軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第239話「託された想いを胸に」

#第239話「託された想いを胸に」

黒澤さん、そしてエリナさん――

2人は日本を守るために、自分たちの“深層攻略”という夢を半ば諦めたのだろう。

もちろん完全には諦めてはいないだろうけど、今は立場があるので自由は効かない。わだかまりもあるだろうし以前と同じ仲間と一緒に攻略をするのは無理だろうな。

今、どういう想いなのかは分かるすべもないけど黒澤さん、エリナさんが日本を守ってくれたのは間違いないだろう。そのおかげで俺は自由にダンジョンの攻略ができている。

そう思うと胸の奥にどっしりとした重みが残っていた。

彼らが叶えられなかった未来を、俺たちが引き継ぐ。そんな気持ちが自然と湧いてきた。気合が入らないわけがない。

その思いを胸に、俺たちは五階層の攻略へ向かった。

だからといって無茶をするわけではない。むしろ、これまでと同じく安全マージンを厚めに取りながら効率化を図る。失敗するわけにはいかない。

基本戦術は今のところ変えていない。オーク1体に付き2人以上で当たる。1人はオークの牽制、その間にもう1人が雑魚を討伐してできるだけ早く2対1の形を作る。そこまでいけば2方向からの攻撃でオーク相手でも何とかなる。

なので今、とりあえず考えているのは更なる効率のアップだ。

「どうすれば最小の力で最短の討伐ができるか?」

今後はそこに重点を置く作戦で進めていく。とにかくスピードアップだ。

まずは雑魚モンスターの処理を考えた。

スライム、ゴブリン、ベア――ここまでは一撃で倒したい。

ウルフは二撃以内。

力の入れどころを細かく調整しながら進む。弱い相手に全力は不要。軽くで倒せるならば軽い力でスピード重視で倒して次に進む。

一方で強敵にも無駄な手数はかけられない。そのギリギリの調整を全員が追求していった。

そして定期的に打ち合わせをしていく。

「スライム、ゴブリン、ベアは余裕だから、とにかくスピード重視で倒していこう」

「弱い敵ならば一撃で2体同時もいけるんじゃないか?」

「さすがにそれは無茶……でもないか。効率アップできるならばそれも検討したいな」

実際に出力調整などを試してみると成果はすぐに現れた。無駄な力を入れないようにしたら討伐スピードが速くなったのだ。そうして効率の良い方法を更に追及していく。

更に弱い相手なら一撃で2体まとめて倒せる場面も増えてきた。まずは2体を一緒に倒すような位置取りも瞬時に考えて動く、そしていつもよりも出力を上げて切りつける。これでまとめての討伐が完成する。

俺たちはそうして気が付いたことが情報を共有し、それぞれが自分の“最小必要火力”を調整していった。

雑魚の一掃が早くなれば、当然オークへの到達も早くなる。オークは一対一ではまだきついけど二対一ならば勝てる。なのでその形にいかに早くもっていけるかが勝負だ。

五階層のオークは相変わらず上背があり、パワーも桁違いだ。さすがに一撃、二撃で倒すというのは難しい。だが、注意すべきはそこだけ。

二方向からうまく死角を突けば効率よくダメージを蓄積させていくことができる。これで十分に安全マージンが取れる。

雑魚をできるだけ早く一掃して二対一の状況を作ればまあ楽勝と言える。

ダメージが溜まったところで――

「ルナ、あとは宜しく!」

俺たちはなるべくルナにトドメを譲るようにしている。

そうして、最近では一日300体以上のモンスターを倒し、そのうちオークは60体に達するようになった。ルナの経験値は順調に伸びている。初期の1.5倍以上にはなってきた。なれてきたら更に討伐数は増やしていけるだろう。

このペースなら――

ルナのレベルアップは半年以下ぐらいに短縮できる。最初は1年ぐらいかかるかと思っていたがもっと早くできそうだ。

もっと早くしたい気持ちもあるが、焦りは禁物なんだよな。

安全マージンを守りつつ最速を目指す。それが俺たちの基本方針。そのために何をしていけばいいのか?討伐を進めながら、それぞれの攻略で見えてきた最善手を打ち合わせの中で突き詰めていった。

「更に早く討伐する方法はないかな?」

「ルナさんの位置取りをもっと自由にすればいいのでは?」

「でもすでに自由に近いんだよな」

現状では俺たちのエース、ルナのいる組が一番早くオークを討伐をしている。だからルナは比較的早く自由になって、他のオークの討伐に回る。そうして他のところも余裕ができて最終的にルナが全てのオークを討伐する状況だ。

更にルナの自由度を上げればいいのかもしれないけど難しい。今が最適解のような気もする。でも思考停止してはいけない。何か良い方法がないか常に考えながら討伐を進めていった。

ともかく五階層の攻略は問題なく進んでいる。全員レベル6へ到達する未来も、見えている。

あとは、どれだけ早くその未来を掴むかだ。

こうして、いつの間にか五階層をどうやって攻略するか?という話からいかに早く討伐できるかに話が移っている。順調に攻略が進んでいると言っていいだろう。

俺たちは息を合わせ、さらに五階層を進んでいった。