作品タイトル不明
188話 ふくろう、生きる意味を見つける【中編】
勇者エレンが、天上にて魔竜と戦っている一方その頃。
地上ではカルラを初めとした、エレンの関係者が、彼の帰りを待っている。
「さてっと。おめーら、気合い入れろよー」
灼眼の女性カルラが、ぐいっと背伸びする。
「気合いって?」
「あのばかクトゥルーがこのまま地上を放置するわけねーだろ? 陰険くそ神のことだ。エレンに嫌がらせするべく、手薄となった地上に攻撃を仕掛けてくるに決まってら」
「そういうもの? エレンの相手でいっぱいいっぱいなんじゃない?」
ティナの楽観的な意見に、カルラがニコッと笑って、剣を振る。
ガキンッ……! と刃同士がぶつかり合う。
「なっ……!? い、いつの間に!?」
ティナの背後に立っていたのは、異形の神々【外なる神】だ。
その数は4。
「四人かー。いくらアタシでもこのクラス四人相手はちとキツい。そこで……だ」
カルラは女達を見やる。
「みんな、力借りるぜ?」
「「「もちろんっ!」」」
だが一方で、ふくろうは彼女たちの様子を、下がった場所で見ていた。
「なーに、しけたツラしてんだよ」
「でも……わたくしは、もう……」
役割を終えたから、と言う前に、敵が襲いかかってくる。
「よっと」
カルラは炎の剣で神々の攻撃を受け止める。
そのまま剣で弾き返し、火矢で追い打ちをかける。
「ふくろう。てめー、何やる気なくしてんだよ」
「……いえ、そんなことは決して」
カルラは攻撃の片手間に、ふくろうと会話する。
しかも彼女は他のメンツに指示を出しもしている。
こんなにも強く完璧なリーダーがいるのだ。
なら自分がいなくても良いではないか。
「おめーよぉ、やっと自由になれたんだから、もっと喜べよ」
「自由……?」
カルラはドンッ……とふくろうの背中を押す。
自分たちの間に、外なる神の一柱が現れたのだ。
先ほどまで立っていた大地が一瞬で腐食し、汚泥へと代わる。
「おうよ、アタシというしがらみがなくなってよ、もう晴れて自由の身じゃあねえか! やりたいことし放題! 楽しめ人生を!」
カルラが攻め入るが、外なる神は炎の剣を受け止めて腐食させる。
一瞬で両腕を腐らされたカルラは、しかし不死鳥の炎で元に戻す。
「人生を……たのしむことなんて……できないです」
カルラや他の仲間達が戦っているのに、ふくろうは一歩踏み出せない。
自分は生まれたときから、恩を返したいから、バーンズ母子のために動いていた。
生きる意味とも言えた。
だがふたりには自分は必要ない。
「あーもう、ウジウジウジウジ! 見てて腹立つなぁ!」
カルラはふくろうに向かって走ると、ドロップキックをかます。
そのままゴロゴロと転がって倒れる。
「痛いです……酷いですよ」
「てめーが戦闘中だってーのに場違いに悩んでるのがいけねーんだよ」
なんという理不尽。
ふくろうはムッ……と顔をしかめる。
「へへっ、怒ったか? ならその怒りをぶつけちまえ! おあつらえ向きの雑魚がそこにいるだろ?」
……外なる神はクトゥルーが丹精込めて作った、最高傑作の神だ。
それを雑魚と言ってのけるカルラは、なるほど、彼らに匹敵、それ以上の力を発揮している。
彼女からすれば確かに雑魚なのだろう。
しかし……自分にとっては……。
「ふくろうさん! 危ないです!」