軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

187話 クトゥルー、戦慄を覚える【後編】

……クトゥルーは目の前の信じられない光景に、ただただ唖然とした。

「うそ……だろ……」

自分が作った秘蔵っ子の魔竜。

その攻撃をエレンが躱しただけでなく、弾き返したのである。

「ばか……な……。なんで……どうして……?」

「クトゥルー様!」

部下であるイグの声で正気に戻る。

このままではエレンは勢いに乗って攻めてくるだろう。

じわり……とクトゥルーは手に汗をかく。

「この 神(ぼく) が……焦るというのか! ありえない! ありえてはいけないんだぁ!」

魔竜に精霊王の魔力を流す。

エレンを飲み込もうと顎を開いて接近する。

だがかの勇者は冷静に攻撃を見切ってかわし、強烈な一撃を放つ。

ごぃい……! と鈍い音とともに竜の頭が弾かれる。

「くそくそくそぉおお!」

「く、クトゥルー様! 落ち着いてください! 冷静になればあんなのどうってことないです!」

「うるさぁい! ボクに命令するなぁ……!」

いくら魔竜が強かろうと、ブレインとなって動かす者がポンコツでは、宝の持ち腐れも良いところ。

一方でエレンは、精霊王の力をほぼほぼ失っているルルイエを、見事使いこなしている。

使い手の実力の差が如実に出ていた。

もっと言えば、積んできた修練の差。

クトゥルーは確かに魔竜という強大な兵器を用意したかもしれない。

だがそれだけだ。

エレンは今日まで長い修練を積んできた。

ゆえに、負けない。

「魔竜と互角に戦う勇者がいてはいけないんだ! くそ! くそぉ!」