作品タイトル不明
178話 クトゥルー、開戦の狼煙を上げる【中編】
天界にて、クトゥルーは星食みの魔竜を起動させた。
入道雲よりもなお巨大な竜の顔。
顎がゆっくりと開かれていき、そこから除くのは、針山を彷彿とさせる鋭い牙の数々。
喉の奥は奈落の底を想起させる、底なしの闇が広がっている。
パチンッ、とクトゥルーが指を鳴らすと、彼の足元に魔法陣が展開する。
ブンッ、と音とも、クトゥルーは別の空間へと転移する。
「未来神様、ここは……いったい……?」
配下のイグは周囲を見渡す。
そこは見たことのない空間だった。
幅広いホールとなっており、四方には無数の【窓】。
窓からは地上の映像が映し出されている。
「ここは魔竜の体内にして、頭脳。つまり司令室ってことだよ」
高い位置に置かれているイスに、深々とクトゥルーは腰を下ろす。
「魔竜は神々の持つ技術、それに転生者たちの知識・技術を流用して作られた、いわば最新鋭の戦艦。それを指揮するのが僕」
「戦艦……? これは、船なのですか?」
「そう、未来神と選ばれしものだけが乗れる箱船さ」
うっとりとした表情で、窓からの様子を見やる。
「見たまえ愚民どもの間抜け面を。今から恐怖に染め上げてやる。そして地上をいっそうし、新世界を僕は作るのだぁ……くひっ、くひひひひひっ!」
クトゥルーの目的は、既存の人類を皆殺しにして、自分の思う通りに動く世界【新世界】を作ること。
「そのためには旧時代のサルどもにはご退場願わないとね……さて、魔竜よ! 初陣といこうか!」
声高に、彼は言う。
「【 滅葬砲(ゲヘナ) 】の準備だ!」