軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

181話 カルラ、限界を迎える【中編】

「【 滅葬砲(ゲヘナ) 】……」

カルラは上空を見やる。

天を覆う魔竜の体は、赤く輝いていた。

魔力の充填が完了したのだろう。

まもなく、二度目の砲撃が来る。

一度目は、まだ霊力もあって防ぐことができた。

だが二度目を防ぐほどの力は、今のカルラには残されていない。

「くっ……! このっ!」

ティナたちが上空へと飛ぼうとする。

「やめとけ」

「けど……! このままじゃ! 滅葬砲を止めないと!」

「無駄だ。おそらくもう発射準備はできてる。クトゥルーがその気になればこの星は終わる」

すでに王手が掛かっているのだ。

ここでティナ達が乗り込んだところで、結果は変わらない。

それどころか、敵地のど真ん中に飛び込む羽目となる。

「下がってな……アタシが、止めてみせる」

「カルラ様! わたくしも!」

「ラン」

申し出ようとする神狼の少女に、カルラが抱きつく。

「お前まで命を落とす必要はない」

「カルラ様……」

「おまえがいないと、エレンが悲しむ」

ランは、カルラが死ぬ覚悟であることを悟った。

「カレン。エレンを頼むな」

「うむ……心得た」

不死鳥の女は、すでにカルラの覚悟を感じ取っていた。

ゆえに止めない。

その物わかりの良さは……しかし非情故ではない。

カルラの決意を尊重しているからこそだ。

「ティナ。それに……アスナ」

カルラは微笑むと、ふたりを抱擁する。

「あんがとな、うちの可愛いベイビーのお嫁さんになってくれてよ」

「カルラさん……なんとかならないんですか?」

「アタシにゃ無理だ。けど……大丈夫。エレンが、アタシの愛する息子がなんとかしてくれるさ」

ぽんぽん……とティナの頭をなでる。

「じゃあな若人よ! 輝ける未来で、息子と幸せにな!」

バサッ、とカルラは翼を広げ、上空へと飛び立つ。

『別れの挨拶はすんだかカルラぁ……』

「ま、ね。あんたも最後の別れさせてくれるなんて、イキなマネしてくれるじゃない? 正義に目覚めたとか?」

『そうさ。ボクは慈悲深ーい神だからねぇ』

だがカルラは、クトゥルーの思考を呼んでいた。

つまりすぐに始末したら面白くない、一瞬で命を刈り取ることなど容易い。

ならばあえて希望を与え、悔いを残させる。

死にゆくカルラに、ではない。

残されたティナたちにである。

「悪趣味な神もいたもんだ。てめえよか、ルルのほうが万倍ましだね」

『ほざくな人間。ボクが、神だ』

クトゥルーが合図をする。

……それは、カルラに、人類に、終焉をもたらす、魔の炎の。