軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

178話 クトゥルー、開戦の狼煙を上げる【後編】

クトゥルーの言葉がトリガーとなって、魔竜が振動しだした。

それは竜の咆吼のようでもあり、大地が鳴いてるかのようであった。

窓に映し出されるのは、巨大な竜が顎門を開くシーン。

文字通り、星を食らうことも可能なくらい、巨大な口。

口腔内に莫大な魔力が集中していく。

それは精霊王の持つ奇跡の力がなければ集められない物。

「さぁ食らうがよい地を這いずる愚民どもぉ! わが魔竜タルタロスの【 滅葬砲(ゲヘナ) 】の炎を食らうがいい!」

魔竜の口に集約した魔力が炎へと変換されていく。

あまりに高温ゆえに青い炎へとなる。

「撃てぇえええええええええええ!」

未来神の命ずるがままに、魔竜は炎を地上へ向けてはき出す。

超高密度の炎が遙か上空から高速で射出される。

それは地表を軽くなぞるだけで、大地も海も引きはがされる。

一瞬だ。

おそらくこの炎を知覚できた物はいない、だがそれがもたらした結果は絶大だ。

超火力による一撃は、一直線上に大爆発を起こす。

熱風と業火がすべてを焼き払う。

森の緑も、そこに住まう動物や魔物たちも、一瞬で灰燼に帰す。

「ひひゃっ! ひゃははぁ……! どぉおおうだぁ! これぞ滅葬砲! あらゆる生命をあの世に送り届ける、神であるボクにしかつかえない圧倒的な力だぁ……!」

砲撃というにはあまりに強力すぎる一撃によって、地上がぐるりと一周焼き滅ぼされた。

「見たかルルイエぇ! これが精霊王の力の本質だぁ……! てめえはクソくだらない悪人どもの報復なんていうバカみたいな使い方をしていたがよぉ! 本来はこうやって、たくさんのゴミどもの命を理不尽に奪うために使われるもんなんだよぉ!」

今の一瞬で奪われた命の数は、ルルイエが葬り去っていったそれを、遙かに凌駕した。

それは己の威を示すだけの攻撃だ。

そこに、悪人への制裁も、愛しいものに好かれたいという念もない。

ただ、壊す。

それは神の威信を知らしめるというには、あまりに幼稚で下劣きわまる一撃だった。

「さぁ神々よ! 開戦ののろしは上げた! 滅葬砲の次弾が装填されるまでの間、人間どもを殺して殺して殺し尽くしてやれぇえええええええ!」

魔竜の背から、神々がいっせいに地上へと進行を始める。

だが、そこに炎の鳥が羽ばたき、神々を焼き殺す。

「来たな……神にあだなす、愚かな亡霊がぁああああ!」

クトゥルーが見やる窓には、不敵に笑う、赤目の女が空中に立っていた。

そこに写っているのは、エレンの母・カルラの姿。

炎の羽根をまといし、世界最高の精霊使いが、窓を通して神をにらみつける。

『こんにちは神様、最期の勝負といこうじゃあねえか、この野郎』