作品タイトル不明
第163話「レベル5、そして次なる段階へ」
#第163話「レベル5、そして次なる段階へ」
俺たちは主に恩方ダンジョンの4階層での討伐を続けている。とりあえずの目的は全員のレベル5へのレベル上げだ。
そして俺の経験値がかなり貯まってきた。今日か、遅くとも明日にはレベルアップするだろう。仲間内ではルナに続いて2人目になる。
今は2組に分かれているが、ルナがリーダーの組ではラムの経験値が急ピッチで増えている。俺がレベルアップしたら次のラムのレベルアップもすぐだろう。これからしばらくはみんなが毎月のようにレベルアップしていく予定、みんなが強くなっていくのが楽しみだ。
同時に、宝箱の当たりもいくつか出現していた。
銅箱からは0.1%およそ1000個に1回の割合で当たりで中身があるのだが出ない時はおよそ2000個以上開けても全部が空っぽ。
でも当たりが出る時は連続で出るような気がする。不思議な波があるんだよな。まるでパチンコとかスロットかのような?
「これ、もしかして何か法則でもあるのか?」と独り言をつぶやいても、結局のところは分かるはずもない。
当たりで中身が出てくるときのサンプル数が少なすぎる。現状では統計を取ることもできない。おそらくはハンター協会の方で調べているだろうからその辺りはお任せだな。
そして、ここ最近の宝箱の当たりは装備ばかりだ。装備3種類(武器、防具、ブーツ)のうちのブーツ、靴が出てくる。せっかくのたまにの当たりなのに同じものだとちょっと寂しい。
俺は既に装備しているのでラム、リンの順で渡したのだけど2人(2体)とも凄く嬉しそうだから良かったけどね。
性能も悪くないようで、移動が軽快になっているのが見て取れた。俺よりも早く慣れているような気もしてちょっと複雑だけどそれはまあいいだろう。今は俺のレベルアップに向けて集中だ。悲しくなるんで余計なことは考えないでおこう。
そして、ついにその時がきた。
全身が軽くなる感覚がやってきたのだ。
「……きたな」
レベルアップだ。レベル5――とうとう、この段階に辿り着いた。体が軽い、動きが更に一段レベルアップしているのを感じる。おそらくはパワーも増している。
ひよりがこちらを見て、小さく声を上げた。
「レン、もしかして……?」
「ああ、レベル5になったよ」
その瞬間、ひよりが笑顔で手を上げてきた。俺も手を合わせ、軽くハイタッチ。
――こういうの、悪くないな。ちょっと照れくさいけど嬉しい。
そのまま討伐を続けると、やはり動きのキレがまるで違った。
力の伝わり方が鋭く4階層のモンスターが一段と遅く見える。フォローに入るだけのつもりが、つい倒してしまいそうだ。手加減もまだ難しい。
「これが……レベル5か」
強くなっているのを実感する。まだ少し慣れないが、完全に慣れたら4階層は楽勝だろう。ソロでもいけそうだ。
その日の討伐を終えてルナたちと合流すると、すぐにルナから声をかけられた。
「レン、レベルアップしたのかい?」
「なんで分かるんだ?」
「そりゃあ分かるさ。顔がニヤけてる。それにもうそろそろと聞いていたからな。状況から明らかだよ」
「そんなに分かりやすいか?」
ルナが笑い、ひよりまでクスクス笑っている。どうやら隠しきれていないらしい。本当はルナを驚かせようと思っていたので少し悔しい。
「それはともかくおめでとう。これで5階層に一歩近づいたな」
「ああ、今から次の5階層が待ち遠しいよ」
それにしても、次は5階層か――。
ルナは休みのたびにソロで挑んでいるらしい。やはり次の5階層が気になって仕方がない。
「なあ、ルナ。5階層ってどんな感じなんだ?」
「ああ……正直、ソロではきつい階層だな。とにかく数が多い。まずは囲まれないような位置取りが大切だ。そして雑魚の殲滅をできるだけ早くしないといけない。ちょっとでもミスれば囲まれて終わりだ」
「そんなにか。ルナでも大変なのか」
「雑魚でも数が増えればやはり厄介だ。今のところはなんとかなっているけどな。でも、ここにいる全員がレベル5になれば話は全く異なる。このメンバーなら余裕で戦えるさ」
ルナの言葉に、胸の奥で高揚感が広がった。
5階層――次なる壁。だが、もうすぐ届く。しかもルナの見立てではここにいるメンバーが慣れれば余裕の階層でもある。ならば次もすぐに見えてくるだろう。
俺は少し興奮した。
「そうか。じゃあ、まずは全員のレベル5を目指し……そしてその次はみんなで5階層だな」
一方でルナは冷静だ。
「そうだ。そしてその次は……全員でレベル6だな。そこまでは特に問題なく進めることができるだろう」
「レベル6か。そこまで行けば、いよいよエリナさんの背中が見えるな」
もちろん、上がれば上がるほど道は険しくなると聞いているからそんなに簡単ではないだろう。
けれど、このまま進めば日本でもトップと言われているエリナさんと同じレベルになるのも夢ではなさそうだ。
俺はまずはエリナさんに早く追いつきたい。そしてその先に広がる景色も見てみたい。
そして今は仲間とともに歩むこの時間が楽しい。やはり俺にとってはハンターという仕事は最高だとつくづく思う。