作品タイトル不明
第127話「連撃の初実戦」
#第127話「連撃の初実戦」
道場での連撃稽古を続けて数日。まだまだぎこちなさはまだ残るのだけど、身体の中で歯車が噛み合う感覚が少しずつ増えてきた。2連続で敵をやっつけるイメージも湧いてきた。
となると——やっぱり実戦で試したくなる。
今日も恩方ダンジョン4階層。先日、ロアがレベルアップしてから俺+ラム+リンの3人編成(1人と2体)だ。
2人(1人とどちらか一体)で回していた頃より明らかに余裕がある。よし、そろそろ連撃も実戦でやってみようじゃないか!
今回の敵モンスターの出現は10体だった。端に弱い個体が二体並んでいる。これはチャンスだろう。
半身から踏み込み、斜めに一閃——袈裟斬りで一体目を斬る、そして間髪入れずに流れるように二撃目を二体目に加えてそちらも倒す。
手応えはあり。二体がほぼ同時に崩れ落ちた。
おお、ハマると気持ちいい。これは凄いぞ。
さすがに今の俺は三連、四連までは繋げない。いったん離脱、体勢を半身で締めてから再度二連で削った。
これを更に四連、そして五連以上といった繰り返しを当たり前のようにやるのがルナなんだよな。しかも袈裟斬りだけでなく逆袈裟斬りなども加えて変幻自在、更には俺と違って威力も安定していると思う。俺の目指す先はまだまだ遠い。
主役のクイックウルフはこの攻撃では落ちない可能性が高い。なのでそのクイックウルフの位置取りを見、時には牽制しながら雑魚を一層していく。
いい感じで短時間で雑魚が倒れていく。前より効率が上がっているのが自分でも分かる。
<<ご主人様、連続攻撃、凄いです>>
<<いい感じだと思いますです>>
ラムとリンが念話で褒めてくれるのが嬉しい。ふふっ、これが初披露だから新鮮だろう。でも浮かれすぎないようにしないといけない。ルナから聞いていた注意点もその場で共有した。
「連撃は“一撃で確殺できる相手”にまとめて当てることが望ましいんだ。倒れないと反撃が怖いからね。特に二撃目は俺のような初心者は威力が落ちやすいから、自分の剣の威力を過信しないことも大事なんだ」
<<なるほど、軽くやっているように見えて、いろいろ考えているのですね>>
<<奥が深いですです>>
その後も何度か試す。まだ二撃目で流れがスムーズにいかない時も多い、明らかに威力が落ちていると感じることも——やはり稽古と実践は全く違う。まだまだだと感じる。
それでも連撃という手札が増えたのは間違いない。これが確実に決まれば、出現直後の群れから短時間で頭数を減らせる。リスクも減るし効率も上がる。
今日は連撃と言う新しい技も使って、更には3人(1人+2体)なのでペースが乗った。討伐数は三百体超、以前の2人(1人+1体)編成の時の倍以上だ。
とはいえ経験値の旨味はクイックウルフ。一日六十体前後。頭割りすれば一人当たり二十体ほどにしかならない。雑魚からの経験値もあるが、ウルフだけで見ると一万体必要、その道のりは相変わらず遠い。
結論としては……もっと連撃を安定させて、さらに効率を上げる必要がある。そうすれば討伐数が増える。それで効率よくレベルアップできるはずだ。
……と思っていたら、横でラムとリンが、ややぎこちないながらも俺を真似て二連を始めた。
<<見よう見まねですが、こう…ですか?>>
<<二撃目が難しいですです、動きが難しく力がうまく入らないです……でも、当たると早いかもです>>(リン)
え、習得が早くない?さすがに俺よりもまだぎこちなく見えるけど形はできているような気がする。
俺は内心で苦笑しつつ、要所だけ口を挟んだ。最初はゆっくりやってそれである程度の要領を掴んでから試した方がいいとやはりルナから教えてもらったことを伝える。
<<確かにゆっくりやるとおかしなところがすぐに分かりますね>>とラムとリンが納得している。なんとも理解が早い。
今度は15体の群れが再出現。俺はウルフの射線を牽制しつつ側帯の雑魚を二連で刈り取り、ラムとリンも近くの雑魚を二連で削っていく。
これは凄い、みるみるうちに敵が倒れていく。明らかにいつもより敵の減りが早い。
メインの敵、クイックウルフは簡単には倒れないので安全圏から袈裟斬り、半身、袈裟斬りの攻撃を繰り返す。一気に倒すのは難しいがこの方法で一方的に相手にダメージを与え倒した。
終わって、ひと息。いい感じに随分と討伐が早くなった。そして敵が15体でも余裕だ。安全な討伐を繰り返しているので全く無理はしていない。
けれど、効率が良くなり前へ進んでいるイメージを掴んだ。更に効率が良くなれば1日の討伐数が増えていくことだろう。
……にしても、このラムとリンの成長曲線がとにかく凄い。俺よりもはるかに習得が早いと思う。
このペースだと、うかうかしてると普通に追い抜かれるだろう。さすがにそれは悔しい。だって俺は訓練もやっているのだからね。実戦だけのラムとリンに負けるわけにはいかない。
<<ラムとリンには負けられないな。俺はもっと強くなるぞ!>>
<<はい、ご主人様。私も強くなります!>>
<<私もがんばりますです!>>
ラムとリンが強くなりすぎて焦りはあるけどそれ以上に楽しみだ。このまま効率が良くなったらすぐにレベル5が見えてくる。
俺たち全員でレベル5、そしてレベル6を目指していこう!