作品タイトル不明
189話クトゥルー、同化する【中編】
クトゥルーはイグにその場を任せ、ひとり魔竜の中を歩く。
竜といっても建造物に近い。
太いパイプが走る一方で、地面は固く、しかしどくどくと脈動している。
「やるじゃないか……エレン。認めよう……君は、強い」
クトゥルーはついさっきまで、あの小柄な勇者は、取るに足りない存在だと侮っていた。
しかしここまで桁違いの力を見せつけられ……さすがにクトゥルーも気づいたのだ。
このままでは、敗北する。
敵の力を認めることなど断じてしたくなかったが、自身の敗北。
それだけは、何が何でも認めたくない。
「ボクは君に敬意を払い、全力で叩き潰してあげよう」
やってきたのは、魔竜の心臓部分。
巨大なカプセルがあり、そこには魔竜の核が入っていた。
それは巨大な結晶体だ。
クトゥルーが長い時間をかけ、精霊王の魔力を注ぎ込んで作った、文字通り魔力の結晶体。
この巨大すぎる竜を動かせるほどの燃料だ。
それを今……クトゥルーは手にする。
「星を食らうための準備だったんだけど……ここで君に負けたら元も子もない」
とん……とクトゥルーはカプセルの上に立つ。
「ボクの全てをかけて、君を全力で叩き潰そう。エレン・バーンズ。ボクの仇敵よ」
彼はそう言ってカプセルの中に飛び込んだのだった。