作品タイトル不明
66話 大天使と復讐のコミガス
ぼくが魔族狩りから村人を救ってから、数日が経過した。
ある日のこと。
ぼくたちはダンジョンへ向かう途中、森の中でお昼ご飯を取ることになった。
水をくんでくるというアスナさんとティナ。
ぼくはレジャーシートを広げて、お昼の準備をする。
「こうやって石をくみ上げてっと」
アイテムボックスに入れておいたシチューを、鍋ごと取り出す。
石と木の棒を組み合わせて、お鍋をつり下げる。
あとは不死鳥の炎で、ボッと火をつければオッケー。
『もうわらわの炎を手足のように扱えるようになったな。さすがエレンじゃな♡』
不死鳥のカレンが、ぼくの頭の上でパタパタと羽を動かす。
そのときだった。
「う……うう……」
ガサッ、と茂みが動くと、何かがぬぅっと現れた。
「わわっ! なんだ……女の、人?」
青い髪の、綺麗なお姉さんが現れた。
白い清潔な衣服を着て、頭に黄色い輪を乗せている。
「変わった服装……あ、あの……どちら様でしょうか?」
「…………」
女性は答えず、ぼくたちの前で倒れる。
「だ、大丈夫ですかっ?」
倒れ伏す青髪のお姉さんに、ぼくは慌てて近寄る。
ぐぅううう~~~~……、ととても大きなお腹の音がした。
「ええっと……お腹、空いてるんですか?」
ややあって。
「少年、ありがとう。礼を言う」
ペコッ、と青髪お姉さんが頭を下げる。
『こ、こやつあの寸胴鍋に入っていたシチュー全部食いよったぞ……』
カレンが戦慄していた。
ぼくもかなり驚いている。
細いお腹に、まさか全部入るとは。
「あわや飢えて死ぬ寸前だった。あなたに最上級の感謝を捧げる」
「いえ、気にしないでください。困ったときはお互い様です」
「しかし我のせいで君のお昼ご飯を食べてしまった。申し訳ない……」
しゅん、と女性が肩をすぼめる。
「気にしないでください。ぼくにはパンがありますので」
アイテムボックスからパンを取り出し、ぼくはカレンにちぎって食べさせる。
「あ、小鳥さんたちが集まってきた」
ぼくはちぎって、地面にパンをまく。
カレンが一緒になって、森の小鳥たちとご飯を食べていた。
「君……名前を何という?」
「エレンです。エレン・バーンズ」
「エレン……そうか……君が……」
小鳥にエサをやっている姿を、お姉さんはジッと見てくる。
「エレン。君は素晴らしいひとだな」
「ど、どうしたんですか、急に?」
感心したようにうなずきながら、お姉さんが言う。
「自分も腹が減っているだろうに、目先に飢え死にしかけた女がいればその糧をゆずり、腹を空かした小動物たちにも施しをする。見事な心意気だと我は思う」
「そんな、たいしたことないです。お腹空いて苦しいのはみんな一緒です。持っているひとは持たざる人に施す。それは当然ですよ」
お金がなくって困っていたとき、アスナさんはいつもご飯をおごってくれた。
弱きを助けるその姿勢に、ぼくは影響されている。
「なるほど……エレン。我は君を誤解していたようだ」
「えと……ぼくたち前にあったことありましたっけ?」
『そもそもおぬし、何者じゃ?』
青髪のお姉さんは姿勢を正していう。
「申し遅れた。我はーー」
「ウリエルぅうううううううう!」
そのときだ。
ガサリと茂みが動いたと思ったら、凄まじい形相をした男が出てきたのだ。
「おまえは! 【コミガス】!」
亜人狩り部隊の隊長、コミガスだった。
「久しぶりだなぁエレン……会いたかったぞ……反逆者めぇ~……」
血走った目で、コミガスがぼくをにらみつける。
「【ふくろう】からもらったこの力、さっそく使うときがきたようだなぁ……!」
「ふくろう……? 何のことだ?」
よくわからないけど、コミガスからは異様な力を感じる。
「ウリエルぅうううう! 貴様エレンを見つけたのなら即刻排除しろと命じておいたはずだろぉおおおお!?」
青髪のお姉さん……ウリエルさんは立ち上がって、首を振る。
「我は言った。もし精霊使いの少年が、悪しき魂を持つ場合は排除すると。しかし……」
ウリエルさんはぼくに優しいまなざしを向ける。
「彼はまれに見る見事な善人だ。排除すべきでないと判断した。よって貴様の命令は聞かん。たとえ【命令権限】があってもだ」
ビキッ……! とコミガスの額に血管が浮かぶ。
「……図に乗るなよ、神の使いっ走り風情がぁあああああああ!」
バッ……! とコミガスは手を前に突き出す。
「スキル【天使使用権限(最上級)】!」
「ぐ、う……うぁあああああああ!」
ウリエルさんは身体を抱きしめる。
バサリッ! と背中から6枚の、白い翼が生える。
「つ、翼……? 人間じゃ……ない?」
『エレンよ、気をつけよ。こやつは天使。しかもわらわに気取られぬ隠蔽術を持つとなると、おそらく天使の中でも上位に君臨する【大天使】じゃ』
大天使だったウリエルさんは、宙に浮かび上がる。
頭に乗せていた輪っかが赤く輝く。
「ああ! うあぁああああああ!」
「ひゃーーはっはぁ! 【ふくろう】から【貰ったスキル】は最高だ! 大天使の生殺与奪はほれ、この通り私の手の中にある!」
「コミガス、やめろ! 彼女がいたがってるじゃないか!」
怪しく光る目をぼくに向けながら、コミガスが言う。
「やめるものか! ウリエル、このガキを殺せ! できる限り苦しませて殺せ!」
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精霊使いへの敵対行為を感知しました。
コミガスから【天使使用権限(最上級)】を剥奪します。
→”<$PP#%{>$%`#
不正な【■霊■■】からのジャミングを感知しました。
→バグを修正します……
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「エレン……にげ、なさい……」
バッ……! とウリエルさんが手をぼくに向ける。
彼女の手が青く輝くと、吹雪が襲いかかってきた。
「ひゃーっはっはぁ! ウリエルは熱を司る天使! 熱で燃やし尽くすことも、逆に熱を奪って凍りつかせることもできるんだよぉおおおおおお!」
大森林を覆い尽くすかのような、激しい吹雪がぼくを襲う。
「この森に住まう命全てを奪ってやれぇえええええ!」
「そうは……させない! カレン!」
『良い機会だ。見せてやろうぞ、本物の【精霊使い】の力をな』
ぼくは右手を向ける。
背中に、炎の翼が生える。
「【 不死鳥の羽撃(フェニックス・ブロウ) 】!」
翼を羽ばたかせると、広範囲に不死鳥の炎が広がる。
「ひゃはははぁ! エレンぅう! 森を燃やすのかぁ!? この放火魔めぇええ!」
『度しがたい阿呆だな。みよ』
炎と氷がぶつかる。
じゅぉおおおお……と激しい水蒸気が上がる。
そして気づくと……氷も炎も、消えていた。
「なっ!? そんなバカな!? なぜ!?」
『当たり前じゃ。エレンの炎使いとしての腕は達人級。木々や生命を守り、氷だけを燃やすことも可能。さすがはエレンじゃ』
立ち昇る水蒸気のなか、苛立たしげにコミガスが言う。
「クソッ! こうなったらウリエル! 炎で攻撃だ!」
「あぁっ! ああぁあああ!」
コミガスがウリエルさんを苦しめているのだろう。
「そうは、させないぞ!」
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精霊使いの能力を発動します。
不正な【■霊■■】によるバグを取り除きます。
→成功しました。
コミガスからスキル【天使使用権限(最上級)】を剥奪します。
→成功しました。
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「あ……」
ウリエルさんが力尽きたように、倒れる。
ぼくは急いで近づき、彼女を抱きかかえる。
「もう大丈夫だよ!」
「エレン……」
ぼくはゆっくりと、ウリエルさんを下ろす。
「ばかなっ!? 天使の使用権限が剥奪されている!? おいふくろう! どうなってるふくろう!? 話が違うじゃないかぁ!」
ぼくは彼に近づく。
「女性を痛めつけて、無理矢理言うことを聞かせるなんて……最低だぞ!」
「ひっ……! く、くそぉおおお!」
コミガスは落ちていた木の枝を手に、ぼくに殴りかかってくる。
「たぁ……!」
ぼくは彼の攻撃を避けて、カウンターとして、拳で頬を殴り飛ばす。
「ぶぎゃぁああああああああああ!」
コマのようにクルクルと回転しながら、コミガスは吹っ飛んでいった。
「う……うう……」
ぼくは倒れ伏すウリエルさんに、不死鳥の癒やしの炎を使う。
「頭痛が……和らいでいく……あたたかい……」
「もう痛くないよ。良かったね!」
じわり……とウリエルさんは涙を流し、ぼくに抱きついてくる。
「ありがとう、エレン……いや、エレン様。ありがとう!」
「さ、様って……大げさだなぁ」
「我は仕えるべき真の御仁をようやく見つけた気がする……」
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大天使ウリエルが契約を持ちかけてきました。
→大天使の 神霊核(ハイ・エレメント) を手に入れました。
→【大天使ウリエルのスキル(SSS)】を手に入れました。
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精霊使いへの敵対行動を感知しました。
コミガスへのペナルティを実行します
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