軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

46話 魅了使いからの勧誘

ある日のこと。

ぼくはパーティメンバーを連れて、ダンジョンまでやってきていた。

ダンジョンの下層にて。

「グボォオオオオ!」

単眼巨人(サイクロプス) 。

かつてぼくを苦しめた敵、それも10体。

「せやぁああっ!」

アスナさんは剣聖の【 攻撃反射(パリィ) 】スキルで、巨人の攻撃を弾き態勢を崩す。

シュッ、とティナが打った矢が、巨人達の一つ目を正確に射貫く。

「エレン、今よ!」

「【 不死鳥の羽撃(フェニックス・ブロー) 】!」

広範囲の炎攻撃が、ひるんでいた巨人達を飲み込む。

あっという間に全員を消し炭にして、ドロップアイテムだけが残る。

『さすがです若様! かつての強敵をこうもあっさり殲滅できるなんて! お見事です!』

ランが褒めてくれる。

「ぼくだけじゃないよ。みんなのおかげ。ありがとう!」

アスナさんとティナが微笑んだ……そのときだった。

「はっはー! やるじゃあないか君たちぃ~?」

ぼくらに、冒険者のパーティが近づいてきた。

先頭に立つのは、背の高い美形のお兄さんだ。

「どちら様ですか?」

「は……? ガキはすっこんでなよ」

ぼくに不愉快そうな表情を向けた後、アスナさん達には笑顔を向ける。

「今の手腕とても見事だったよ~。さすが今新進気鋭のSランクパーティ【緋色の翼】だね」

男は近づいてきて、無遠慮にアスナさんの手を握る。

彼女は引きつった笑みを浮かべて、一歩下がる。

「あの、どちら様?」

「僕は【アーフォス】! 実力派Sランク冒険者のアーフォスっていうんだ! 以後お見知りおきを、美しいお嬢様方」

ぱちんっ、とアーフォスがウインクをする。

アスナさんは引きつった笑みを浮かべ、ティナは警戒するように、彼女の背後に回る。

「何をしにここへ来たのかしら?」

「僕たち【アーフォスと愉快な美女ハーレム】は単眼巨人の討伐に来たんだ!」

バッ! と彼が大きく手を広げる。

その背後には、たしかに綺麗なお姉さん達が複数人いた。

けど、おかしなことに、みんな【目がうつろ】だった。

「しかし君たちに先を越された形になってしまってね」

それを聞いたランが首をかしげる。

『この男は嘘をついております。最初から私たちの後を、こそこそとつけておりましたよ?』

アーフォスは不機嫌な顔になって、ランの顔面を蹴飛ばした。

『きゃんっ!』

「ラン! 酷いじゃないですか!」

「ハッ! 動物に興味はないんだよ。クサいしキモいし。それにガキ、話しかけるなっつっただろボケが!」

むき出しの嫌悪感をぶつけてくる。

けれどぼくは、大切な相棒を傷つけられて怒っていた。

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精霊使いへの敵対行動を関知しました。

アーフォスへのペナルティを発動します。

→スキル【魅了の魔眼(S)】を剥奪します。

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「ちょっと! アタシたちのリーダーに酷いことしないで!」

ティナが激昂し、アーフォスに詰め寄る。

彼は手を取って、ぐいっ、と引き寄せる。

「離しなさいよ!」

「美しいエルフだ。僕のコレクションに加えたいと思っていたんだよ」

「ティナを離して! 彼女嫌がっているでしょう!」

「君がアスナ君だね? 前々から君も欲しいと思っていたところさ……」

アーフォスは気取ったポーズで、前髪をかき分ける。

「今日は君たちを勧誘しようとここへ来たんだ。さぁ、美しいお嬢さん方。【アーフォスが命じる、パーティに入れ】」

しーん……。

「悪いけど、お断りします!」

「アタシもよ! なんであんたみたいなきもい男の言うこと聞かないといけないのよ!」

アスナさん達のリアクションに、アーフォスは困惑の表情を浮かべる。

「なっ!? ど、どうなっている!? 【僕の玩具になれ!】【僕の性奴隷になれ!】」

なんだか知らないけれど、アーフォスが焦っている。

「悪いけど失礼します! いこう、みんな!」

アスナさん達はうなずいて、ぼくのそばに近寄る。

「く、くそぉ! こうなったら力尽くで言うことを聞かせてやる! おい女ども、やれ!!」

うつろな目のお姉さん達が、それぞれ武器を手に取る。

「ガキは殺せ! 女は捕縛だ!」

お姉さん達は素直にうなずくと、こちらに向かって来る。

「くっ……!」

女性を殴ることなんて、できない。

「エレン下がって! ここは私が!」

アスナさんが剣を抜いて、お姉さん達と対峙する。

襲い来る武器を、鮮やかな手腕でさばく。

「きゃっ! こ、このぉ! 離しなさいよ!」

ティナが捕縛されてしまう。

「ティナ! くっ!」

隙を突かれ、アスナさんも捕まってしまった。

「ひゃっはー! あとはガキを殺せぇ!」

お姉さん達がぼくを追い詰める。

闘わないと、駄目なのか……!

『エレンよ。どうやらこやつら、呪いをかけられ、あの男に操られているようじゃ』

「呪いだって!?」

「気づいたかガキぃ! なぜか今は不調だけど、今のメスどもはあらかじめかけたスキルのおかげで僕の言うことを聞く従順な奴隷になっているのだよぉ!」

「だったら……いくよカレン!」

バッ、とぼくは右手を前に出す。

不死鳥の癒やしの炎を使う。

お姉さん達の体が、青白い炎で包まれた。

燃えたのは一瞬のこと。

すぐに炎は収まり、お姉さん達はガクンとその場に倒れ伏す。

「なっ! どうした動け! ぶっ殺せよ!」

呪いは無事、不死鳥の炎によって浄化できたようだ。

「くそっ! 役に立たねえメスどもだ! こうなったら僕が殺す!」

アーフォスが腰の双剣を抜いて、ぼくに向かって斬りかかってくる。

先読みのスキルによって、彼の攻撃は完全に見えている。

「しゃあ! しねぇ!」

すかっ!

「なっ!? こ、この僕の双剣撃をかわすだと!? く、くそぉ!」

その後もかなり早い連撃でぼくを追い詰めるけど、その全てを見切って避ける。

「ぜぇ! はぁ! くたばれぇええ!」

隙の多い一撃を放ってきたので、ぼくはそれを避ける。

「てりゃぁあ!」

がら空きのみぞおちに、ぼくは拳をたたき込む。

彼は体を【く】の字に曲げて吹っ飛び、迷宮の壁に激突する。

「ぶげらっ……!」

「女性をもののように扱うなんて最低最悪だよ!」

「くそ……ガキがぁ!」

ゆらりと立ち上がって、ぼくをにらみつけてくる。

「覚えてやがれ! 僕に逆らってただですむと思うなよ!」

体を引きずりながら、彼が帰っていく。

「ちょっと! お姉さん達はあなたの仲間でしょ!?」

「うっせー! そんなブスどももう要らねえよ!」

つくづく、最低なヤツだ!

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精霊使いへの敵対行為を関知しました。

アーフォスへのペナルティが合算されて実行されます。

→【双剣士の 精霊核(エレメンタル) (S)】を剥奪します。

→スキル【美容(S)】を剥奪します。

→スキル【女難(S-)】を付与します。

→etc.……

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「エレン!」

捕縛されていたアスナさんたちが駆け寄ってきて、ぼくを抱きしめる。

「助けてくれてありがとう、エレン」

「アンタ、かっこよかったわ! あんな最低男の何万倍も!」

ぎゅーっと抱きしめられて、ぼくは女性の柔らかさにくらくらしてしまう。

「彼女たちを街へ連れて帰ろう」

「そうね。操られてただけみたいだし、このままじゃモンスターに襲われてしまうもの」

『さすが若様! 強さと慈悲の心を併せ持つ、素晴らしい御方でございます!』

ぼくは不死鳥の大翼を使って、その場に残っていた全員を連れて、街へとテレポートするのだった。