作品タイトル不明
187話 クトゥルー、戦慄を覚える【前編】
勇者エレンが魔竜の背へと到着した。
「ふざ……けるな……魔竜の肉と鱗を、引き裂いてきただ……?」
エレンはルルイエと霊装することで、完全なる霊王の力を引き出した。
クトゥルーが居るのは、魔竜の頭脳に当たる部分。
モニターに映し出されている、勇者エレンが纏う精霊王の衣に目を奪われていた。
「うそだ……やつには、今25%しか霊王の力はないはず。なのに……どうして完璧に引き出しているのだ……」
クトゥルーが75%所持する精霊王の力では、 回帰(リバース) の力を引き出せていない。
少ない力で、最大のパフォーマンスを引き出した。
……それは、力の所有者の実力差を、如実に語っていた。
「くそ……くそくそくそ! ボクが! ボクが神なんだぞ! あんな人間ごときに……負けてたまるか!」
回帰の力がなくとも、破滅の力、星食みの魔竜、そして外なる神々。
「ボクには強大な力がいくつも備わっているんだ! 貴様なんぞクソガキに決して負けるものか……!」
モニター越しにエレンをにらみつける。
「殺してやろう……神であるこのボクが!」
クトゥルーは両手を前に出し、モニターを手で触れる。
精霊王の魔力を、魔竜に流し込む。
ごごご……と音を立てながら、魔竜の体が活性化していく。
「このボクに逆らったことを、後悔させてやる……!」