作品タイトル不明
196話 贖罪【中編】
ルルイエの前に現れたのは、勇者エレンだった。
『えれん……』
いつだって暗闇から救い出してくれるのは、この優しい少年。
彼の登場で、ルルイエの心に光が差し込む。
『ルルイエさん、もう大丈夫だよ』
エレンは笑顔で、ルルイエを抱きしめる。
彼のぬくもりが、言葉が、声が……彼女の心をいやしてくれる。
しかし……。
『るるいえぇ~……』
ルルイエの足下に、ザックを初めとした亡霊達が集まってきた。
『1人だけ幸せになる気かぁ~?』
ズキリ……とルルイエの心に、鋭い痛みが走る。
『おれらを理不尽に葬り去っておいて』
『我らのことは忘れて、幸せになれると思うなよ』
ルルイエはその場にしゃがみ込んでしまう。
『ルルイエさん、顔を上げて』
『エレン……無理だよ……』
彼女の心は気分とともに、深く沈んでいく。
『僕のせいで彼らは不幸になった。責められて、当然さ……』
『ルルイエさん……』
『助けに来てくれてうれしいよ。けれど……これは贖罪なんだ。ここで僕が死ねば、彼らの無念は晴れる……』
しかしエレンは強く首を振って言う。
『それは違うよ』
『え……?』
『この亡者たちは、クトゥルーが作った幻さ』
『でも……だって……彼らは……死んだんじゃ……』
エレンは右手に、霊王の鍵を出現させる。
それを地面に突き刺す。
『みんな、僕に力を貸して……! ルルイエさんを、救うために……!』