作品タイトル不明
186話 魔竜の背へ【後編】
神々が道を空けてくれたので、ぼくは真っ直ぐに天上へと向かう。
『撃て! 魔竜よぉ! あの蠅をうち落とせぇ……!』
クトゥルーの命令で、破壊の光が豪雨のごとく降り注ぐ。
『霊王の力を出し惜しみせず使ってきたね。どうやら結構心理的に追い込まれて居るみたいだよ』
ぼくは霊王の鍵を前にかかげて飛翔する。
鍵が作り出す回帰の力は、降り注ぐ雨を防いでくれる。
ぐんぐんとぼくは空を登っていき、やがて地上を隅々まで覆う、魔竜の腹のすぐ近くまでやってきた。
『無駄だぁ……! 魔竜の分厚い鱗と肉があるかぎり、君たちは侵入不可能なんだよぉ!』
『操縦者の許可しない限り、魔竜の体は通り抜けられない仕組みみたいだね』
だから神々だけは一方的に、空からやってきて来れたんだ。
『くたばれぇええええええ!』
至近距離からの、光線による一斉照射。
けど、ぼくはその場から避けない。
「ぼくが鍛えたのは……ルルイエさんとの絆だけじゃない!」
空中で制止し、腰を落として、霊王の鍵を構える。
回帰の力を刃の隅々にまで行き渡らせる。
「父さんに剣を教えてもらったんだ。ハァアアアアア!」
父さんの剣は、虚空すらも切り裂く【虚空剣】。
ぼくの放った一撃は、魔竜の鱗を、肉を容易く切り裂いた。
『そ、そんなばかなぁ……!?』
剣をあと三度振る。
肉を切り取るようにして、そして、思い切り飛翔する。
「せやぁあああああああ!」
勢いをつけた状態で、ぼくは飛び蹴りを放つ。
肉を押し、組織をぶちぶちと引き裂きながら、ぼくは天へと登る。
やがて、切り抜かれた肉のブロックを押しのけて、遙か天上へとやってきた。
『うそ……だろ……魔竜の鱗を切り裂くなんて……ばかな……バカなあり得ない、こんなのチートだ! チート過ぎる!』
『バカだね君。このチートの王様、精霊王が味方についてるんだぜ? この程度の無茶くらい、造作もないね』
ぼくは魔竜の背中に乗って、クトゥルーの居場所へと向かうのだった。