作品タイトル不明
第238話「ダンジョンと使役モンスター」
#第238話「ダンジョンと使役モンスター」
黒澤さん、エリナさんを交えた打ち合わせを終え、俺たちはいつものように自分たちだけのミーティングを行っていた。
その中ではダンジョンについての話がいろいろと出てきた。俺の使っていた裏技について……そしてその後はダンジョンは何を目指しているのか?という話になった。
そしてよく考えたら使役モンスターに聞くのが一番では?と俺は思った。だって彼女たちはダンジョンから産まれた存在。
言わばダンジョンに一番近い存在だ。彼女たちなら何か知っているかもしれない。そこで俺は彼女たちにダンジョンに意思はあるのか?そして何らかの目的があるのかなど分かることがないか聞いてみた。
でも5人共に首を振った。何も分からないらしい。
でもそこでラムが続けた。
「あくまでも仮にですが……私たちのFSレベルが上がれば何か分かるかもしれません。FSが上がって何が起きるかは私達も分かりませんが」
次にリンが続いた。
「そうですです。FSが上がって何が起きるのか? 私達も予想もしなかったことが次々に起きてますです。そしてそれはレンさんがいうところの裏技のように思いますです」
そう言われてみればそれも一理ある。
すでに彼女たちがいるのが当たり前に考えていたがもともとはダンジョンから産まれている。
彼女の存在そのもの、更にはFSの遷移が裏技と言われればそうかもしれない。そして更に新しい裏技が出てくる可能性がある。
さすがだ。柔軟な発想だと思う。でもそう考えるのも当たり前なんだよな。逆に俺の考えが硬直しすぎなのだろう。
次にロアが続いた。
「そうだよね。僕たちはレンさんと念話ができるしね。これって普通の人同士ではできないんだよね? もしかしたら念話とかも何らかの鍵になるかも」
それもそうだな。念話もできるのが当たり前だと思ってしまっているけど普通にあり得ない話だ。
そして、それも裏技のようなものだ。そしてその念話があったからこそ俺たちの連携は良くなっていて攻略がはかどっている。これもダンジョンの恩恵と言えばそうだ。
使役モンスターを育てることもチュートリアルの1つ、攻略の鍵とも言えるかもしれない。というか、現状を考えるとそれで間違いないように思う。俺は彼女らがいなかったら間違いなく、ここまで進んでいない。
次にルフが話をした。
「私たちがダンジョンの外に出れるのもおかしな話よ。何のために外に出れるようになったの? 成長するダンジョンに対応するための私たちの変化なのかもしれないわね」
そうだ、それも肝心な話だった。彼女たちはダンジョンの外に出ることができる。それでダンジョンの氾濫に備えることができている。
それまでの変化はあくまでもダンジョン攻略のための変化だった。しかし現時点での最終の変化は外に出られるというもの。
それはおかしな話なんだよな。氾濫に備えることができているのはいいがどうにも現時点での最後のFS遷移は不自然、ダンジョン攻略とは全く関係ない……いや、逆に氾濫に備えることができていると言う意味では自然な遷移と言えるのか?
となるとダンジョンの最終的な目標は人類の滅亡?そして、それに対抗する猶予と手段を与えてくれているという考え方もできるかもしれない。でも、そう考えるのは凄く怖いんだが。
クーも続いた。
「俺たち使役モンスターもダンジョンと共に成長しているという考え方もあるかも。そう考えるとダンジョンが消えれば俺たちも消える可能性もあるかもしれないな」
「そんな悲しいことを言わないでくれよ」
俺はびっくりした。彼女たちがいなくなったらなんて考えられない。そんなことは絶対に嫌だ。
でも可能性としてはいろいろ考えられる。ダンジョンができたことだけでも不思議なこと。
更に使役モンスターがいるのもかなり不思議だ。
俺以外の人は使役モンスターを全く使わないというのも……実はダンジョンとしては想定外、イレギュラーなことなのかもしれない。
そしてそれが今後は何かの大きな妨げになるのかも。あくまでも想定、予想だらけだけど、そういう考えもありそうだ。
「やっぱりなんだかんだ言っても最終的な鍵はレンが持ってそうだな」とルナが俺の思考を遮ってきた。それは違う……と言いかけたがやめた。現状を考えると、俺と使役モンスターが何らかの鍵を握っている可能性があると考えるのは自然だ。
そして、こうやってみんなといろいろと話はしたがダンジョンがその先に目指しているものはなにか?現時点ではさっぱり分からない。
でも、もしかしたら彼女たち使役モンスターが更にFS遷移することで何か見えてくるかもしれない。
例えば次にFS遷移すればダンジョンとの意思疎通ができるとか、ダンジョンの活動を止める鍵を彼女らが持っているのかも?
そう考える彼女たちを育てることが最大の攻略の鍵になるのかもしれない。
気づけば、全員でゲームのようにダンジョン論を語っていた。
でも不思議と、悪くない感覚だ。
「ゲーム脳も、たまには役に立つかもな……」
俺が呟くと、ルナが小さく笑った。
「時にはこうやって視点を変えるのは大事かもしれないな。でもそればかりやっていても前には全く進めないがな」
「そうね。まずは目の前の五階層攻略に集中だね!」
ひよりが拳を握った。
そうだ。
今後、深層に挑む俺たちにとっては考えてばかりもいられない。
今は考えすぎるよりも、まずは目の前の階層を確実に踏破することが最優先。
もちろん、いろいろとひっかかることがあるから、たまにはこういったことを考えるのもいいだろう。
そして、こういう議論が新しい気付きや突破口につながるかもしれない。
俺はそう思った。