軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

155話 ユピテル、臆病者とバカにされる

勇者神エレンが、父アドラに師事することが決定した、一方その頃。

神々の集う場所、天界の大神殿にて。

天上人たる神達が膝をつき合わして、議論を行っていた。

「今すぐにエレンを! あの調子に乗った餓鬼を滅するべきだ!」

「そうだ! あのルルイエとかいう女も、この星もろとも滅ぼしてしまえ……!」

「すぐに 終焉令(ラグナロク) を発令すべきだ!」

過激派たちが今すぐのエレン抹殺を訴える一方で。

「いや、今は動くべきではない。ルルイエが未知すぎる」

「確実にあの邪神を排除する手段を探し出してから抹殺するべきだ」

「1年の猶予がある。それまでは余計なことをするべきではない」

保守派の神達は、エレンの干渉を控えようと主張する。

「なんだその軟弱な意見は! 神が人間を恐れているようではないか!」

「そ、それは違う! だが相手は神を凌駕する謎の力を持った邪悪の化身が味方についているのだ! 危険すぎる!」

議論がまとまらないのは当然だ。

議長である、ユピテルが、頼りないからだ。

「み、皆の者……落ち着くのだ」

ユピテルの言葉に、しかし過激派も保守派も、耳を貸さない。

「ええいバカものどもが! このまま放置すれば人間をこれ以上図に乗らせ、神の権威が落ちるばかりだぞ!」

「無策でツッコんで死んだら権威もなにもないだろうが馬鹿者どもが!」

2つの派閥は完全に議長を無視して、互いの意見をぶつけ合っている。

「き、貴様らいい加減にしろぉ……!」

ユピテルが声を荒らげると、一時の静寂が広がる。

「神がこんな些末なことに動揺してどうする! みっともない!」

だが、その言葉を聞いた神々が、呆れた調子で言う。

「あなただって、ルルイエに怯えていたではありませんか」

「うぐぅ……!」

前回のルルイエ襲撃の際、ユピテルは何もできず、震えることしかできなかった。

神しか入れぬ領域に立ち入り、平然と殺すと言ってのけた。

得体の知れない力と殺意を前に、完全に気圧されてしまったのだ。

「正直、この場にいた神々は、全員あなたに失望しましたよ」

ユピテルへの信頼の失墜。

その一点に限って、神々は意見をそろえていた。

「なっ!? なんだとぉ……!」

「小娘ごときに怯えてみっともない」

「我らの長たるあなたがあんな惨めに震えるなんて」

「たいしたことない、ただ年齢を重ねてトップになっただけの無能だったんですね」

ユピテルは顔を赤らめて、歯ぎしりする。

「い、言いたい放題言いよって! 長たるわしになんたる無礼な!」

「でもあなたこの間動けませんでしたよね」

「悔しかったら反論してみて下さいよ」

完全に、前回のルルイエ襲撃時での対応をミスってしまい、部下達から舐められる羽目となってしまった。

「ここで話していてもラチがあかぬ。決闘で勝った方の意見を通すと言うことでどうだろう?」

「望むところだ!」

過激派、保守派たちはユピテルを置いて、議論の場から出て行こうとする。

「ま、待て! まだ話し合いが……わしの話を聞けぇええええええええ!」

「「…………」」

全員が呆れた表情を浮かべると、ぽつりと言う。

「黙れよ、歳を重ねただけの老害が」

「~~~~~~~~~!!!!!」

ユピテルは怒りでこの場にいる神々を、皆殺しにしたいという衝動に駆られた。

しかし、それはできない。

神を殺すことは、来たるべき終焉において、勇者と戦う戦力を削る行為に他ならないからだ。

……それに、もっと根本的なことを言えば。

「おじいちゃんに、神々を瞬殺する力なんて、ないもんね」

「! き、貴様……! 【クトゥルー】!」

もっとも新しき神の1柱、男神クトゥルー。

特徴的なのは、真っ白なショートカットの髪に、赤い眼。

人を食ったような生意気そうな笑み。

……それは、ユピテルにとって、【誰かを彷彿】とさせる姿だった。

「やぁおじいちゃん。さっきの無能っぷり最高だったよ♡」

「だ、黙れ黙れぇええええええええ!」

ユピテルが神の力を使って、クトゥルーを粉砕しようとする。

だが……。

「なっ!? なぜだ!? 力が……発動しない!」

「さぁどういう理屈だろうねー不思議だねー」

クトゥルーはユピテルに対して足払いを行う。

「ぶべっ!」

倒れ伏すユピテルの腰の上に、よいしょとクトゥルーが座り込む。

「ボクに主導権を譲るなら、バカな神々を纏めてあげても良いよ」

「ほざくな若造が!」

「その若造に下に敷かれてるのに、恥ずかしくないの?」

「く、くそぉおおおおおお!」

クトゥルーをはねのけようとするが、しかし謎の力が働いて、全く動けない。

ユピテルは困惑する。

確かに自分はさほど大きな力は持ち合わせていない。

だが、さすがにこんなポッとでの神にかなわないなんてことは、今までなかった。

「……いや、違う。あの女、ルルイエの時と感じが似てる。そうだ、おまえ……まさか!」

「はいすとーっぷ。そこまでね」

クトゥルーは人差し指で、ユピテルの額をつつく。

がくん……! とユピテルは気を失う。

「ここで思い出されると計画が狂うんだよね。しばらくは、ボクを【新人の神クトゥルー】と思い込んでもらわないと」

よいしょ、とのんきに立ち上がって、クトゥルーは伸びをする。

「さて……と。そろそろボクも動いていこうかな」

ふむ、とクトゥルーはアゴに手を当てる。

「まず1手目は……そうだな。ボクの可愛いい【妹】が溺愛してる、可愛い勇者くんに少し手を貸してあげよっと」

クトゥルーは倒れ伏すユピテルの懐に手を突っ込み、そして取り出す。

その手には、1つの【鍵】が握られていた。

「さ、ボクも参加させてもらうよ。 勇者(じんるい) と神々の、最後の戦争にね」

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※編集部からのお知らせ

作者(想像)妊娠のため、

次号よりしばらくの間休載いたします。

再開が決まり次第、本誌でお知らせします。

※作者コメント

は? 想像じゃねーし、ガチの妊娠だし。

今は確かに孕んでないけど、1年後確実に妊娠するから、妊娠したも同然なんだよ。

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