軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

192話 完全体【後編】

アスナ達が、墜落する魔竜の背中から脱出した、一方その頃。

「クトゥルーの野郎……どこまでも迷惑かけやがって……!」

地上で外なる神々を相手取っていた、精霊使いカルラは、天上をにらみつけて舌打ちをする。

「ダーリン! ふくろう! いっちょやるかぁ……!」

墜落する魔竜は、星を覆うほどの恐ろしい巨体を持つ。

だがカルラは絶望しない。

この程度の障害、彼女の前では紙にも等しい。

「うぉおおおおおお!」

カルラは夫である精霊アドラを身に纏う。

一方で、ふくろうもまた、空気中に漂う精霊達をみにつける。

「霊装できるんだなぁ」

「ええ、あなたの体ですもの」

「ハッ……! んじゃま、いくぜぇ!」

同じ顔をした、赤い眼の精霊使いたちが、空へと飛ぶ。

「アタシが魔竜を切り刻む! ふくろうは落下する魔竜の肉を風で受け止めろ!」

「了解!」

カルラは炎の双剣を手に、空へと高速で飛ぶ。

魔竜の鱗は、クトゥルーからの魔力供給が潰えたことで、本来の性能を失っている。

「せやああぁ!」

カルラが振るう炎剣は、魔竜の肉をバターのように容易く切り裂いた。

「やらせねえぞこんちくしょぉおお!」

カルラは炎を纏い、舞うように空を飛ぶ。

それは一羽の火の鳥が、空を優雅に飛翔しているかのようだった。

通り過ぎたあと、魔竜の肉はバラバラにほどける。

地上に降り注ぐそれを、ふくろうがつむじ風を発生させ、さらに細かくする。

「なんて速さ……なんて強さ……」

「あれが……世界最高の精霊使い……」

霊力が全快したカルラにとって、星を光の速さで飛ぶことなど造作もなかった。

また、彼女と肉体を共有していたふくろうもまた、落ちてくる魔竜の肉を受け止めることなど容易いこと。

ふたりの規格外の精霊使いがいたことで、落下する魔竜の死骸による被害は、ゼロに抑えられた。

……長い時間が経過した。

カルラ達はその場に、仰向けになって倒れる。

「なんとか……なったな……」

「そう……ですね……もう……力は残ってませんが……」

ふたりとも死力を尽くし、この星を魔竜の落下から防いだ。

だが、まだ完全に脅威が取り除かれたわけではない。

「クトゥルーを……倒しにいかないと……くっ……」

ふくろうは立ち上がろうとするが、しかし体に力が一ミリも残っていない。

「安心しな、ふくろう。あとはエレンがなんとかする」

「しかし……相手は魔竜と同化し、さらなる強さを手に入れたクトゥルーですよ?」

未来神は今まで以上の強敵となっている。

だというのに、カルラは微笑んでいた。

「大丈夫さ。エレンは、アタシたちの 希望(ゆうしゃ) は勝つ」

その未来が見えているかのように、カルラは確信を持って言う。

「後は任せたぜ、ベイビー」