作品タイトル不明
179話 クトゥルー、思い通りいかずいらつく【中編】
ティナはカルラのおかげで、神と対等に渡り合えていた。
極大魔法をいくら使っても魔力がきれず、炎はたやすく神の体を焼いた。
「すごい……すごいわカルラさん」
「はっはー! だろぉ? お母ちゃん様はすげえんだぜぇ!」
本人は炎と風の剣を両手に、暴れまくる。
一見むちゃくちゃな軌道に見えるが、実はきちんと計算された動きだ。
彼女は自分の敵を倒しながらも、ティナたちが戦いやすいよう、敵を誘導しているのだ。
まさしく、天才といっても過言でもなかった。
一方でティナたちは戦えてはいるものの気が抜けない状況にある。
「ちぃ……! 次から次へきりがないわ!」
神々のほうが物量で勝る。
倒しても倒しても、神が天上から降りてきて終わりが見えない。
「カルラさん! ここはいいから行って!」
この最強の精霊使いが魔竜を殺せば、形勢は逆転すること間違いなし。
だが、カルラはあくまでもその場にとどまり、神々の相手をするだけだ。
どうして、と思い、しかしすぐに答えにたどり着く。
カルラがいなくなると、ティナたちは負けてしまう。
いくらカルラのバフがあって、ステータスが向上しているとはいえ、彼女の補助がなければこの物量を裁ききることは不可能。
カルラはわかっているのだ、事ここに至っても、ティナたちが足手まといになってしまうと。
しかし味方の士気を下げないよう、彼女たちを常に励ます。
「いいぜティナちゃん! ないすぅ!」
……この人はすごい。
ティナは純粋に、カルラを賞賛する。
一方でどうにもできないもどかしさを感じる。
自分たちのせいでカルラが攻めきれないのだと。
「ごめん、カルラさん」
「あやまってんじゃねー! おら落ち込む暇あるんなら神を1体でも多く倒そうぜぇ!」
疲れ知らずなのか、とカルラを見て思う。
……だが、そんなはずがない。
カルラの額に、大粒の脂汗が浮いていた。