作品タイトル不明
第261話「自衛隊特殊部隊との顔合わせ」
#第261話「自衛隊特殊部隊との顔合わせ」
朝倉さんから連絡があり、ついに「ダンジョン特殊部隊」との顔合わせを行うことになった。
自衛隊側で十名のメンバーがすでに揃い、実働に向けて本格的な訓練を始めているらしい。もちろん、俺たちも日本のどこかでダンジョンが氾濫し呼ばれたらすぐに行く必要がある。
今回はその前に顔合わせをしておこうということだ。そうしないとスムーズに話が進まないからね。
というわけで、俺たち8人(3人+5体)は立川駐屯地へ向かった。
初めての自衛隊員との顔合わせということもあり、さすがに全員どこか緊張しているように見える。
そして現地に着いた瞬間——
「……あれ? なんか見たことある人がいるんだけど。誰だっけか」
俺がぽかんとしていると、横のひよりが小声で教えてくれた。
「レン、何をとぼけたことを言っているのよ。高泉首相と大泉防衛大臣よ。日本のトップじゃない。」
「え? あ、あぁ……!」
そうだ、思い出した。テレビで見たことがある人だ。日本のトップ2人だよ。
でも、今日、来るって何も聞いてないんだけど。まさかこんな間近に日本のトップが来ているとは思わず、心臓が跳ね上がった。
他にも、それらしい雰囲気の自衛官が11人ほど整列している。
たぶんこれが特殊部隊なんだろう。うん、めちゃくちゃ強そう……というか中にはかなり見た目に怖い人もいる。
そして朝倉さん、エリナさん、黒澤さん、透子さんまで揃っていた。そして朝倉さんが挨拶を始めた。
「レン君、よく来てくれた。今日はここにいる10人の自衛隊特殊部隊との顔合わせになる。そして、ここにいるのは首相と防衛大臣、自衛隊のトップ、そして特殊部隊だけだ。つまり、ここにいる全員が君たちの秘密を共有する人間だと思っていい」
——つまり、秘密保持者が一気に11人増えるということか。話には聞いていたけど一緒に戦うとなると秘密の共有は仕方がない。
いよいよ戦う前提の話になってきたように感じる。
すると、高泉首相が俺のほうへ歩いてきた。
「私が首相の高泉です。今後は特殊任務をよろしくお願いしますね」
俺はどう答えていいのか分からずにとりあえず答えた。
「はい。分かりました」
「……ちなみに私と大泉もレベル6なので、機会があれば一緒にダンジョンへ行きましょう」
「レ、レベル6……ですか!? それはもう、はい、機会があれば……宜しくお願いします」
(いや、本当はそんな機会は全然来て欲しくないけど……首相と一緒にダンジョン攻略なんて緊張して何もできそうにない)
思わず声が裏返った。
ルナもひよりも驚き顔だ。首相がレベル6、どうやら知らなかったのは俺だけではないらしい。そう思うと、ちょっとだけほっとする。さすがに日本で300人ぐらいのトッププロに首相と防衛大臣が入っているなんて思いもしないよな。
高泉首相が手を差し出してきたのでがっつり握手する。ひより、ルナ、そして使役モンスターの5人も同様に握手していった。首相と握手なんて本当に不思議な気分だ。
そして次に大泉防衛大臣が続いた。
「君たちに、日本の未来がかかっている。よろしく頼む」
「……はい。できる限り頑張ります」
大泉防衛大臣は俺の目を見てストレートに依頼してきた。緊張する。心臓がギュッと縮むような気分だ。本当に頑張らないといけない。
やはり大泉防衛大臣とも握手、緊張が続いた。
次に現れたのは、やや白髪混じりの壮年の自衛官風の人だ。この人は誰なんだろう。俺は知らない。
「幕僚長の高倉だ。自衛隊のトップと思ってもらってかまわない。私から特殊部隊に命令が行き、そこから君たちへ伝達される。これからよろしく頼む」
「分かりました。よろしくお願いします」
高倉幕僚長は続けて、俺たちを個別に確認していった。
「君がレン君、そして隣がひより君、更に隣がルナ君だね。そして——そちらの五人が使役モンスターで間違いないかな?」
「はい。その理解で大丈夫です」
「つまり——この使役モンスターの5人が最大戦力、というわけだね」
「……はい。そうなります」
「できれば手合わせをお願いしたいところだが…」
「はっ?」
高倉幕僚長が戦いそうにしているところを大泉防衛大臣が遮った。
「高倉、それは後からだ。まずは挨拶が先だ。自分だけ独占するんじゃない」
大泉防衛大臣が遮ってくれたのでちょっとほっとした。さすが自衛隊のトップだ。この歳になっても血気盛ん、使役モンスターの強さを身をもって体験したいと考えているのかもしれない。というか、この人後から戦うつもりなのか?
それにしても……首相、防衛大臣、自衛隊トップと国家レベルの人たちを前にして、緊張で汗が止まらない。
本当にとんでもない世界に踏み込んでしまったんだと痛感させられる。
「では次に君たちと一緒に戦うことになる自衛隊員を紹介しよう」と高倉幕僚長が続けた。
すると、一斉にこちらを見る自衛隊員の10人。
(……なんか、みんなギラギラしてるんだけど)
若手精鋭らしく全員が精悍で強そうだ。
でも、その視線にはどこか、俺たちを“値踏み”するような空気も混じっている気がする。やはりトップがトップなだけに自衛隊の隊員も血気盛んなのかもしれない。
ちょっと怖いけど……。
でも、ここで気後れするわけにはいかない。これから一緒に戦うことになる。しっかりとしたところを見せないといけない。
俺はそう思い直し、姿勢を正し彼らの自己紹介を待った。