軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

65話 天導教、天罰が下る

テイマーのエレンによって、魔族狩り部隊が退けられた。

話は翌日の夜。

神聖皇国・天導教本部にて。

モーロックを含めた、教会のトップ達が集まって作戦会議を開いていた。

「それでは、神への反逆者エレン・バーンズを天導教の全勢力を以て処分することで、みな異議はないな」

「「「異議無し!」」」

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精霊使いへの敵対行動を感知しました。

→天導教会構成員からスキル・魔法・天使・神器使用権限を剥奪します。

被害者(信者)に対してスキル【奮起】を付与します。

→被害者達に転移魔法を使用し本部に呼び出します。

→大天使【ウリエル】を召喚します。

→召喚成功まで残り600秒

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モーロックを含めた幹部達が、会議室の円卓を囲っている。

「そもそも亜人狩り部隊に刃向かった時点で、やつを殺すべきだったのだ!」

「然り! 天の教えに従い行動するわれらに楯突くことはすなわち、神に弓を引く愚行に等しい!」

天導教の構成員が負けたと知れば、信者達は教会への不信感を募らせる。

ゆえにエレンを排除するという理屈らしい。

「兵を集めよ、エレンの居場所へ総攻撃をかけるぞ!」

と、そのときだった。

「た、大変だぜモーロックの旦那ぁ!」

デグが大汗をかきながら、会議室へ入ってくる。

「どうかしましたか、デグ? 今は会議中ですよ?」

「それどころじゃあねえ! 教会本部に、信者どもが各地から集まってやがる!」

「なんですって……?」

モーロック達幹部が、窓に近づく。

「出てこいこの悪魔どもぉおお!」

「おれたちから自由と金を巻き上げやがってぇえ!」

「ぶっ殺してやるぅうううう!」

信者どもの暴動に、しかし幹部達は一切動じなかった。

「愚か者どもめ。皆さん、あの不信心者たちをいかがしましょう?」

幹部達の回答は決まっている。

「無論、殺す」

「金は絞った。やつらはもう無用だ」

「了解です。デグ、外のゴミを片付けなさい」

モーロックに命令されるが、しかしデグは首を振る。

「そ、それが聞いてくれ! 神器が使えねえんだ!」

「なんですって……?」

懐から銃型の神器を取り出し、窓の外の信者達めがけて引き金を引く。

がちっ、と固くロックされていた。

「なっ!? ば、バカな……この間のは一時的な不具合じゃないのか!?」

「だ、旦那! 大変だ! 信者達が教会の建物に入っていく!」

「くっ! 教会の構成員たちを出動させなさい! 捕らえて皆殺しにするのです!」

教会構成員たちが、幹部の命令を受け、神器を手に交戦する。

だが……。

「ぐわぁああああ!」「うげええええ!」「じ、神器が使えない……うぎゃああ!」

ただの村人達に、構成員たちが押されていた。

神器も魔法も天使さえも、彼らが持ちうる武力の一切が無効化されているのだ。

「よくもおれらをコケにしやがったな!」「死ね! チンピラどもがぁ!」

天導教の構成員たちは、無理矢理信者にされた村人達に暴力を振るわれる。

建物を破壊し、構成員達を殴り、そして私財を回収していく。

「このままでは教会本部は壊滅です! い、いかがいたしましょうか……?」

「くそっ! どうなっているのです!? なぜ神に選ばれし我々が、力も教養を持たぬバカどもに負けなければいけないのですか!?」

さもありなん。

エレンの不興を買ったからだ。

精霊王はエレンにその愛を一心に注ぐ。

彼が怒りの矛先を向けた瞬間、その偉大なる力を振るって破滅をもたらす。

神は人々を作ったかも知れない。

しかし精霊王はこの星を、そして魔法やスキルと言った奇跡の数々を作っている。

どちらが上か下かなどと争うような恐れ多いことを神々達はしない。

だが確かなこととして、神々は精霊王に一目を置いている。

奇跡を体現してみせるのは、なにも神々だけの特権ではないのだから。

「幹部達の部屋はこっちみたいだぞ!」

「いくぞ! とっ捕まえてボコボコにしてやる!」

バンッ! と村人達は幹部の部屋に入る。

だがすでに、もぬけの殻だった。

「くそっ! 逃げやがった!」

「探せ! そう遠くまではいってないはずだ!」

その通りだ。

幹部達は地下室へと避難しているだけだった。

会議室から真下に伸びる階段。

降りていった先には、ワインセラーが広がっている。

ここは幹部達が集めた古今東西の美酒が保管されている。

無論、それを買う金は村人達から巻き上げた金だ。

そしてここは地下シェルター的な役割も果たしている。

「くそっ! 忌々しい信者どもめ!」

「我々幹部を追い詰めるなど万死に値する!」

憤慨する幹部達を見て、モーロックは邪悪に笑う。

「やつらにわからせてやりましょう。我々神の使いの、真の恐ろしさを!」

ワインのボトルを手に取ると、床にぶつける。

ワインの中身で、魔法陣を描く。

それは天使を召喚するための、儀式の円だ。

幹部達が手をつないで、ぐるりと一周する。

目を閉じて集中する。

「さぁ……大天使よ。ここに顕現しなさい!」

しーん……。

「なっ!? なぜだ!? なぜ呼びかけに応じてくださらないのですか!?」

幹部達は汗をかいて言う。

儀式を使っての大天使召喚は、幹部達に与えられた権限だった。

だのに、いくら念じようと大天使が召喚されることはない。

『こっちに地下通路があるぞ!』

『よし、突入だ!』

もたついている間に、信者達がモーロック達のいる場所までやってこようとする。

この部屋は行き止まりだ。

どこへも逃げ道がない。

「くそっ! 何をしている! さっさと呼びかけに応じなさい!」

だんっ! とモーロックが儀式の円を殴りつけたそのときだった。

カッ……! と魔法陣が光り輝く。

恐ろしいまでの強烈な光が、地下だけでなく地上すらも照らす。

その光は、ひとりの美しい女性へと変化した。

6枚の翼は大天使の証し。

彼女は【ウリエル】。

「大天使ウリエル様! よくぞ私達の呼びかけに応じてくださりました!」

モーロック達はウリエルの前にひざまずく。

ウリエルは蒼海を彷彿とさせる美しい髪をたなびかせながら、宙に浮いている。

「我を呼んだのは、貴様らか……? なんのようだ?」

「ハッ……! 神の教えに背く愚か者どもを、ウリエル様の【 焔(ほむら) 】で消し飛ばしてください!」

「ほぅ……なるほどな」

ウリエルは右手を広げる。

ボッ、と青白い炎が浮かぶ。

「我の焔は万象を灰燼に帰す。それでもよいのか?」

「構いません! 焼き殺してください! やつらを、そしてヤツらの住処……その全てを」

「うむ、心得た」

ウリエルは手を振る。

青白い炎は……しかし、信者達ではなく、モーロック達を飲み込んだ。

「へ……? うぎゃぁああああああああああああああああああああああああ!!」

幹部達は炎に包まれ、痛みでのたうち回る。

炎は瞬く間に広がり、ワインセラーを火の海に沈める。

それだけではない、天導教の建物をすべて焼き尽くす。

しかし不思議なことに、無理矢理信者にさせられたものたちは一切ダメージを負っていなかった。

「ウリエルよぉおおおおお! なぜ我らを焼くのですかぁああああああああ!」

「貴様の望みだろう? 神の教えに背く愚か者どもに、天罰を加えろとな」

「わ、私たちが愚か者だというのですかぁああああああ!? うぎゃぁああ!!!」

肉体を、魂さえも焦がすほどの強烈な炎。

それは炎に包まれしモーロック達に凄まじい痛みを与えた。

「教えに背くは貴様らぞ。神の名を借りやりたい放題。神々はたいそう怒っておられた」

だが天使や天導教の構成員達は、まがりなりにも身内。

身内を処分することはためらわれたのだ。

そこへ、外部から処分命令が下った。

大義名分を得た神々は、ウリエルを派遣し、こうして愚か者どもに天罰を与えているのである。

建物は灰になり、ボロボロと崩れ落ちていく。

モーロック達がため込んだ私財は、信者達によって運び出されている。

幹部達が築き上げてきたものは、すべて、この青い炎に焼かれていく。

「だ、だずげでぇえええええ! 天使さまぁあああああ! われらをお救いくださいぃいいいいい!」

「救うさ。死は救済だ。貴様らのような腐った性根も、天の炎に焼かれれば浄化されよう」

ひとり、またひとりと……幹部達が倒れていく。

モーロックは炎による痛みと苦しみで、地面をのたうち回る。

「い、いやだ! 死にたくない! 私はまだ死にたくない!」

「いいや、死ぬ。そして魂となったおまえは、神の威を借りて好き放題やった罪で、二度と人間に転生することはない」

「そ、んなぁ……」

青い炎はモーロックたち幹部もろとも、腐った天導教のすべてを燃やし尽くした。

灰となった彼らを見て、ため息をつく。

「エレン・バーンズ……。精霊の王に愛される少年。その彼に楯突いたものたちの末路がこれか……。実に哀れだな」