作品タイトル不明
189話クトゥルー、同化する【後編】
「魔竜の動きが……鈍くなった……?」
エレンは空中で立ち止まって、周囲を見渡す。
先ほどまでは荒ぶっていた竜が、今は頭を垂れている。
「チャンスかな?」
『いや……これは……マズいかも知れない』
「どういうこと?」
霊装をといて、ルルイエがエレンの隣に出現する。
「クトゥルーに魔竜の魔力が集中しだしている」
「つまり……?」
「あのばかは魔竜と同化しようとしているみたいだね」
「魔竜と同化って……できるの、そんなこと?」
「不可能ではない。もとよりこの竜は精霊王の魔力をベースに作られている。拒絶反応はないはず……ただ、完全に同化されたら厄介だ」
クトゥルーは星を食らうことをいったん辞めたらしいと、すぐにルルイエは悟る。
目の前にいる敵を倒すことに注力しようとしているようだ。
「エレン、一気に攻め入るよ。やつが同化を終える前に倒す。でないとまずいことになる」
クトゥルーは星を食らうほどの強力な竜の力すべてを、打倒エレンに回すつもりだろう。
いくら完全な霊装を身につけたエレンとて、歯が立たないかも知れない。
「いこう、ヤツの腹の中に」
「うん……!」
エレンはルルイエを纏い、ダンッ……! と飛び立つ。
『あのばかは魔竜の心臓部にいると思う。幸い、魔竜は動きを鈍らせている。入るのなら口から、今がチャンスだ!』
「わかった……! うぉおおお!」
エレンは高速で飛び、魔竜の口から入って、体内へと侵入したのだった。