作品タイトル不明
191話 竜の体内の奥深くへ【中編】
ぼくたちは魔竜の体内の奥へと進んでいく。
「なかなかたどり着かないね」
『あの臆病なクソ兄のことだ、そう簡単にたどり着けないよう、常に体内の構造を動かしているのだろうね』
血管が大迷宮のように張り巡らされている。
あっちへこっちへと向かうが、それでも遠ざかっているようにしか見えない。
『うざいねどうも』
「うん……どうにかしないと」
このまま当てもなくさまよっていても、目的地はたどり着けない。
『自分に、まかせるのー』
「アビー!」
ずッ……とぼくの足下から、吸血鬼の少女アビゲイルが現れる。
「ひさしぶりだね」
「おー、忘れられたと思ってたの」
「そんなことないよ」
アビゲイルだけでなく、数多くの精霊達が、ぼくの影から現れた。
「ヴィヴィアンも……それに、みんな、どうして?」
「あびーが集めてきました。みんな、エレンのためにがんばりたいってゆーからー」
ふす、とアビーが鼻息荒く言う。
ヴィヴィアンとは、ティナの友達のユニコーンだ。
周囲に無数の精霊達。
彼女たちの力があれば……。
「アビー、みんな。頼んでもいい?」
「おー。まかせるの! みんな、あびーについてくるの!」
吸血鬼は影を操るスキルを使う。
アビーが地面に手を触れて、影を操作する。
「あびーが精霊と協力し、魔竜を体のうちがわから止めるの。エレン、ヴィヴィアンに乗って」
『なるほど、ユニコーンは生命探知のスキルがあったね確か』
ぼくはヴィヴィアンの背中に乗って、彼女の背中をなでる。
「よろしく、精霊の皆!」
「「「おー!」」」