作品タイトル不明
179話 クトゥルー、思い通りいかずいらつく【前編】
勇者と神々との戦いが始まった。
魔竜による一撃は、確かに神にふさわしい威力を持って、地上を焼いて見せた。
しかしその後神々が地上を殲滅しようとすると、かつて死んだはずの精霊使いカルラが、仲間を引き連れて、あらがいだしたのだ。
クトゥルーは神々との戦いの様子を、玉座に座り、窓を通して眺める。
「くそ! 亡霊どもが……!」
思った以上にカルラとその仲間たちは善戦していた。
「どうなってやがる……! カルラはともかく、人間ごときが神に抵抗できるなど、あってはならぬ……!」
歯がみするクトゥルーを、窓越しにカルラが小馬鹿にしたように笑って言う。
『はっはー! んなもんもわっっかんねーのかよ三下ぁ。未来神が聞いてあきれる愚鈍さだぜぇ!』
「黙れ! おい! さっさと殺せ惚け神どもが! たかが人間にどうしてここまで苦戦する!?」
だが神々が束に成って挑もうとしても、カルラはその炎を持って、神をたやすく焼き殺す。
「おそらくは、あのカルラという女の力でしょう」
背後に控えていた邪神イグが解説する。
「あの女、精霊を操るすべを持っています。それこそ、精霊王に匹敵するほどの精密さ。つまりやつは自分も神と闘いつつ、仲間たちに精霊の力を付与し、神と闘えるレベルにまで引き上げているのかと」
『はっはー! なぁんだ部下の姉ちゃんのほうがよっぽど頭良いじゃねえか。どうだい? んな凡愚なんて捨てて、アタシの仲間にならねーか?』
クトゥルーはいらだち、イグの髪の毛をひっぱり、地面にたたきつける。
「貴様が解説しなくても、ボクには理解できた! だまってろ女の分際で!」
『はっ! 男女差別はよくないぜぇ、おぼっちゃん? かりにも神なんだろぉ?』
カルラの煽りに、クトゥルーは心乱される。
「落ち着いてください、未来神。いらつけばやつの術中です」
「だまれぇええええええええええええ! ボクは神だぞぉ! 命令するなぁああああああああああああああああ!」