで掴むなんて……俺たちの想定以上だ、認めるしかない。よろしく頼む」
ロアも「よろしく」と軽く頭を下げた。
そのロアと言えば、どことなく
「もう終わり?」
みたいな表情だった。まあまだまだ余裕だろうからね。
その後、自衛隊の特殊部隊の数名が挑んだが全員完敗。
最後は使役モンスター同士の模擬戦も見せて終了した。
「とんでもないな……俺たちには全く本気を出していなかったな。このレベルの戦いをやられたら命がいくつあっても足りない」
「これが“使役モンスター”か。恐ろしいが味方にいるとなると頼もしいな。」
特殊部隊の人々は唸り、そして——佐伯隊長が俺のもとへ歩いてきた。
「強さは十分に理解した。本当に頼りにさせてもらう。これからよろしく」
差し出された手を、俺も強く握り返した。これから、本当に国家の切り札として戦う立場にになるんだ。
その重みを胸に深く息を吸った。