作品タイトル不明
195話 ざまぁされし者たちの怨念【中編】
勇者エレンから分離した、精霊王ルルイエ。
彼女はどこか暗い場所に、1人でたっていた。
『ここは……いったい……? エレン! どこにいるんだい、エレン!』
だが声を張り上げても、愛しい彼からの返事はない。
ひたすらに広がる暗闇の中を、彼女は一人で過ごす。
『エレン……どこにいるんだい……怖いよ……エレン……』
音も光もないなかで、一人きりの孤独たるや。
彼女にとっては耐えがたい苦痛だった。
『……るいえ』
ふと、どこからか、誰かの声がした。
『エレンかい!? 僕はここだよ! エレン!』
だが……違った。
ガシッ、と誰かが足を掴む。
その姿に、見覚えがあった。
『お、おまえは……ザック!?』
エレンを追放したリーダーの男、ザックだった。
『ど、どうしてお前がここに……?』
『ルルイエぇ~……おまえのせいだぁ~……おまえのせいで、おれはぁ~……』
恨めしげに彼女を見上げる、亡霊のザック。
その手はルルイエの足を掴んで、深淵へと引きずり込もうとする。
『さ、触るな!』
だが振り払おうとすると、また別の手が伸びてくる。
『酷いじゃないの、るるいえぇ~……』
『おまえは……ディーナ。それに……他の奴らも……』
そう、そこにいたのは、かつて精霊王が、裁きを下した者たちだった。
制裁を加えられ、あるものは命を落とし、あるものは異世界へと飛ばされた。
その全てが集まって、ルルイエに怨念をぶつけていた。
『なに、一人で幸せになってるんだよぉ~……』
『てめえのせいで、こっちは酷い目にあったっていうのにぃ~……』
怨霊達はルルイエに詰め寄ってくる。
『や、やめろ! 来るな! 来るなぁあああああ!』
逃げようとするが、しかし背後から腕は伸び続けてくる。
やがて手足を捕縛されて、ルルイエは地面に倒れ込む。
『それで、改心したつもりかぁ?』
『ふざけるなよぉ』
『おまえがおれたちにしたこと、忘れたとは、言わせないぞぉ~……』