作品タイトル不明
193話 魔竜を宿した未来神【後編】
超未来神となったクトゥルーには、第三の目【時王の目】がある。
未来を予測されてしまう、厄介な相手だ。
『エレン……どうする……?』
「どうするも、ぼくの、勇者のやることは一つ」
霊王の鍵を、クトゥルーに向ける。
「持てる力を全て使って、悪を討つ」
「ははっ! カッコいいじゃあないかえれぇんぅうう! けれど、その余裕……いつまで持つかなぁ……!」
クトゥルーが高速で接近する。
回し蹴りを放ってくるのが見えた。
僕は半身をよじってそれを回避する。
「あめえんだよカス!」
けれど僕の回避先すら未来視していたらしく、蹴りが飛んでくる。
僕は鍵の腹でそれをさばき、クトゥルーの頬を殴りつけようとする。
チッ……! とクトゥルーの肌をかすめるだけに終わった。
「なかなかやるじゃない? さすがの剣さばきだ。だが、攻撃が当たらないんじゃあ意味がないねぇ~」
僕は集中する。
父さん……アドラ師範との修行を思い出す。
「ルルイエさん。力を、かして」
『でも……エレン。無理しないで。今の君は人間の肉体に戻っている』
「平気さ。ルルイエさんがついてるし」
『……わかった。君を信じよう、エレン』
ルルイエさんの魔力が、ぼくに流れ込んでくる。
魔力による身体強化。
それは、この世界の剣士なら誰だって使える、基礎中の基礎技術。
「いくぞクトゥルー!」
たんっ……! と地面を蹴って、ぼくはクトゥルーに接近する。
「何度やっても無駄…………ッ!」
クトゥルーが避ける、けど避けた先に僕は、回転切りをたたき込む。
「なる、ほど……未来を見た瞬間、体の軌道を無理矢理変えて攻撃してきた訳か……!」
ガキンッ! とクトゥルーが腕を振る。
「その無茶な体の動かしかたが、はたしていつまで持つか見物だねぇ!」
『焦っているのかい、兄上? エレンの強さに?』
「バカ言うな。焦るわけがないだろう?」
つつ……と、クトゥルーの頬に線が入り、血が垂れる。
「……よくも、僕を傷つけてくれたね……エレンぅううううう!」
ぶわ……! とクトゥルーの体から魔力が吹き荒れる。
魔竜の持つ膨大な、嵐のような魔力の前に……けれど、ぼくは微塵も揺らがない。
「いこう、ルルイエさん」
『いこう、エレン』
ぼくらは強くうなずいて、超未来神にむかって特攻するのだった。