作品タイトル不明
196話 贖罪【前編】
勇者エレンと超未来神クトゥルーの最終決戦にて。
精霊王ルルイエは、クトゥルーから精神攻撃を受けていた。
どこまでも広がる闇のなか。
ルルイエの足にすがりつくのは、かつて自分が、私利私欲のために消してきた者たち。
『あそこまでやる必要があったのか?』
元パーティリーダーのザックの怨念が、ルルイエの足を掴む。
『おれはそこまで責められることをしたか?』
『で、でも君は……エレンを追放し、地下に置き去りにしたじゃないか』
『でも、海中に沈め、永遠の苦しみを与える必要は、あったのか?』
『そ、それは……』
残りの者たちも、みなルルイエに恨み言を述べてくる。
『異世界に飛ばして、おれの母親まで殺させる必要はあったのかよぉ~なぁ……』
『反省の機会を与えず、死ぬほどの苦しみを与える意味があったのか? なぁ?』
彼女はペナルティと称して、彼らに恐ろしいまでの罰を与えてきた。
『それは本当に、罰だったのか?』
『自己満足だろ』
『エレンに気に入られたいがゆえにやっていたことだろ?』
なにも、言い返せなかった。
そのとおりだったからだ。
好きな男に気に入られるために、悪人達にさばきを与えていた……。
『ごめん、なさい……ごめんなさい……』
ルルイエはその場でうずくまり、頭を抱える。
『ごめんなさい……ゆるして……ごめんなさい……』
『謝って済むと思うのか?』
『一人だけ何、改心しちゃってるの?』
『そんなことで自分の行いが正当化されるとでも思ってるのか?』
ずぶずぶと……ルルイエの精神は暗い闇に沈んでいく。
その通りだ。
怨霊達の言葉は正しい。
寛容なエレンやその仲間達が許してくれたからと言って、自分のやったことが消えるわけじゃないのだ。
死んで、詫びるべきなのだ……。
彼女の精神が常闇に沈んでいこうとした……そのときだ。
「ルルイエさん!」
闇を切り裂いて、自分に手を伸ばす少年がいた。
炎の翼を纏い、紅蓮の瞳が、悲しみに暮れている自分を映し出す。
「エレン……」