作品タイトル不明
191話 竜の体内の奥深くへ【後編】
精霊達がぼくに力を貸して、魔竜の動きを止めてくれている。
吸血鬼アビゲイルは、地面に手をつく。
影が魔竜の体内に浸食していく。
がくんっ、と魔竜が大きく揺れる。
『止まったようだね動き』
「すごいよアビー!」
ぬふー、と満足げに、彼女が鼻を鳴らす。
「今のうちに……」
『エレン、敵が来る』
「なっ!? そ、そんな……」
大量の、生き物とは思えない、おぞましい化け物達がなだれ込んでくる。
僕は霊王の鍵を手に、【 回帰(リバース) 】の力を発動。
化け物達はバシャッ……と血液になって地面に落ちる。
だがすぐまた形を作り、立ち上がってくる。
『血球の成分をつかったモンスターのようだね。エレン、無駄だ。いくら戻してもまた化け物の形に戻って襲いかかってくる』
「えれん……いってほしいの」
アビーはぼくをみてうなずく。
「そ、そんな! できないよ!」
「だいじょうぶなの。あびー強し。動き止めながら戦う、できるの」
「でも……」
『エレン、任せよう』
「…………わかった」
ぼくはアビーの頭を、くしゃりとなでる。
「無茶しないでね」
「おー、わかったの」
ぼくはユニコーンのヴィヴィアンの背中に乗って、走り出す。
「あびー負けないの。えれんが泣いちゃうの。だから負けないの!」
体から凄まじい量の影が噴出し、敵を殺しつくす。
だがすぐまた復活する血液に化け物相手に、アビーは孤軍奮闘する。
「必ず勝ってくる! だからそれまで持ちこたえて!」
「おけーなのー!」
ぼくは彼女を残し、ヴィヴィアンに乗って、奥へと向かうのだった。