作品タイトル不明
188話 ふくろう、生きる意味を見つける【前編】
その女は精霊王ルルイエの気まぐれで作られた。
カルラを失った悲しみを埋めるべく、その肉体は作られた。
赤い瞳に黒い髪。
だがいくら外見を似せたところで、中身は別物だった。
ルルイエはカルラを失ったことでその肉体への興味を失い、捨てられた。
彼女を育てたのは、肉体にこびりついていたカルラの魂の残滓。
ふくろうは、カルラからエレンを守ってくれと頼まれていた。
そのために、彼女はエレンを守るべく暗躍していた。
すべては母の残した思いを、息子であるエレンに届けるため。
そのために自分は、思いを運ぶ一羽のふくろうに徹しようと思った。
……けれど、ついさっきその役割は、完全に終わった。
母の残した思いを引き継ぎ、勇者エレンは力を覚醒させた。
さらにふくろうは守護天使サンダルフォンと協力したことで、人間に戻すことにも成功した。
……そう、今の彼は、人間に戻っている。
霊王形態を使い続けたことで、精霊となっていたエレン。
彼はルルイエと、カルラの結界を破って出てくる際に、人間に戻る薬を飲んでいたのだ。
こうしてエレンは人間に戻り、バーンズ母子を幸せに導くことに成功した。
……だから、ふくろうは満足していた。
これでもう、思い残すことはないと。
カルラの消滅とともに、自分は消えるはずだった。
しかしカルラはエレンの力によって現世に戻ってきた。
……その結果、本格的にふくろうは、生きる目標を見失っていたのだ。
役割を終えて、運ぶべきものを失ったふくろうは、どうすればいいのか。
最終局面に突入した戦場のさなかであっても、彼女は迷っていた。