作品タイトル不明
受付嬢三年目編・大会一日目
視線が微妙に噛み合わない。
じっと見つめるも、どこか気まずそうな顔で私の右を見ている。
「別に、それは間違ってないよ」
「は?」
「二十四歳だからね」
「??」
何言ってんだこいつ。
「嘘吐くと大会に参加できないけど大丈夫?」
「いや、だから嘘は吐いてないから」
「ナナリーさん、彼は二十四歳で間違いない」
横にいたボリズリーさんがロックマンの肩に手をかけてそう言う。
え?
「そーよ、貴女知らなかったの? 隊長は私と同じ歳だもの。だから本当なら私が同級生だったのに~。ですよね隊長?」
ウェルディさんが今までに見たことのない自信に満ちた顔でロックマンの腕を掴む。
この展開はなんだ。
でも三人が嘘をついているようには見えない。
ということは。
「ほ、ほんとに?」
「ゼノン殿下の護衛のために同じお 歳(とし) で入られたんだから」
四つ、年上。
護衛の、ため?
魔法でもなんでも色々負かされ苦汁を飲んできた日々。
今度こそは今年こそはギャフンと言わせてやりたいと思っていたのに、年齢が、そもそも、上だと?
二十ではなく二十四。
四年も上であるとは、本人からそうであると言われてもいまいち実感がわかない。
確かにちょっと、まぁかなり大人っぽい奴だなとは昔から、というか一年生の時から思ってはいたけれど、四つ上。四つ上。四つ、上。
まって、でもならなんで同じ学年にいたんだ。年齢通りに入るなら学年は四つ上になるはず。ああでもさっき護衛とか言ってたし、そっか、それならまぁ納得というか。
でも貴族の皆も何も言っていなかった。
皆も知らなかったとか?
真実はどうだとか今はあまり突っ込んでいられない、それよりも、
「年齢でも負けてたなんてぇ!!」
「そればっかりだな」
膝からガクンと大げさに崩れ落ちて両手で顔を覆う。
同い年ではないという衝撃がじわじわと私の胃を締め付ける。
じゃあこいつは今まで「年下がピーピーうるさいな」とか「子供のくせに」とかそんな風にも思っていたに違いないし、若干なめた目で見てくるのもそう思っていたのなら頷けた。
「ちょっと、うちの子すっごい落ち込んじゃってるじゃない。どうしてくれるんですか」
先輩が背中を擦ってくる。ありがとうございますピジェット先輩。
でも別に落ち込んでなんかいない。ただちょっと私にとっては衝撃が凄かっただけで、別にそんなんじゃない。
「隠していたわけでも、嘘をついていたわけでもないよ」
項垂れている私の隣に来たのか、影がさした。
「聞かれなかったから言わなかっただけで」
分かってるし。
まぁ聞いたことはないし。そんなに話さなかったし。
「ちょっと厄介な魔力のせいで、小さい頃は他の人間より成長が遅れていたんだ。ちょうど四歳くらいね」
ああ、確か魔力が高すぎて、コイツは昔から色々苦労していたんだった。
「ゼノン王子の護衛として年齢も僕が一番近かったし、それで一緒に学校へ入ったんだよ」
そうなのか。
「身体的な年齢は多分、君やサタナース達とは変わらないから」
なるほど。
「いい加減顔上げてよ」
なんだか私、子供っぽい態度をとっていやしないか。
ロックマンの言葉に唇をムッと突き出してゆっくり顔を上げる。
隣では奴が私の目線に合わせてなのか、膝を折ってしゃがんでいた。
「そんなに一緒が良かった?」
「気持ち悪いこと言わないでくれない」
「僕も言ってて気持ちが悪い」
二人して不味いものを食べたときのような顔になった。