作品タイトル不明
134話 邪神合体ルルイエ
ぼくが旅していたある日のこと。
森の上空に、邪神が出現した。
「わしは邪神インスマス! 貴様を殺しに来たぞぉ、エレぇえええン!」
カエルみたいな邪神が、水の竜の上に乗っている。
空中戦と言うこともあって、ぼくが不死鳥の翼を生やして飛び上がる。
空中で対峙するぼくら。
「また性懲りもなく! どうしておまえたち邪神は人間の命を狙うんだ! ぼくらが何をしたって言うんだ!」
ふんっ、とインスマスが馬鹿にしたように鼻を鳴らす。
「特に意味はない。そうであろう、貴様の命に何の価値もないからなぁ。虫を踏み潰すようにプチッと殺しても何も問題なかろう」
「……この星に生きてる命はみんな平等だ! 虫であろうと人間だろうと! 彼らの命を理不尽に奪って良いやつは誰も居ない!」
「それがいるのだよ、わしら邪神はなぁ」
水の竜が凄まじい勢いの水を噴射する。
不死鳥の炎でそれを蒸発させ、すばやく接近する。
「せやぁ……!」
スパンッ! とインスマスの胴体を一刀両断する。
「なんだ……手応えがまるでない……」
と、そのときだった。
「これで終わりと思うなよぉ」
じゅわ……とインスマスの体がぼやけると、水へと変化する。
水だったそれは再びカエルの体へと変化し、元に戻った。
「体が水でできてるんだ。なら炎で燃やし尽くせば!」
「くくく……ぐひゃひゃひゃひゃぁ! えれーん、良いことを教えてやろうぅ。ついてきな」
インスマスが水の竜にのって、上空へと上っていく。
ぼくは不死鳥の翼を広げ、遙か空の上へとやってきて……言葉を、失った。
「なに……これ……」
ぼくらの住んでいる王国が……崩壊していた。
広大な王国の敷地の6カ所で、甚大な被害が出ている。
更地になっていたり、大火災が起きていたり、クレーターになっていたり……。
「ぶひゃひゃひゃひゃ! いつから邪神は1体だけだと思ったぁ! あめーんだよぉ!」
「そんな……邪神達による、同時襲撃! み、みんな……!」
「おおっと、そうはさせぬぞぉ!」
水の竜の尾が、ぼくの体に巻き付く。
「まあ今から行ったところで、すでに何百、何千という人々が邪神の腹の中だぞぉ~……」
「そ、そんな……」
「死体があれば蘇生できるだろうが! それがなければ貴様に何ができる! 所詮貴様は非力な人間なのだ! 全てを救うことなんてできないんだよぉ! ぶひゃーひゃひゃひゃひゃあああああ!」
と、そのときだった。
「諦めないで、エレン!」
水の竜が消し飛ぶ。
遙か上空から、美しい女性が降り立ってきた。
「ルルイエさん……」
まるで聖母のような笑みを浮かべながら、ルルイエさんがぼくの前に降り立つ。
「エレン、僕のエレン。そんな悲しい顔をしないでおくれよ」
「でも……みんなが……死んじゃって……どうにもならなくって……」
ルルイエさんはぼくのことを優しく包み込んで、「……ナイス! ふくろうナイス! いーいアシストぉ!」よしよしと頭をなでる。
「大丈夫だよエレン。君ならできる。ただし……ひとりだけじゃ無理だ」
「1人じゃ無理……? どうすればいいの?」
彼女はニコッと笑って言う。
「ほら、こないだカレンとやったあれがあるだろう?」
「霊装?」
霊的な存在と合体することで、神に近い力を得る秘奥義だ。
「でも……カレンと合体しても、失った物は……」
「大丈夫! 僕と……でゅっふ♡ 僕と合体すれば、なんとかなる!」
確かに、彼女は精霊王。
奇跡の力を司る、すごいひとだ。
その人と合体できれば……。
「ま、待て小僧! 早まるな!」
「黙ってろ」
むぐぐっ! とインスマスが口を閉ざす。
「さ♡ エレン、僕と合体しよう♡ だいじょうぶ、痛くないし怖くないよ。先っちょだけでもいいから!」
先っちょ……よくわからない。
けれど、ルルイエさんの力が、ぼくに百%手に入れば……。
「さぁ、エレン。言ってごらん。どうしたいのか」
「……ルルイエさん、ぼくに力を貸してください!」
「んーん♡ だーめエレン。もっとさーこう、ロマンティックに言って欲しいなー……ああうそうそ! うん合体だね! わかったすぐやるから怒らないでふざけてないからほんと!」
ルルイエさんがぼくの背後に回って、後ろから抱きしめる。
甘い匂いと、柔らかな女性の感触。
……けれど、とても体は冷たかった。
「さぁエレン。僕を受け入れておくれ」
「うん」
インスマスが口を開けて、ぼくらに向かって攻撃を仕掛けてくる。
「や、やめろぉおおおおおお!」
「【霊装】展開!」
ルルイエさんの体が、黒く輝く。
それはぼくの体と一体化し……そして、次の瞬間。
ぶぁっ……! と凄まじい力の波動となって、周囲に広がる。
漆黒の衣に身を包んだ、ぼくが居た。
「これが……ルルイエさんの力」
『っしゃぁああああああああああ! エレンと一体化してるぅうううううううう!』
彼女の声が体のウチから聞こえてくる。
「ふ、ふん! 精霊王と一体化したからなんだ! 死んだものは生き返らぬのだぁ!」
インスマスが水の竜をぼくにけしかけてくる。
『エレン、君は望みを言えばいい。その全てをかなえてあげよう!』
「【消えろ】!」
水の竜が、まるで最初からなかったみたいに、消し飛んだ。
「ば、バカな!? 何をした!? 何をされたぁああ!」
『さぁエレン。次は壊れた街と失った人々の命を戻そう。右手を前に出してごらん』
空間にひびが割れて、そこから一振りの剣が出現する。
紫色の刀身に、9つの宝玉がついたきれいな剣だ。
『【時空神剣エターナル・カリバー】さ』
「ば、バカなぁあああああああああ!?」
インスマスが目を剥いて叫ぶ。
「それは時の神が持つと言われる、神剣ではないかぁ! なぜ貴様が持っている!」
『え、普通に作っただけだよ。今てきとーに』
神さまの剣を作るなんて……すごい!
『さぁエレン。その神の剣を振るうんだ』
「うん!」
剣を手に、ぼくは地上に向けて振る。
その瞬間、大陸全土に時計盤のような魔法陣が広がる。
時計の針が逆回転していくと、失われた大地と人々が、元に戻っていく。
「バカなあり得ないぃいい! 人間ごときが、時を操ることなどぉ!」
『はっ! バーカ! エレンをそんじょそこらの有象無象と同列に扱うな! エレンは特別なんだよぉ!』
「くっ……! こ、このぉ! 邪神達、集まれぇええい!」
しーん……。
「ど、どうしたのだぁ!?」
「全部たたき切らせてもらった!」
『エレンが時間を止めて、その間に君のお仲間6人を倒させてもらったのさ』
愕然とした表情のインスマス。
「う、ぐ、くそぉおおおおお!」
インスマスの体から大量の水が吹き出て、上空に凄まじい大きさの水の球ができる。
「【消えろ】!」
パァン! と水の球が消滅する。
神の剣に、その消滅の力を付与して、ぼくは空を駆ける。
「せやぁあああああああああ!」
インスマスが反撃しようとする。
けど時空の神剣が時を止めて、その間にぶった切った。
「ぜは……! はぁ……! はぁ……! はぁ……!」
『やったー! えれんすごいよー! 神! もうエレン神! だよ! ……エレン?』
ぼくは上空で……意識を失いかける。
『ど、どうしたのエレン! ハッ! ま、まさか僕の大きすぎる力に耐えきれなくって……エレン! 目を覚まして! エレン! えれぇえええええええええん!』
落ちていくぼくを、カレンがくちばしでくわえて持ち上げる。
『よくやった娘よないすぅ!! エレンの処女を奪ったことは許してやろう!』
『母上! その力は強大すぎて、今のエレンでは扱えません! 今後は控えてくだされ!』
『ふぁーい……くすん、ごめんねエレン』
========
でもエレンと一体化しちゃったー♪
へっへーん♪
いやぁ、エレンの体はすっごい良かったなぁ~♡
負担が大きいから連発は難しいけど、また強敵が現れれば機会はいくらでもあるよね。
ということで、ふくろう。
『ええ、存じ上げております。またルルイエ様が慶んでいただけるよう、玩具を用意させていただきます』
よしよしよーし、良い子だ。
……さてと。
んじゃ、邪神達にペナルティ、きっちりくわえないとね。
========