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作品タイトル不明

第254話「朝倉さんからの重要事項説明」

#第254話「朝倉さんからの重要事項説明」

朝倉さんのオフィスに入ると、すでに全員が揃っていた。俺たち8人(3人+5体)、朝倉さん、エリナさん、透子さん、そして黒澤さん。

――総勢12人。

全員が「使役モンスターの秘密」を共有しているメンバーだ。

使役モンスターがFS遷移で人化したり、ダンジョンの外に出れること、更にはダンジョンから氾濫したモンスターを軽く討伐できることはまだ秘密となっている。

再現性も分かっていない現状では、そのようなことがバレると大混乱になるからだ。慎重な秘密保持となっている。

まあこの辺りはお任せするしかない状況なんだけどね。俺も当然のこと、この件だけは弟や妹を含めて誰にも話していない。

「じゃあ、まずは君たちの定期報告から聞こうか」

と朝倉さんが促した。

俺は頷き、一つ深呼吸して話し始めた。

「ルナがもうすぐレベルアップします。その後は俺が急いでレベル6へ。使役モンスターも随時……できれば今から1年以内には全員のレベルを上げたいと思っています」

朝倉さんは「順調だな。いや、順調どころじゃないか。前回の報告から、かなりスピードアップしているな。ありがたいことだ、その調子で頑張って欲しい」と感心した様子で頷いた。

そう言われると少し照れる。

ただ、今日はここからが本題だった。朝倉さんが話を続けた。

「では……大泉防衛大臣からの伝達事項について話そう。これが先日、話していた重要な連絡事項であり、君たちの意思も確認したい話でもある」

俺たち全員が一気に背筋を伸ばした。

防衛大臣と言えば日本を動かすトップの1人――その人間からの話だ。緊張しないわけがない。

朝倉さんはやや硬い表情で話を続けた。

「まず世界的にダンジョンの氾濫が増えている。状況は日増しに悪くなっていると言っていいだろう。多数の被害が出ている国もある」

「最近、自衛隊の国際派遣が増えているのはそのせいね」とエリナさん。

「ああ。日本ではまだ数例だが、最近では世界中でダンジョンの氾濫が相次ぎ、その対応が困難な国も出てきたんだ。世界の覇権争いをしている大国のA国やC国が軍を派遣して対応することが多いが……それでも手が足りない場合は要請を受けて日本から自衛隊が出ているんだ」

なるほど、最近は自衛隊の国際派遣がTVなどでも多く報道されている。世界のダンジョン氾濫に対応しているわけだ。

一部左派が戦争に繋がる可能性があるとかで海外への自衛隊派遣を反対しているが、こればっかりは仕方がないだろう。

余裕がある国がダンジョンの氾濫に対応するのは当然のこと。戦争とは関係がない、これは助け合いの話だ。

日本は自ら攻撃に出ないから自衛隊という名前が付いてはいるけど世界的にレベルが高くて優秀、ダンジョンの氾濫にもある程度は対応できる、困っている国があるならば対応するのが筋だろうと思う。

「大泉防衛大臣によると、それもかなり苦慮しているそうだ。どうしても現地との折衝が難しい」

まあそれはそうだろうな。日本の自衛隊と他国の軍はいつも一緒に訓練しているわけではない。

どのように協力してダンジョンから氾濫したモンスターに対応するのか?

難しい話は山のように出てくることだろう。もちろん俺には関係ない話だが……そう思っていたらそうでもなかった。

「日本はダンジョンの常時監視体制を敷いているが、それでもダンジョン氾濫の可能性は否定できない。そして氾濫時に君たちが現場に駆けつける場合、自衛隊との連携、協力が避けられないという結論に達した」

「……確かに」

俺は頷いた。

前回の陣馬高原ダンジョンの氾濫の時は全く問題は無かった。でもそれは偶然でもある。近くのダンジョンだったから単純に自衛隊より早く着いて対応できただけの話だ。その後はすぐに退去したので自衛隊にも戦闘シーンなどは見られていない。

でも、日本のどこかでダンジョンの氾濫が起きたら普通は現地の自衛隊が先に現場にいるだろう。その状況で俺たちが後から到着するとして、その場合はどう動くのか?

俺たちが自由に動いたら間違いなく現場の自衛隊は混乱するだろう。下手すれば武器をむけられるかもしれない。秘密が漏れる可能性も高くなる。

何らかの形で連携、協力が必要なのは間違いない。

でもそこには大きな問題がある。

「でも私たち、自衛隊と全く繋がりありませんよ? 協力するにもどうすれば?」

ルナが俺と同じ疑問を口にした。そうだ。どうやって現場の自衛隊と協力をするのか?俺たちにはその手段が全くないと思う。

「そこでだ」

朝倉さんは書類をテーブルに置いた。

「自衛隊に“ダンジョン特別対策部隊”を設置する案が高泉防衛大臣から出ている。それは、およそ10名の極秘の特殊部隊を想定している。これが実現すれば君たち専用の特殊部隊、いうなれば戦闘補助部隊が作られることになる」

「補助部隊……どういうことですか?」

ひよりが目を丸くした。

正直、俺も驚いた。まさか……俺たちの補助部隊を作る案が出ているとか、思いもよらなかった。

朝倉さんはその舞台についての説明を続けてくれた。その内容は俺が全く考えていない、かなり本格的なものだった。