軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第126話「連撃の習得」

#第126話「連撃の習得」

今日もルナの道場だ。

やることは変わらない――型を繰り返す毎日。体に覚え込ませている。

まずは正面からの真っ向斬り。この道場に来て最初に覚えた打ち込みだ。そして、その打ち込み直後に半身へ移行。この型を繰り返す。

真っ向斬りは威力が高い分だけ隙も大きい。だから“打つ→半身で隙を無くす“の一連の流れを体に染み込ませている。

打ち込み後、すぐに半身にすることで相手から打ち込みする面積が減るので攻撃を受けにくい。更には心臓などの弱点部分を隠せる。そして受け流しもしやすい。まあ、半身はいわば防御の構えだ。

すなわち攻撃後にすぐに防御の構えにするということだ。

次にまた真っ向斬りを出すときは、半身から正面へ戻してからになる。それで何度でも威力が高い打ち込みをすることも可能だ。

もう一つの型は半身のままの袈裟斬りという型。こちらは防御の姿勢からの攻撃、そのため威力は劣るもののモーションが小さいから見切られにくく隙も少ない。

半身→袈裟→半身。ボクシングで言えばアウトボクシングでのジャブ攻撃。一撃の威力は落ちるがうまく嵌れば一方的に攻撃することができる。威力ではなく安全な距離から手数で圧倒する攻撃。この循環は4階層の主力パターンになりつつある。やはり安全第一だからね。

これに加えて足さばきも繰り返す。

これが一番地味できつい。縦・横・斜め、そして小回りの回転。

その前に場の「段差・ガレキ・ぬかるみ」などを一瞬で確認する必要もある。足場が悪いところで無理をしては自分が転ぶ可能性がある。道場では滑らかにできても、ダンジョンでは“地面を読む目”が前提になってくる。

でもこの動きがスムーズにできれば格段にスピードが増すのでやはり重要だ。

同じ稽古の反復は正直なところしんどい。けれど実戦で効くことは間違いないことは実証済みだ。それが分かっているからこそ続けられる。

実戦で試せば試すほどに、やっぱりルナの指導は間違っていないと感じる。

そのルナが竹刀を軽く指先で弾いて言った。

「かなり基礎が固まってきたし、今日はそろそろ“連撃”をやってみようか」

連撃。響きがいい。かっこいいじゃないですか!これぞ男のロマン。胸が少し踊る。

「じゃあ、私がやるから見ててくれ」

まずは手本だ。ルナが半身から――スッ、スッ。袈裟斬りの二連発をした。ほぼ1本の振り下ろし。でも間違いなく2回振っている。俺も慣れてきたから2回振っていることが分かるが稽古をする前だったら視認できなかったかもしれない。

「二連続がスムーズで速い……」思わず声が漏れた。

真似してみる。だが一撃目から二撃目への移行で詰まる。スムーズに繋がらない。腕が変なところで止まる。

――そういえば、以前「連続技は絶対にやらない」と釘を刺されていたっけ。今の自分がまさにその未熟な動きだ。基本の袈裟斬りさえもできていない状態でこれをやったら無茶苦茶になりそうだ。

「最初は形だけでいい。ゆっくりで繋いでごらん」

言われた通り速度を落とすと、軌道の継ぎ目が分かる。半身の軸、肩の抜き方、手の内の締め緩め――“どこで詰まるか”が見えてくる。あとは手首のスナップが必要になってくるな。

「そう。ゆっくりならまずまずいい感じだ。その感覚でいい。連撃は“速くする”前に“途切れない型”を作る。うまく途切れなくなったら、あとはそこに速さを載せるだけになる」

うん、理屈は分かる。だが実践するとまだまだぎこちない。どう考えても連撃とは言えない。

「レン、やっぱりちょっと不器用だね」ひよりが笑う。

横目で見ると、ひよりは多少ぎこちなくても2撃目まで持っていけている。筋がいい……くやしいけど認める。

ルナは更に要点を畳みかけてきた。

「使いどころも大事。二連目の最中に横合いから刺されるのが一番いけない。横並びの雑魚を連続で掃くのには有効だけど、それぞれ一撃で確実に落ちる相手かを瞬時に見極める必要がある。

あと慣れないうちは2撃目が弱くなりがちだからいつもは1撃で落ちる敵が落ちない可能性もある――それも計算に入れること」

そしてメニューが告げられる。

「ゆっくりの連撃を十回、通常速度の連撃を十回。これで一セットだな。これをまずは五セットやってみよう」

俺は呼吸を整え、半身から“ゆっくり二発”。どこで力が乗るか、どこで抜くか。肩、肘、手の内、腰の送り、足の粘り――一つずつ確かめる。

その後は通常速度でもう十回。

うまくいかない理由を言語化してから再開。単純作業に見えて、頭はずっと忙しい。

これが身につけば、4階層は楽になるよな。敵が10体いてもそのうちの8体はレベル3以下の雑魚だ。それを一気に片付けることができるならば残りは2体主力のクイックウルフ。1人でも何とかいける可能性がある。

近いうちに4階層で1人で10体を相手にすることもできるかもしれない。

それができればレベル5への道は圧倒的に近くなる。

連撃は難しいけど面白い。これは早く習得したい。

不器用でも、数でねじ伏せる。それが俺のやり方だ。焦らずしっかりと習得しよう。

そして……ラムとリンにお披露目して驚かしてやろう。そして自慢してやる。