軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

143話 勇者神

テイマーのエレンが、帝国に反旗を翻した悪人達を討伐した。

それから約一ヶ月が経過した、帝都の街にて。

はじめて帝都に着いたばかりの冒険者が、【それ】を見て驚く。

「な、なんだあのデカい像は……?」

帝都中心部には、新品同様の【教会】がある。

その前にそびえ立つのは、皇帝の像ではなく、あどけなさの残る少年のものだ。

「お、なんだあんたら、勇者神さまを見るのは初めてかい?」

広場で露店を広げていた商人が、冒険者に声をかける。

「ゆうしゃしん……? なんだそれは」

「っかー! 勇者神エレン様を知らないとは! 彼はこの帝都をお救いになられた偉大なる英雄のことさ!」

帝都民たちはみな、エレンの像の前で一礼していく。

「皇帝の息子グスオが、邪悪なる女神ユゴスとともに国家転覆を謀った大事件は知っているだろう?」

「ああ。なんでもたくさんのひとが死んだって話しだよな」

「そう! 燃えさかる建物も、虐殺されたおれたち帝都の民も! みーんなエレン様が元通りにしてくださったのさ!」

あの事件後、帝都の民は全員、皇帝も含めて、勇者エレンに深く感謝した。

そしてあるとき皇帝が言ったのだ。

『【僕のエレ……こほん。彼は世界を救うため、地上に舞い降りた勇者にして神……そう、勇者神である】』

「皇帝陛下がそんなことを」

「ああ、それからあれよあれよだったな。帝国民が【勇者神】をあがめるようになった。各地には勇者神エレン様を奉る神殿が作られ、【エレン教】という新しい宗教すらもできたんだよ」

「そ、そりゃ凄いな……しかし、エレン様ってひとは、そんなたいそうな人なのかい?」

……しん。

と、その場に居た帝国の民たちが、いっせいに静まりかえった。

ぞろぞろと無言で集まり、冒険者の周囲を取り囲む。

「なっ、なんだよあんたら……?」

「勇者神様の素晴らしさを、理解していない様子だ」

「それはいけないなぁ」

その場に居た全員がぞろぞろと近づいてくる。

「な、なんだよっ? なにすんだよっ!」

「まあまあ。勇者神様の神殿へ一度足を踏み入れてみるといい。彼の素晴らしさがわかるはず」

ガシッ! と冒険者の両脇を、帝都の民が掴む。

恐ろしいまでの怪力を持って、冒険者を逃がすまいとしていた。

「は、離してくれ! 離せ! 離せぇ!」

ニコニコと笑いながら、帝都民は冒険者を連れて、神殿へと入る。

……数十分後。

「なんて……素晴らしいんだ! エレン様……! いや、勇者神様ぁ!」

冒険者はすっかりと、エレンに心酔していた。

「良かった良かった、彼もまた勇者神様の素晴らしさに気づいてくれて」

「「「良かった良かった!」」」

……さて。

その様子を、遙か彼方から眺める存在がいた。

『なんだ、これは?』

そこは人間の世界とは、また別の場所。

神々のおわす、神聖なる世界。

『一体全体これはどういうことだ?』

『勇者神だと? そんな神は存在しないぞ』

神々はたいそうご立腹であった。

その場に居た、この世界に元より存在した神たち。

彼らの名前よりも、みなが口にするのは、聞いたことのない勇者神エレンの名前。

『実に度し難い』

『然り。たかが人間ごときが、神と同列に扱われるとは』

『大変不遜である』

『即刻、このエレンという個体を排除すべき』

『異議無し』

『異議無し』

『異議無し』

神々は人間達から尊敬され、崇拝されるべき、絶対上位の存在。

そんな彼らからしたら、それ以上に扱われている人間が許せないのである。

『しかし神が人間を直接手にかけるわけにはいかぬ』

『バカをいえ。われらの走狗たる天導教会はすでに敗北している』

『ならば天界の神々から、選りすぐれた武に秀でた神を選出し、このエレンという餓鬼を始末するのはどうだろう?』

『異議無し』

『異議無し』

『異議無し』

座長を務める神が、帝都広場にある勇者神の像を、憎々しげに見て言う。

『われら以外に、神と呼ばれる存在はいてはならぬのだ。エレン、貴様に罪はないが、我らの邪魔をするならば消させてもらおう』

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くふふ♡ エレンすっかり有名人だね!

勇者神だってさ! いやぁ、もう鼻高々だね!

うんうん、どうやら僕のアジテーションもうまくいったみたいだ。

エレンが強くなったからかな、僕も今まで使えなかった他者の意識の乗っ取りもできるようになっていたね。

……さてさてさてっと。

ま、神が出張ってくるのは想定内さ。

うんうん、予想通りの展開になってきた。

これでエレンは 霊王形態(キング・フォーム) を使わざるを得ない。

くふ♡ くふふふっ♡

たくさん使っておくれよ♡ くふふっ♡ そうすれば……くふふふふふっ♡

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